Home はじめに チェックリスト 手引き ダウンロード 引用文献 用語集 参考文献
 


目 次
1.用語集の目的
2.水文観測全般(1)
2.水文観測全般(2)
3.雨量観測
4.水位観測
5.高水流量観測(1)
  5.高水流量観測(2)
  6.低水流量観測
  7.H-Q曲線
  8.資料整理
  9.痕跡調査
  10.参考文献

五十音順

2.水文観測全般 (2) ←前章 次章→

2.8.品質管理組織

 品質管理組織とは、水文観測データの品質確保を目的として、整備局長が設置するものである。品質管理組織は、水文観測のデータの照査,水位流量曲線の照査など高度MQCに関するものを行う。
参考:水文観測業務規程関係集 P11

2.9.WISEF(ワイセフ)データ

 WISEFデータとは、Water Information Standard Exchange Formatの頭文字をとってWISEFと称するもので、水文・水質データベースと観測データ間のデータ交換(入出力)を行うための標準フォーマットで作成されたデータのことを指す。フォーマットの種類としては、水位,雨量,流量,水質,底質,HQ式,地下水位,地下水質,ダム堰諸量,取水施設,気象・海象などがある。
 WISEFデータはテキストデータであるため、エクセルなどの汎用アプリケーションにデータを読み込むことができる。
参考:水文・水質DB標準仕様書

2.10.河川情報システム

 河川情報システムには、内部用河川情報システム(総合河川情報システム)と河川情報センターが管理運営する次世代河川情報提供システム(FRICSシステム)がある。内部用河川情報システムは、監視局(大渡ダム等),集中局(高知工事等),中枢局(本局),総括局(本省)で構成されている。一方、次世代河川情報システムは、FRICSから提供されるリアルタイム情報を活用するために、各事務所に設置された端末から、梅雨前線や台風による降雨の状況などをリアルタイムに取得でき、出水時の対応(高水流量観測の初動体制)などに有効である。
総合河川情報システム
   河川情報システム(River information System)は各工事事務所、ダム管理所等で収集されるテレメータデータを処理,蓄積し見易いCRT画面やプリンタ出力で提供する他、水系を統括する工事事務所等(集中局),本局(中枢局),本省(総括局)に観測データを伝送することにより、水位計毎、地方整備局単位や全国的な河川状況を一元的にリアルタイムで把握することを目的として整備されている。
 各局では、処理装置により各局毎に必要なデータを処理分析し、CRT等により表示,記録できる。また、記録されたデータベースは、治水,利水計画のための基礎データとして利用されている。
FRICSシステム
   次世代河川情報提供システムとは、河川情報センターが、管理運営する河川流域総合情報システム(FRICSシステム)のことである。各工事事務所に端末が設置されており、梅雨前線や台風による降雨の状況などをタイムリーに見ることができ、高水流量観測などの初動体制を整えるときなどに有効である。
 新河川流域総合情報システム(新FRICSシステム)は、最先端の情報通信技術を駆使し、河川,流域に関するさまざまな情報を24時間365日フルタイムで正確,迅速に提供している。新FRICSシステムは、インターネットで利用することができる
 【新FRICSシステムURL:http://www.river.or.jp/

2.11.テレメータシステム

 テレメータシステムは、遠隔地より実時間(リアルタイム)で水文観測値を取得し、記録・配信するシステムである。観測局で取得されたデータを近傍山頂の中継局へ無線でデータを送信し、そこから監視局(整備局,工事事務所等)へ無線でデータを送信する。
 当初、テレメータシステムは、河川管理(洪水予報)のために、雨量観測所として整備された経緯があり、強雨をリアルタイムに観測することに主眼を置いている(定時における欠測は許容し、累加雨量を把握できればよい)。しかし、近年のテレメータシステムの信頼性の向上を受けて、合理化,省力化を目的に、平成12年3月に改訂された水文観測業務規程では、平成11年1月1日以降の観測データは、テレメータ観測値を採用することが基本とされている。  

写真:雨量観測所

図:テレメータシステムブロック図

2.12.伝送時間のずれ

 テレメータシステムでは、センサー部(雨量桝など)で捕捉したデータが、観測局から無線で中継局を経由して、各事務所等のテレメータ親局に転送される。
 テレメータ監視局は、任意の観測局を同時に呼び出し、各観測局に対してデータを送るように指示し、各観測局はこの指示を受けて必要データをテレメータ親局に転送する。伝送時間のずれとは、例えば正時に観測値の呼び出し(取得)を開始した場合、呼び出し(取得)に時間がかかるため、正時から若干時間のずれ(2〜5分程度)た観測値を取得していることをいう。

2.13.データロガー(電子ロガー)

 データロガーとは、観測局の雨量データや水位データを、自記紙に記録する方法に代えて、PCカード(メモリーカード)に記録する装置のことをいう。
写真:データロガー

2.14.電話応答装置

 電話応答装置とは、観測されたテレメータデータを、一般の電話回線を通じて、音声にて知らせる装置のことである。通常は、1時間ごとに観測データが更新され、各観測局の雨量や水位の観測データを知ることができる。  

2.15.CCTV

 CCTV(Closed Circuit Television)とは、不特定多数を対象にしたオープンなTV放送に対して、限られた対象で送受される業務用TVシステムのことである。CCTVは、ダムや河川管理の補助として、日常の河川空間の状況、または洪水時の流況を把握するため、各ダムや河川に設置し、工事事務所等や整備局で監視,操作ができるように光ファイバーなどを用いた有線カメラである。  

2.16.川の防災情報(iモード)

 川の防災情報とは、国土交通省が、NTTdocomoの携帯端末(iモード)に提供しているサービスであり、各観測局における雨量や水位のリアルタイムのデータを携帯電話を通じて取得できる。
 (なお、システムの管理等は、河川情報センターに委託している。)
図:iモード広告
  【iモードURL:http//i.river.go.jp/
  【インターネットURL:http://www.river.go.jp/

2.17.高水速報

 高水速報とは、警戒水位以上の洪水が発生したときに、その洪水の速報値情報(未確定値)として雨量,水位,流量等をわかりやすく整理し公表したものである。
 「高水速報」は、洪水終了後、各事務所等にて当該速報に関連する関係資料を作成し整備局にて整理,まとめ,印刷製本を行うが、原則(内部通達)として1週間以内を目途に整備局に関係資料を提出することとなっている。
 「高水速報」には、「気象観測記録」,「降水記録」,「出水記録」,「洪水予報」,「水防活動」,「通信連絡],「被害記録」などに関することが記載されている。

2.18.自記記録の時間ずれ

 自記記録の時間ずれとは、自記観測のアナログ自記紙において、印刷された正時の位置と、正時におけるデータの印字位置の時間ずれを指す。この原因は、自記紙交換に際して、自記紙をずれた位置にセットした場合や時計の電池切れなどにより生じる。補正方法としては、自記紙上の始点と終点における時間と観測値を適正なものに修正し、その区間を比例配分する方法が一般的である。

2.19.アナログデータ

 アナログデータとは、数値化されていない生の情報(データ)のことであり、連続した量の変化をそのまま表現したものである。水文観測では、水研62型の水位計で使用しているアナログ自記紙などが該当する。

2.20.デジタルデータ

 デジタルは、指と言う意味をもつ「デジット」の形容詞であり、1つ、2つと「数字」で表現できるデータを意味する。デジタルデータとは、一口で定義すると、「数値化(コード化)されたデータ」である。雨量計や水位計の観測値を記録するデータロガーのデータや観測値を送信するテレメータのデータが該当する。

2.21.自記紙のデジタル化

 雨量観測や水位観測は、自記記録計でも観測されている。自記紙のデジタル化とは、自記記録紙(アナログ記録)をスキャナーで読み込みデジタル化することにより、コンピューターで扱えるようにすることを指す。記録方式や記録媒体は時代と共に変化するため、データの保存方法と取り出し方法の継続性などに十分注意する必要がある。また、記録媒体の寿命については、一般に磁気式で5年程度,光学式(CDR,MO)で10年〜20年程度と言われているため注意(再書き込みなど)が必要である。

2.22.ハイドログラフ −hydrograph−

 ハイドログラフとは、任意の基準点における時刻(時間軸)と水位または流量との関係をグラフ化したものであり、水位ハイドログラフ及び流量ハイドログラフがある。水位や流量の時間的変化が視覚的に確認でき、洪水中の水位,流量の変動状況を把握することができる。
図:水位ハイドログラフの例(洪水時)

2.23.キャリブレーション −calibration−

 キャリブレーションとは、観測した値が、観測機器固有の誤差を有しているため、標準値との関係を比較し、誤差を補正することである。

2.24.河状係数

 河状係数とは、河川のある地点における最大流量と最小流量の比であり、河川流量の安定度を数量的に示したものである。一般に、日本の河川は、河状係数が大きいため流量的に不安定である。  
  河状係数=最大流量/最小流量
  河状係数=大 ⇒ 流況不安定(相対的に洪水が大きく、渇水も発生し易い)
  河状係数=小 ⇒ 流況安定(相対的に洪水が小さく、渇水は発生し難い)
表:日本の代表河川の河状係数
出典:国土交通省 中村工事事務所 ホームページ
表:世界の代表河川の河状係数
出典:河川便覧 1994年 P403

2.25.普通観測員

 水文観測では、雨量や水位を定量的に観測しなければならない。観測方法には、自動観測機器による方法と、人間がメスシリンダーや量水標などの機器を用いて、目視により毎日定時的に計測する方法がある。
 普通観測員とは、後者の人間が観測する人員をいい、機器の計測,機器の保守(用紙交換,点検)を行う。(平成15年12月31日に、観測の自動化の普及,信頼性向上のため、普通観測員は廃止される)。
 普通観測は、毎日定時に365日、欠かさず観測する必要があり、欠測は許されなかった。洪水時の時間雨量を普通観測員が観測していた時期には、1洪水の間、毎時観測するなど多大な苦労を要していた。

All Right Reserved, Copyright(c) 2003.03.31 国土交通省四国地方整備局