渡川流域の概要(環境編)

 四万十川の自然環境は、山間渓谷部の源流から佐賀取水堰までの上流部、大きく蛇行を繰り返しながら瀬淵を形成し流下し、沈下橋等による里山の景観が特徴である佐賀取水堰から四万十市佐田付近までの中流部、山地から平野部に入り四万十川の豊かな自然環境を育む広大な汽水域を有する佐田付近から河口までの下流部に大きく区分されます。

 

 

 

上流部【佐賀取水堰〜源流(約107k〜源流) 】

モミ、ツガを主とする原生林が残る山間部を流れ、源流部には清流にしか生育しないセイラン (カワノリ)が自生しています。

水域にはアマゴやモクズガニが生息し、渓流沿いの樹林ではオオルリやアカショウビン等が生息・生育・繁殖しています。

 

中流部【佐田付近〜佐賀取水堰(約14k〜約107k) 】

大きく蛇行を繰り返しながら流れ、瀬・淵が連続し、礫河原が広がり、水域には、アユカケやテナガエビが生息し、川沿いの岩上には、四国固有種のトサシモツケが自生しています。

沈下橋と礫河原が広がる里山の景観が四万十川の特徴的な景観として有名で、支川には滑床渓谷や黒尊渓谷等の景勝地が存在します。

 

下流域・河口域【河口〜佐田付近(0k〜約14k)】

砂州と河畔林が広がる平地部を流れ、アユの産卵場となっている瀬や河口部の感潮域ではスジアオノリが生育する砂礫底が続き、感潮域上流部にはアカメが生息する淵が存在しています。

入田地区の瀬には天然アユの産卵場もあり、この地区内には、高知県希少野生動植物保護条例の指定種であるマイヅルテンナンショウの大群落が近年確認されるなど、数多くの貴重な動植物が生息・生育・繁殖しています。

大島周辺の干潟のヨシ帯には高知県で唯一の確認場所となっているヨドシロヘリハンミョウが、大島水裏部における感潮域の砂泥底には、アカメ等の仔稚魚の生育場となるコアマモが生育しています。

  

後川

後川は、田園地帯を流下しながら連続した瀬・淵を形成し、ボウズハゼ、カマキリ(アユカケ)等の魚類などが生息しています。

秋田地区では、瀬・淵やワンド等の多様な環境が保たれており、高知県希少野生動植物保護条例で指定されているヒナイシドジョウが生息しています。

中筋川

中筋川は田園地帯を緩やかに流下し、下流部は感潮域となっています。

順流区間の間地区に湿地帯が広がり、ヒメナミキ、ヨコミゾドロムシ、セスジイトトンボ等の湿地に特有の動植物が生息・生育・繁殖しています。

山路橋付近から下流の砂礫底には、重要な水産資源である天然のスジアオノリが生育しています。

 

空間利用

四万十川は、豊かな自然に恵まれ“日本最後の清流” と呼ばれ、年間を通じて、多くの観光客や地域の人々に親しまれ、人々の潤いや憩いの場になっています。

中半家沈下橋をはじめ47橋の沈下橋が現存し、四季折々の表情を見せる周辺の自然と一体となった四万十川の風景として、観光客や地元の住民に親しまれています。

上流部は「アメゴ釣りな祭」などの渓流釣り、支川目黒川の滑床渓谷や支川黒尊川の黒尊渓谷は散策、キャンプ等に利用されています。

中下流部は、多くの屋形船や観光遊覧船が運航し、夏場には沈下橋周辺での川遊びやカヌーなどに利用されています。また、川漁師によりアユの火振り漁やゴリのガラビキ漁などの伝統漁法が今も続けられています。

平成13年3月に高知県が「四万十川条例」を策定し、四万十川の河川環境の保全や地域振興等を図っています。

 

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