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目 次
1.用語集の目的
2.水文観測全般(1)
2.水文観測全般(2)
3.雨量観測
4.水位観測
5.高水流量観測(1)
  5.高水流量観測(2)
  6.低水流量観測
  7.H-Q曲線
  8.資料整理
  9.痕跡調査
  10.参考文献

五十音順

5.高水流量観測 (1) ←前章 次章→

5.1.高水流量観測

 一般に、河川の流量は直接計測することができないため、河川の流速を計測し、それに横断面積を乗じて流量を算出する。高水流量観測とは、河川の洪水時の流量を観測することである。観測方法としては、一般的に浮子法が用いられ、他に電波流速計,ADCP等による方法もある。
 観測値は、河川の危機管理,計画等の基礎資料として用いられる。使用目的については、『水文観測の手引き 導入編 P6〜11』を参照されたい。

5.2.浮子 −ふし−

 浮子とは、高水流量観測の浮子観測において、流速を計測するため、橋梁などから河川に投下する棒状のものである。一般に、本体は紙製で筒状になっており、底部に吃水(きっすい)深を調整するためのおもりがついている。計測時の水深に応じて、表面,30cm,50cm,1m,2m,4mの吃水長の浮子を使い分ける。
図:浮子の種類
参考:絵で見る水文観測 P181

5.3.吃水 −きっすい−

 吃水とは、ある物体が水面に浮いているとき、水面から物体の最下端までの鉛直距離のことである。高水流量観測の浮子法では、棒浮子の種類分けに用いられている。

5.4.赤旗

 高水流量観測の浮子法では、浮子の流下状況を確認しなければならないが、日中でも見失うことがある。赤旗とは、浮子の先端に取り付ける目印である。赤棒に比べて視認性に優れる。
図:浮子に赤旗を取り付けた写真
出典:大田商事株式会社 P276

5.5.赤棒

 高水流量観測の浮子法では、浮子の流下状況を確認しなければならないが、日中でも見失うことがある。赤棒とは、浮子の先端に取り付ける目印である。赤旗に比べて視認性に劣る。
図:浮子に赤棒を取り付けた写真
出典:大田商事株式会社 P276

5.6.サイリューム

 高水流量観測の浮子法では、夜間に観測することがあるため、暗闇で浮子の流下状況を確認しなければならない。サイリュームとは、浮子の先端に取り付けられた発光源の目印である。サイリュームは、2種類の化学薬品を内封した、長さ20cm程度のスティック状のプラスチックで作られている。化学薬品は、ガラス管により内液と外液に分離されており、その中間付近を折り曲げることによりガラス管が割れ、内液と外液が混合し無発熱の化学反応により発光する。一般に、発光時間は約1時間から2時間程度である。保存期間は3年程度であり、保存場所は、冷暗所であることが望ましい。
写真:サイリューム
写真:浮子にサイリュームを取り付けた写真
出典:大田商事株式会社 P276

5.7.浮子法(浮子観測)

 浮子観測とは、河川の流量を観測する1手法であり、投下した浮子が、一定区間の距離(見通し間距離)を流下するために要した時間を観測する。その時間と見通し間距離から流速を算定し、その流速と河川の断面積を乗ずることにより流量を得る観測方法である。

流速(V)=見通し間距離(L)/流下時間(T)
図:浮子観測所モデル図

5.8.浮子表

 高水流量観測の浮子法では、水深方向の平均流速を測定しようとしているため、洪水水深に応じて浮子の種類を変化させなければならない。浮子表とは、水深と投下する浮子の種類との関係を横断面図に着色することにより表現したものである。観測時に誤って不適切な浮子を投下しないように、あらかじめ作成しておく必要がある。「水文観測」とは異なるが、実務的に第1見通しと第2見通しで作成するのが一般的である。
図:浮子表の例

5.9.第一見通し

 高水流量観測の1手法である浮子観測は、浮子を一定区間流し、その間の通過時間と区間距離から浮子の流速を算定する。第一見通しとは、その一定区間の起点となる上流端の横断位置のことである。施設としては、左右岸に見通しを確認できる見通し杭と量水板が設置されている。また、第一見通し位置における横断面を第一見通断面という。
図:観測所モデル図



5.10.第二見通し

 高水流量観測の1手法である浮子観測は、浮子を一定区間流し、その間の通過時間と区間距離から浮子の流速を算定する。第二見通しとは、その一定区間の終点となる下流端の横断位置のことである。施設として、左右岸に見通しを確認できる見通し杭と量水板が設置されている。また、第二見通し位置における横断面を第二見通断面という。
図:観測所モデル図

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