四国圏の発展に向けた基本方針 四国圏広域地方計画の概要

四国圏の発展に向けた基本方針

 社会の潮流や四国圏の特徴を概観したうえで、圏域の概要を整理し、四国圏の発展に向けた基本方針と目標を整理します。

四国圏の現状と課題

1.四国圏の概要

  • 四国圏の人口は2014年10月1日現在で約3.1%(約388万人)であり、1985年の約423万人をピークに減少に転じています。
  • また、2014年の65歳以上の高齢者の割合は30%と、圏域全体での人口減少は全国より約25年早く、高齢化も約10年早く進行しています。

■人口減少の推移

人口減少の推移のグラフ

■四国圏の推計人口及び構成比の推移

四国圏の推計人口及び構成比の推移のグラフ
  • 気候は温暖で、世界有数の内海である瀬戸内海と雄大な太平洋に面し、西日本最高峰である石鎚山に代表される急峻な四国山地や日本屈指の清流である四万十川等が存在するなど、変化に富む豊かな自然環境を有しています。
  • 瀬戸内海や紀伊水道、豊後水道を介して中国圏・近畿圏・九州圏に隣接しており、古くから瀬戸内海を中心に活発な交流が行われ、四国遍路や金刀比羅宮参拝等の独自の文化が育まれています。

■四国圏の地域資源

四国圏の地域資源の図

2.安定した社会を支える安全・安心な四国圏の創出

  • 南海トラフ地震により想定される甚大な被害、台風や集中豪雨による水害、土砂災害、渇水被害等の自然災害から生命や財産を守り、安全・安心が確保された災害に強い四国圏をつくることが求められます。
  • 今後30年以内に発生する確率が70%程度と予測されている南海トラフ地震は、最大クラスの地震で震度6強から震度7の強い揺れを四国全域で発生させるとともに、地震により発生する津波は太平洋沿岸域の高知県⼟佐清⽔市や黒潮町等においては30mを超える巨大な津波となって襲来すると想定されています。
  • その強い揺れと津波等により、四国全体で約9.6万人の死者、約15.2万人の負傷者が発生するという甚大な被害が想定されています。

■南海トラフ地震についての予測

南海トラフ地震についての予測の図表

■震度分布図(最大値)

震度分布図(最大値)の図

■市町村別最大津波高さ(最大値)

市町村別最大津波高さ(最大値)の図

■昭和の南海地震による被災状況(高知市)

昭和の南海地震による被災状況(高知市)の写真

■東北圏と四国圏の類似性(三陸リアスと土佐湾沿岸)

東北圏と四国圏の類似性(三陸リアスと土佐湾沿岸)の写真
  • 四国圏は、急峻な地形と圏域を東西に走る構造線によって脆弱な地質構造にあることから、地すべり危険箇所が四国山地の一帯で多数存在するなど、全国の地すべり危険箇所数の約12%を占めています。

■急峻な地形と脆弱な地質構造

四国の地形勾配分布図
  • また、台風常襲地帯にあることに加え、近年、雨の降り方が局地化、集中化しており、今後の気候変動の影響等によって、さらなる水害、土砂災害、高潮災害等の頻発・激甚化が懸念されています。
  • その一方で、瀬戸内海側は全国でも有数の少雨地帯であり、渇水被害が頻発しています。

■近年増加している集中豪雨

75mm以上の時間降水量回数の推移グラフ

■1人当たり自然災害被害額

各圏域の1人当たり自然災害被害額のグラフ

■渇水による影響(最近30年で渇水による影響の発生した状況)

最近30年で渇水による影響の発生した状況の全国図と平均降雨量分布図
  • 今後10年間で四国圏における直轄国道の橋梁の約半数が建設後50年を経過することなどを始め、河川、ダム、砂防、海岸、道路、下水道、港湾、空港等の社会インフラは今後20年間のうちに老朽化が急速に進むと見込まれていることから、適切な維持管理・更新等を行い、機能維持を図っていくことが必要です。

■四国圏における建設から50年を経過する橋梁の割合(直轄国道の橋梁)

四国圏における建設から50年を経過する橋梁の割合(直轄国道の橋梁)のグラフ

■社会資本の老朽化による被害の例

社会資本の老朽化による被害の例の写真
  • 四国圏においては、道路橋約47,400橋のうち約73%(2014年12月末現在)が市町村管理となっていることなどを始め、道路、下水道等の社会インフラの多くは市町村が管理を行っている。特に技術面や人員面で課題が多いこれら市町村を国県が主体となり支援を行うことで、持続可能なメンテナンス体制及びメンテナンスサイクルを構築することが重要となっています。

■四国圏における橋梁の管理者別の割合

四国圏における橋梁の管理者別の割合のグラフ

■四国内の市町村へのアンケート(技術職員の不足)結果

四国内の市町村へのアンケート(技術職員の不足)結果のグラフ

3.自立的・持続的発展に向けた四国圏の地方創生

  • 急激に進展する人口減少・少子化、高齢化の中、人々が生き生きと暮らし、誰もが住みたいと思える魅力ある地域づくりを進め、豊富な地域資源や民間の活力を活かして地域の個性を磨き、圏域内外との交流・対流を促進することによって、四国圏の自律的・持続的な発展を実現することが求められます。
  • 生活環境において、四国圏の女性の帰宅時間は徳島県で全国平均に比べ50分ほど早く、保育所等入所待機児童数も2015年4月現在の都道府県計23,167人のうち四国4県を合計しても352人(約1.5%)と少なく、雇用や保育環境の面で他圏域よりも女性が働きやすい環境が整っているほか、1日のうち、余暇を過ごす時間について、愛媛県が男⼥ともに全国平均を上回っており、徳島県と高知県では男性が全国平均を上回っています。
  • また、四国各県ともに、住居面において人口1人当たりの住宅の床面積は香川県の52㎡を始め、全国平均の42.6㎡を上回っているほか、医療面においても人口当たりの小児科・小児外科病院数が約1.7倍、介護療養型医療施設数等が約3.1倍と全国平均を上回っています。

■四国4県の女性の帰宅時間と四国4県の待機児童数

四国4県の女性の帰宅時間と四国4県の待機児童数のグラフ

■3次活動の平均時間(男性有業者と女性有業者)

3次活動の平均時間(男性有業者と女性有業者)のグラフ

■住宅の床面積(人口1人当たり)と小児科・小児外科病院数(15歳未満人口10万当たり)

住宅の床面積(人口1人当たり)と小児科・小児外科病院数(15歳未満人口10万当たり)のグラフ

■産婦人科・産科病院数(15歳~49歳女性人口10万人当たり)と介護療養型医療施設数(65歳以上人口10万人当たり)

産婦人科・産科病院数(15歳~49歳女性人口10万人当たり)と介護療養型医療施設数(65歳以上人口10万人当たり)のグラフ
  • 四国圏には、高機能素材の一大集積地として、炭素繊維、アラミド繊維など大手先端素材メーカーの世界的な製造拠点や紙関連産業、優れた技術を有するニッチトップ企業等が集積しています。
  • また、全国に比べ第一次産業のウエイトが約2倍程高く、全国有数の生産量を誇る野菜や果物も栽培されており、京阪神地域を中心とした市場への農林水産物の出荷が増加しています。

■四国圏が誇る日本一・世界一企業・事業所

四国圏が誇る日本一・世界一企業・事業所の表

■全国有数の生産量を誇る農林水産物

全国有数の生産量を誇る農林水産物のグラフ
  • 近年、地域づくりに欠かせない広い視野と心を持った多様な個性ある人材の輩出を目指した大学・高専・高校・専修学校等の教育機関、産業界・経済界及びNPO、⾏政等が連携した人材育成活動が活発に行われています。

■産学官の連携による活発な人材育成活動

産学官の連携による活発な人材育成活動の写真
  • 四国圏は、製造品出荷額等の業種別構成比で約6割を基礎素材型産業が占め、加工組立型産業の割合は23.6%と全国平均の43.5%に比べて少なくなっています。

■製造品出荷額等による業種別構成比

製造品出荷額等による業種別構成比のグラフ
  • 本四架橋が開通し、他圏域との交通アクセスが向上し、地域づくりにおいて欠かせない人流・物流等の相互交流が活発化してきています。

■四国圏発着の外貿コンテナ貨物推移

四国圏発着の外貿コンテナ貨物推移のグラフ
  • 情報通信では、超高速ブロードバンドや携帯ネットワークの基盤は高い水準で整備されています。

■四国圏におけるブロードバンドサービスの契約数の推移と四国圏におけるブロードバンドの利用環境

四国圏におけるブロードバンドサービスの契約数の推移と四国圏におけるブロードバンドの利用環境のグラフ
  • 汚水処理人口普及率は2013年度末現在における全国平均の約89%に対して四国圏では約69%となっているなど基礎的な社会資本の整備が遅れているほか、2014年の病院の耐震化率は香川県の60%を始め、四国各県ともに全国平均の67%を下回るなど、日常の安全・安心にかかわる建築物の耐震化等が遅れています。

■生活基盤の整備状況(汚水処理人口普及率)と病院の耐震化率

生活基盤の整備状況(汚水処理人口普及率)と病院の耐震化率の表とグラフ
  • 四国圏域の広範囲をしめる中山間地域、半島及び島しょ部を中心に過疎地域が分布しており、2010年現在で圏域全体の約23%の人口が過疎地域に住み、その高齢化率は約35%と高くなっています。

■過疎地域の人口と高齢化率

過疎地域の人口と高齢化率の図表
  • 四国圏は、徳島県の「阿波尾鶏」、香川県の「讃岐うどん」、愛媛県の「ジャコ天」、高知県の「かつお」等、全国的にも知られた食品・食材が数多くあります。
  • 世界的にも有名な弘法⼤師ゆかりの地を巡る四国遍路や金刀比羅宮参拝等の信仰文化、全国屈指の認知度、規模を誇る「阿波おどり」や「よさこい祭り」等の踊り、「西条まつり」等の山車を主体とする祭りの数々、我が国最古の温泉と言われる道後温泉など、各地に点在する歴史的街並みも含め数多くの歴史や伝統を物語る文化遺産に恵まれています。

■四国圏を代表する食品・食材、歴史や伝統を物語る文化遺産

四国圏を代表する食品・食材、歴史や伝統を物語る文化遺産の写真
  • 全国で現存する天守12箇所のうち、高知城など4箇所が四国に現存しています。

■四国圏に現存する天守

四国圏に現存する天守の写真
  • 2014年における四国圏への外国人延べ宿泊者数の割合は2014年において国内全体の約0.6%と非常に低くなっています。

■訪日外国人延べ宿泊者数の比率(2014年)

訪日外国人延べ宿泊者数の比率(2014年)のグラフ
  • 四国圏は、高規格幹線道路等の整備進捗率が全国に比べ低いなど、社会資本による交通ネットワークの整備が全国に比べ遅れています。
  • 住民活動や企業活動の広域化が進む中において、圏域外との旅客流動の近年20年間の減少率が他圏域と比べ最も大きいなど、いまだ圏域内や中国圏・近畿圏・九州圏との連携・交流が弱い状況にあります。

■高規格幹線道路等の整備状況

高規格幹線道路等の整備状況の図

■圏域外との旅客流動の推移

圏域外との旅客流動の推移のグラフ
  • 超高速ブロードバンドを活用し、山村でも仕事ができるサテライトオフィスやテレワーク等の遠隔勤務により、大都市から人や事業所を呼び寄せる先進的な取組が行われるなど圏域を越えた交流の拡大が期待されています。
  • さらに、近年、四国圏域を経由した他圏域間の交流も増加しつつあり、四国アイランドリーグplusやJリーグを始めとする地域密着型スポーツ活動の広がりもみられ、圏域内外の交流の高まりも期待されています。

■テレワーク等の遠隔勤務

テレワーク等の遠隔勤務の写真

■四国圏の地域密着型スポーツ活動

四国圏の地域密着型スポーツ活動の図

四国圏の将来像

 全国計画が目指す国土の基本構想としての「対流促進型国土」の実現に向け、四国圏においても地域構造としての「コンパクト+ネットワーク」の形成を進めていきます。

四国圏の発展に向けた基本方針

四国圏の発展に向けた目標

四国圏と周辺を表した「四国は一つ」の図
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