魚のゆりかごづくり

1 背景と目的

2 取り組み内容

3 進捗状況

4 主な効果

1 背景と目的

四万十川産の天然スジアオノリは地域の名産品となっています。また、コアマモという水草が生えている場所では、アユやアカメをはじめとする多くの魚の子どもが育つため、四万十川には200種類を超える魚類が確認されています。
このスジアオノリやコアマモは、河口の海水と川の水が混じり合う汽水域の浅場に生えますが、近年は浅場が減少しています。
このため、四万十川の生き物を育む汽水域の浅場の再生を目指して取り組んでいます。

四万十川の大島のコアマモ場で育つアカメの子ども

四万十川の大島のコアマモ場で育つアカメの子ども

四万十の冬の風物詩スジアオノリ干し

四万十の冬の風物詩 スジアオノリ干し

2 取り組み内容

四万十川の汽水域で、2つの取り組み(コアマモ場の再生、スジアオノリ場の再生)を行っています。

「魚のゆりかごづくり」の実施予定範囲

「魚のゆりかごづくり」の実施範囲
※クリックすると拡大します。

①コアマモ場の再生

高水敷(※1)の一部をワンド状(※2)に切り下げて、コアマモなどが生育し、魚類などの水生生物の安定したすみかとなる静穏な浅場を創っています。
(※1)高水敷とは、川の水が常に流れているところより一段高い部分のことです。
(※2)ワンドとは、川の本流とつながっているが、池のようになっている場所のことです。

コアマモ場の整備イメージ

コアマモ場の整備イメージ

コアマモ場の再生の実施状況

コアマモ場の再生の実施状況(実崎[さんざき]箇所)

②スジアオノリ場の再生

四万十川の砂州や中州の高くなりすぎている部分を切り下げて、スジアオノリが生育できる主に小石で構成される浅場を再生しています。

スジアオノリの生育場所の整備イメージ

スジアオノリの生育場所の整備イメージ

スジアオノリの生える川底

スジアオノリの生える川底

3 進捗状況

コアマモ場の再生については、平成28~29年に実崎[さんざき]箇所にワンドを整備しました。完成した浅場では、平成29年度に地元の子どもたちや四万十川自然再生協議会などと一緒にコアマモの移植を行いました。
スジアオノリ場の再生については、令和2年度をもって整備を完了しました。
上記の箇所でモニタリング調査を継続しています。

コアマモの移植

コアマモの移植

4 主な効果

コアマモ場の再生による効果

●ワンドの中ではたくさんの生き物が確認されています。高知県でごく近い将来において野生での絶滅の危険性が高いとされている魚類も見つかりました。

チゴガニ

チゴガニ

チワラスボ

チワラスボ

スジアオノリ場の再生による効果

●再生工事によってスジアオノリが生育できる水深の川底の面積が広がり、工事後にすぐにスジアオノリが生えました。
●平成28年には、川底にびっしりと生えた場所でスジアオノリ漁が行われるなど、良好なスジアオノリ場が形成されました。

取り組み実施箇所の川底一面に生えたスジアオノリ

取り組み実施箇所の川底一面に生えたスジアオノリ

取り組み実施箇所で行われたスジアオノリ漁

取り組み実施箇所で行われたスジアオノリ漁
(平成28年1月)

四万十川自然再生事業は3つの取り組みで構成されています。
事業の構成1 アユの瀬づくり2 ツルの里づくり/3 魚のゆりかごづくり

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