四万十川自然再生事業とは

1. 自然再生事業の背景

2. 四万十川自然再生事業とは

3. 四万十川自然再生事業の進め方

1. 自然再生事業の背景

現在、自然の再生能力を超えた自然資源の過度の利用などの行為により、自然環境の悪化が進んできており、自然と共生する社会の実現と地球環境の保全が重要な課題となっています。このため、生態系の保全や生物種の保護のための取り組みを推進することはもちろん、過去に損なわれた自然を積極的に取り戻す「自然再生」によって地域の自然環境をよみがえらせることが必要となっています。
国土交通省では、都市公園・緑地事業、河川事業、港湾事業等の所管事業を通じて、湿地の再生、蛇行河川の復元、干潟・藻場[もば]の保全・再生、樹林地や里山の保全・再生など様々な自然再生に関する取り組みを地域の多様な主体の参画を得て進めております。

空から見た四万十川の下流域

空から見た四万十川の下流域

2. 四万十川自然再生事業とは

国土交通省四国地方整備局中村河川国道事務所は、四万十川に現在も残る自然を保全するとともに、人と自然とが共生できていた昭和40年代の原風景の保全・再生を目指す「四万十川自然再生事業」として、以下の3つの事業を実施しています。

1 アユの瀬づくり アユの産卵場となる瀬や広い礫河原[れきがわら]の再生 四万十川入田[にゅうた]地区
2 ツルの里づくり ツルたちが安心して越冬できる里づくり 中筋川流域
3 魚のゆりかごづくり 四万十川の生き物を育む汽水域の浅場の再生 四万十川の河口~山路[やまち]・不破[ふば]付近

※各事業の詳細については、国土交通省の取り組みをご覧下さい。

四万十川自然再生事業の実施場所

四万十川自然再生事業の実施場所
※クリックすると拡大します。

■四万十川で自然再生を行う理由

四万十川は、アユやスジアオノリなど自然の恵み豊かな川として、全国的に知られています。しかしながら、これらの漁獲量は近年大きく減っています。この背景には、アユが産卵する瀬や、スジアオノリやコアマモ(※)という水草が生える汽水域の浅場など貴重な自然環境が減少していることもその一因と考えられます。
また、中筋川流域の平地は冬季にナベヅルやマナヅルなどが飛来・越冬する場所として知られ、世界のナベヅルの約9割が越冬する鹿児島県出水[いずみ]市から越冬地を分散させるための有力な候補地とされました。しかし、市街化や宅地化等が進み、休耕地も増えているため、越冬地となる湿地環境が減少しています。 このように、清流として名高い四万十川であっても様々な問題を抱えており、対応が求められています。
(※)コアマモが生えている場所では、アユや巨大魚アカメなど様々な魚の子どもが育ちます。

四万十川の冬の風物詩となっている落ちアユ漁

四万十川の冬の風物詩となっている落ちアユ漁

鹿児島県出水市のツルの越冬の集中

鹿児島県出水[いずみ]市のツルの越冬の集中
(伝染病等による大量死が懸念されています)

3. 四万十川自然再生事業の進め方

四万十川自然再生事業の進め方には、以下の2つの特徴があります。

①段階施工

自然再生事業は、自然の復元力を活かして生き物の生息・生育場所を再生していくものです。このため、少しずつ段階的に事業を行って、自然の反応をモニタリング調査で確認しながら事業を実施しています。

段階施工のイメージ

②地域との協働連携

四万十川自然再生協議会、四万十つるの里づくりの会、漁業協同組合、専門家、地元自治体、地区、学校などと協働・連携して事業を進めています。特に、「ツルの里づくり」については、ツルの定着により地域活性化及び経済振興を目指す「四万十川流域生態系ネットワーク」の取り組みとも連携して進めていきます。

協働連携のイメージ

協働連携のイメージ

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