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.植生からみた河川環境〜河川植生の基礎知識〜
(1)河川環境の特性
 近年、特に都市域を流れる河川は、多様な植物群落やそれを基盤にした多くの生物を含む生態系が残る聖域として重要性が認識されるようになってきた。佐々木(1996)は、河川環境の特質として水域、陸域そして空域の3つの異なる界、すなわち環境が連続し接していることをあげている。異なる環境が連続して変化していく場所は「推移帯」または、「エコトーン」と呼ばれる(図1)。近年のビオトープの考えや自然環境整備においては非常に重要な場所となっている。

 エコトーンは、異なる環境が連続し比較的限られた空間の中で両方からの生物群集が存在するため非常に多様な生物相を有している。そのため、生物多様性保全の観点から重要な場所となっているのである。生態系の基盤をなす河川植生は、河川の流水などの影響により縦断方向および横断方向に環境が連続して変化する中で、それぞれに適した多様な植物群落が成立している。すなわち、河川形状や河床材料の違いよる縦断方向の環境の連続的変化、増減水に起因する攪乱頻度の違いによる横断方向の環境の連続的変化に対応した植生の変化と連続性である。

佐々木寧.1996 .1.河川環境の特質.河川環境と水辺植物‐ 植生の保全と管理‐ (奥田・佐々木編):2‐ 5pp .
桜井善雄.1991 .水辺の環境学‐ 生きものとの共存‐ .222pp .新日本出版社.