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ススキ群落
類似群落:
ネザサ群落

法面 在来




識別ポイント
堤防法面や高水敷にススキが優占していることで識別する。ススキはイネ科の多年草で株状に成育する(写真右)。オギに非常によく似ているが、オギは株立ちにならないこと、堤防法面や高水敷には成育しないことからも区別できる(オギ群落参照)。また、同様の環境にネザサの優占するネザサ群落が成立することもある。

構成種
ススキは1 〜2m に達し、上層で優占する。下層にはヨモギ、セイタカアワダチソウ、スイバ、ノイバラなどが成育し、群落は6 〜25 種程度から群落が構成される。また、四万十川や仁淀川の法面にはススキに寄生するナンバンギセルがしばしば群生する。

成育立地の環境特性
乾燥した立地であり、1 年に1 回程度の刈り取り管理が行われている堤防法面や高水敷に成立する。仁淀川や那賀川などの堤防法面での試験から、刈り取り頻度と植生には、おおよそ次のような関係が報告されている(浅見他、1995)。

生態的機能
河川の乾燥した環境の草原として、バッタ類、チョウ類などの生息環境となる。

四国での分布
ほぼ全ての河川で確認されている。


保全上の留意点および保全・創出に関する事柄
特に留意することはないが、刈り取り管理が少ない法面や高水敷はしばしばセイタカアワダチソウやヨモギが繁茂するようになる。それらの群落は組成が単純で生物多様性に低く、花粉症(ヨモギ)の原因になったりする。そのため、そのような植生が繁茂する場合は、ススキ群落などへ移行させてもよいであろう。ススキは株を移植することにより、容易に活着する。

植物社会学上の位置づけ
河川におけるススキの優占群落は植物社会学的にはまとめられていない。上級単位は、ススキ−トダシバ群団、ススキオーダー、ススキクラスである。
浅見佳世・服部保・赤松弘治.1995 .河川堤防法面の刈り取り管理に関する研究.ランドスケープ研究58(5);125‐ 128 .