松山市指定天然記念物。
日浦地区の両新田神社の境内に、愛媛県内第一の大きなヤブツバキがある。
根回りは5.1mあり、これより7本の大小の支幹が8方に出て、高さは10m、枝張りは東西に13m、南北に14.5mもある。
また周囲の枝はやや垂れ下がっていて、まれに見る優れた樹形である。
4月の終わりごろの花ざかりには、全株無数の花で被われ見事な美しさである。
このツバキは「新田椿」とも呼ばれ、南北朝時代、上野国で戦いに敗れた新田義宗(にったよしむね)・脇屋義治(わきやよしはる)らが四国まで落ちのびてきたときの悲しい伝説がある。
義宗が遠路の旅で疲れ果てたとき、家来の者が道のわきに入って、木を切り杖を作って戻ってきた。
義宗はこの杖にすがって歩き、ようやくこの地までたどりついて、杖を捨てた。
ところがこれから根が出て、立派に育ったツバキということで、「お杖椿」の名がつけられた。