他圏域との連携

他圏域との連携詳細

 四方を瀬戸内海や太平洋等に囲まれている四国圏は、他圏域と比べて人口集積が低いものの、古くから瀬戸内海を中心とした海路を通じて他圏域との交流が活発に行われ、独自の伝統・文化を育くむとともに、今日においても経済活動や住民生活の面で多様な交流が広がっている。
 特に、瀬戸内海を挟んで対面する中国圏とは、本四架橋の開通等を背景に、アートや自転車などの国際的なイベント等を通じて、地域の交流・連携が着実に進展しているが、観光、産業、防災、環境、人材育成などの面において共通の課題を有しており、今後もさらなる両圏域の連携が求められているところである。

連携テーマ

広域観光・インバウンド観光の促進

背景・他圏域との連携の方針

中国圏等と共有する瀬戸内海は、多島美に恵まれた景観、歴史的な街並み、村上水軍を始めとした遺跡等の歴史文化資源、数多くの定期航路等を有している。近年では、国際的なイベントの舞台としても連携を深化させてきているほか、南北高速道路等の活用により日本海、瀬戸内海、太平洋の3つの海を跨いだ広域観光の推進が望まれている。

観光資源や地域資源を「つなぐ」ことで国内外から多くの観光客を集客し、世界的な観光資源化を目指した観光地の質の向上を図る。

他圏域との連携による取組

主要広域観光ルート、広域観光拠点地区、天守閣が現存する城郭を示した四国の図

●スローツーリズムや海での新たな体験を創出

日本の原風景ともいえる海と島・岬等で構成される箱庭的な景観をゆっくり満喫するため、旅客船・フェリー・ヨット・クルーズ船・水上飛行機等、多様な移動手段を演出としても活用

(左図)室戸世界ジオパーク、(右図)チャーターヨットによる瀬戸内クルーズの写真

▲(左図)室戸世界ジオパーク、(右図)チャーターヨットによる瀬戸内クルーズ

●インバウンドの振興

しまなみ海道地区を拠点に広域観光周遊ルート等の形成やクルーズ客船の誘致等推進

島を舞台とした国際芸術祭の開催等、国際交流イベントの開催を促進

左から瀬戸内国際芸術祭2016、道後温泉、栗林公園、外国人の歩きお遍路さんの写真

▲(左図)瀬戸内国際芸術祭2016、(中左図)道後温泉、(中右図)栗林公園、(右図)外国人の歩きお遍路さん

●日本海・瀬戸内海・太平洋の3つの海をつなぐ広域観光を推進

南北軸の高速道路等を活かし、現存する天守閣等の歴史文化資源、ユネスコ世界ジオパーク等の自然資源、温泉、郷土料理等を連携

左から松山城、西予ジオパークの写真

▲(左図)松山城、(右図)西予ジオパーク

●サイクルツーリズムの推進に向けた環境整備を促進

サイクルオアシスの写真

▲サイクルオアシス

●広域観光を支える推進体制の充実

瀬戸内海においてそれぞれのブランド戦略作成やマーケティング等を行う組織の設立と活動の推進

瀬戸内ブランド推進体制の写真

▲瀬戸内ブランド推進体制

産業集積地間の連携等による国際競争力強化

背景・他圏域との連携の方針

瀬戸内海に面する四国圏では、海上輸送に恵まれた地理的特性等を活かして、化学、パルプ・紙・紙加工品等の基礎素材型産業が集積している。

造船業とそれに関連する船体ブロック産業や舶用工業、海運業が集積しており、海上物流の利点を活かした緊密な物流ネットワークの構築により、造船業の規模は中国圏・四国圏で全国の4割強を占めている。

新たに高速自動車道路の開通により、南北及び東西方向において、新たに山陰地方や、ものつくり分野の先端産業や新たな成長産業の集積がみられる九州圏、近畿圏、中部圏等との広域的連携が見込まれる。

様々な集積の利点を生かした海事クラスターの強化や、九州圏、近畿圏、中部圏等との新たな大都市圏との連携ルートの活用を図る。

他圏域との連携による取組

造船業の集積、リサイクルポートを示した四国の図

●海事クラスターの強化

省エネ等の技術力、専門人材の集積、緊密なサプライチェーンを活かして、海事クラスターを強化

今治地域造船技術センターでの研修の様子の写真

▲今治地域造船技術センターでの研修の様子

●広域的なネットワークの形成

エコタウン事業の取組やリサイクルポートにおける取組等による広域的なネットワークの形成を推進

(左・左中図)リサイクルポートのイメージ、(中右・右図)直島町のエコタウン事業の写真

▲(左・中左図)リサイクルポートのイメージ、(中右・右図)直島町のエコタウン事業

●国際競争力ある広域的な産業集積拠点の形成・強化

ものづくり分野の先端産業や新たな成長産業の集積がみられる九州圏・近畿圏・中部圏等との広域的連携を通じて、国際競争力ある広域的な産業集積拠点の形成・強化を推進

左上からCLT(直交集成材)による新たな木材需要、右上、ファインバブル発生装置、上、大豆煮汁の濃縮乾燥(観音寺市)→機能性成分抽出(尾道市)→フリーズドライ化(福山市)の写真

▲(左上図)CLT(直交集成材)による新たな木材需要、(右上図)ファインバブル発生装置、(下図)大豆煮汁の濃縮乾燥(観音寺市)→機能性成分抽出(尾道市)→フリーズドライ化(福山市)

●国際競争力ある広域的な産業集積拠点の形成・強化

南北軸の高速道路網や東九州から愛媛、香川、徳島さらに淡路島を経て近畿の大都市圏へつながる物流ネットワーク等を活用

暮らしの安全・安心と防災ネットワークの整備

背景・他圏域との連携の方針

四国圏においては、南海トラフ地震の発生時において甚大な被害を受けることが想定されており、中国圏・四国圏9県により「中国・四国地方の災害等発生時の広域支援に関する協定」に基づき、カウンターパート制による支援体制を構築するとともに、瀬戸内海沿岸自治体は、地震等災害時における海上からの緊急支援を目的とした「瀬戸内・海の路ネットワーク災害時相互応援に関する協定」を締結している。

また、離島住民に対する医療サービスや広域救急搬送、災害時おける医療体制の確保が望まれる。

広域的な防災体制、支援活動についての具体化を図る取組、陸・海・空での総合的な防災力強化や救急医療体制の連携強化を図る。

他圏域との連携による取組

カウンターパート制による支援を示した四国の図

●広域的な防災活動や支援活動の具体化

「中国・四国地方の災害等発生時の広域支援に関する協定」や「瀬戸内・海の路ネットワーク災害時相互応援に関する協定」の連携体制を踏まえ、広域的な防災活動や支援活動について具体化

●救援・復旧体制の強化

中国圏等他圏域からの早期復旧・復興のバックアップ支援を迅速かつ確実に受け入れるため、「くしの歯ルート」の形成による道路啓開ルートや航路啓開ルートの確保

中国圏・四国圏の各防災関係機関が連携し、大規模災害を踏まえた広域的かつ、より実践的な訓練を実施するなど、総合的な防災力強化

四国圏における道路啓開・復旧オペレーションの写真

▲四国圏における道路啓開・復旧オペレーション

●広域防災拠点の整備や災害時の応援・救援体制の連携を推進

大規模地震や津波・高潮等の広域災害が発生した際に陸上交通網が遮断された場合に備え、海上交通の核となる耐震強化岸壁など広域防災拠点の整備や災害時の応援・救援体制の連携を推進

中国圏関係機関との合同防災訓練の写真

▲中国圏関係機関との合同防災訓練

●救急体制の連携強化

中国圏・四国圏域での血液の安定供給を目的とした中四国ブロック血液センターによる取組や、瀬戸内海の離島住民に対する診療船による医療サービスに加えて、広域救急搬送について緊急医療用ヘリコプター(ドクターヘリ)等も活用した救急体制の連携を強化、あわせて災害時において連携して必要な医療を提供するためのルートの確保

左から中四国血液ブロックセンター、巡回診療船、ドクターヘリの写真

▲(左図)中四国血液ブロックセンター、(中図)巡回診療船、(右図)ドクターヘリ

豊かな瀬戸内海等の環境保全と再生

背景・他圏域との連携の方針

瀬戸内海においては、埋立等により藻場・干潟が減少し、水質悪化も生じていたが、瀬戸内海環境保全特別措置法や水質汚濁防止法に基づく取組を進めてきた結果、水質には一定の改善がみられるようになった。

一方、依然として発生する赤潮や貧酸素水塊の対策、生物多様性・生物生産性の維持・向上等、新たな課題に対応する必要があるほか、漂流ごみ・漂着ごみ・海底ごみも問題となっている。

引き続き海ごみ対策に取り組み、美しい瀬戸内海を取り戻し、「豊かな瀬戸内海等の環境保全と再生」を目指す。

他圏域との連携による取組

ジオパーク、ラムサール湿地を示した四国の図

●瀬戸内海の清掃活動の継続

多様な主体による清掃活動の継続や海洋環境整備船による瀬戸内海の環境保全を推進

左からH26「リフレッシュ瀬戸内」の全体拠点、愛媛県ブロック拠点、海洋環境整備船の写真▲(左図)H26「リフレッシュ瀬戸内」の全体拠点(香川県坂出市沙弥)、(中図)愛媛県ブロック拠点(西条市高須海岸)、(右図)海洋環境整備船

●里海づくり活動

里海づくり活動など関係機関が連携した沿岸域の環境保全と再生のための多様な活動を広域的に展開

香川県の目指す「里海」の姿の写真

▲香川県の目指す「里海」の姿

アオリイカの産卵礁として間伐材を利用した「しば漬け」づくり(徳島県)の写真

▲アオリイカの産卵礁として間伐材を利用した「しば漬け」づくり(徳島県)

●様々な環境学習の取組

中国圏・四国圏に点在するジオパーク等において、その特徴ある地形や地質を通じた地球環境とのかかわりの中で、教育ツアーの実施や体験学習コーナーの設置など、様々な環境学習の取組を推進

左から室戸ジオパーク推進協議会、室戸ジオパークの教育ツアー、四国西予ジオパークのマップの写真

▲(左図)室戸ジオパーク推進協議会、(中図)室戸ジオパークの教育ツアー、(右図)四国西予ジオパークのマップ

課題を共有した人材育成、地域づくり等の推進

背景・他圏域との連携の方針

中国圏・四国圏では、これまでも観光振興、産業活性化、防災、環境保全面等での連携した取組を展開してきており、そのために行政、産業界、大学、地域住民及びNPO等での多様な連携組織を設立し、その推進を図ってきた。

今後、中国圏と四国圏は、それぞれの広域地方計画に掲げる将来像を実現するための取組を進めていく上で、観光、産業、防災、環境保全面において連携した取組を更に強力に進める必要がある。

連携した取組の推進体制の確立とその担い手のスキルアップや、地域づくり等の共通の課題に対応する取組も含め、多様な担い手の育成について、両圏域が連携して取り組む。

他圏域との連携による取組

課題を共有した人材育成、地域づくり等の推進の図
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