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目 次
1.用語集の目的
2.水文観測全般(1)
2.水文観測全般(2)
3.雨量観測
4.水位観測
5.高水流量観測(1)
  5.高水流量観測(2)
  6.低水流量観測
  7.H-Q曲線
  8.資料整理
  9.痕跡調査
  10.参考文献

五十音順

4.水位観測 ←前章 次章→

4.1.水位観測

 水位観測とは、河川等の水位を定量的に計測することである。観測値は、河川の危機管理,計画等の基礎資料として用いられる。使用目的については、『水文観測の手引き 導入編 P6〜11』を参照されたい。

4.2.普通水位観測

 普通水位観測とは、河川等の水位を調査を行う者の委嘱を受けた観測員(普通観測員)が、毎日6時及び18時を定時として、量水板の水位を読みとることにより観測するものである。
 観測時刻が6時と18時となっているのは、河川の取水等の影響がもっとも少なく、河川の水位が安定している時間帯と考えられるためである。 平成14年度改訂の水文観測業務規程により、普通水位観測は原則廃止となった。

4.3.量水標(水位標)

 量水標とは、それ自体で洪水の流水による圧力に耐えることができる構造体(支柱)に量水板(目盛)をとりつけ、河川の水位を目測で測るための設備である。水位変動幅が大きい観測所では、2m程度の量水標を複数設置し、水位上昇に応じて順次上位の水位標に読みとりを引き継ぎ観測する。
写真:量水標の例
出典:水文観測(H14) P62

4.4.量水板

 量水板とは、鋼製またはアルミ製の板(幅20〜30cm程度)に目盛が記されたもので、これを護岸や橋脚の表面に設置し、水位を読み取るものである。 特に、AKK式は、目盛り配置で間違えやすいため、注意が必要である。
写真:量水板
出典:大田商事株式会社 OTA総合カタログ P275
写真:量水板(土器川 祓川橋観測所 第1見通し 左岸)

4.5.フロート式水位計

 フロート式水位計とは、観測井にフロートを浮かべ、その水位変化を測水プーリを介して、機械的にペンに伝達し観測する水位計である。電源が不要であるため、災害(停電)に強い。
図:フロート式水位計
出典:水文観測(H14) P63

4.6.気泡式水位計

 気泡式水位計とは、水中に開口した管からゆっくり気泡を出し、その時の管内の圧力をセンサーによって測定する水位計である。管内の圧力は、大気圧と開口部にかかる水圧との和に等しいので、大気圧を差し引いた開口部の圧力から水位を求めることができる。現在は、販売されていない。
図:気泡式水位計
出典:水文観測(H14) P69

4.7.リードスイッチ式水位計

 リードスイッチ式水位計とは、管にリードスイッチを1cm間隔に配置した測定基盤を内封し、永久磁石を内蔵したフロートが、水位変化に追従して上下すると、水位に対応したリードスイッチが、磁力により導通状態となり水位を測定する水位計である。
図:リードスイッチ式水位計
出典:水文観測(H14) P71

4.8.水圧式水位計

 水圧式水位計とは、水圧を感圧素子(水晶,半導体,シリコン)で直接検出して電気信号に変換する方式の水位計である。なお、精度は水晶式が優れるが高価である。(半導体とシリコン式は同程度)
図:水圧式水位計
出典:横河電子機器株式会社 カタログP136

4.9.水晶式水位計

 水晶式水位計とは、水圧式水位計の一種で、測定原理も同じものである。感圧素子が水晶であるものを特にいう。精度は、他の感圧素子(半導体,シリコン)より、水晶式が優れるが高価である。
図:水晶式水位計
出典:横河電子機器株式会社 カタログP136

4.10.超音波式水位計

 超音波式水位計とは、超音波パルスを水面に送波し、水面から反射される超音波の伝播時間を水位に換算するもので、流水に非接触の水位計である。音波は空気を伝播するため、気温,湿度,風向,風速を同時に観測しておく必要がある。

図:超音波式水位計
出典:横河電子機器株式会社 カタログP136

4.11.サンプリング時間

 水圧式水位計など、電気的に水位を計測する構造の水位計では、任意の時刻(正時)の前の数秒単位の中で移動平均を行いながら水位を計測している。この数秒単位で計測している時間間隔をサンプリング時間と呼んでいる。
 洪水時の水面は大きく波立っている場合が多いため、このサンプリング時間の調整の仕方により平均化された水位が若干変化することを認識しておく必要がある。
 特に、ダム湖の水位測定において、中周期〜長周期の波(セイシュ等)の除去には、サンプリング時間の調整が重要である。
図:水位サンプリングイメージ図

4.12.セイシュ −seiche−

 セイシュとは、ダム湖,湾内など主に閉塞性水域において、水位の昇降が生じた結果生じる長周期の水面振動(固有振動)をいう。この水面振動(固有振動)は、一般に風や気圧変化などによる長周期小振幅波に起因するといわれている。

4.13.計画高水位(H.W.L) −high water level−

 計画高水位とは、治水計画で基準となる洪水の水位のことであり、計画高水流量,河道の縦断形,横断形と関連して定められる。
参考:河川砂防技術基準 計画編 P105

4.14.危険水位

 危険水位とは、基準地点の水防警報区間において、洪水により破堤等の災害が起こる(無堤部では相当な浸水被害が発生する)恐れがある水位を、基準地点で定めたものである。四国地整管内では、各河川の予報範囲で、最初に浸水が起こる恐れがある箇所から設定されている。
 また、洪水警報が発令される水位でもある。

4.15.警戒水位

 警戒水位とは、水防河川に指定された河川もしくはこれを細分した水防警戒区間において、水防団に水防警報(出動等)を発する判断の基準となる基準水位観測所の水位のことである。
 警戒水位は、計画高水位,現況堤防高,過去の洪水時の水位や過去の災害事例等を参考にして決められる。
 また、事務所では、警戒水位を越えさらに水位上昇が予想される場合には、災害対策の「警戒体制」を発令する。

4.16.指定水位

 指定水位とは、水防警報の準備を発表する水位である。各事務所では、基準水位観測所の水位が指定水位に達し、なお上昇の恐れがある場合には、水防警報(準備)を発表し、水防団に(水防資機材の整備点検、水防団幹部に出動に対する)準備を発表する。
 また、事務所では、指定水位を越え警戒水位に達する恐れがある場合には、災害対策の「注意体制」を発令する。

4.17.背水 −back water−

 背水とは、河川の下流側の水位の高低が上流水位に影響を及ぼす現象である。バックウォーターともいい、流れが常流の場合のみに生じるものである。例えば、支川において、本川の高水位の影響が及ぶ範囲を背水区間と呼んでいる。また、取水堰の上流では、堰上げによる背水の影響を受ける場合がある。

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