山鳥坂ダムブログ

実は最重要人物!?~山ダムを支える人たち~#8 (続)ボーリング調査編(高品質ボーリング)

令和4年4月15日

用地課の伊藤です。


 今回は2020年11月「実は最重要人物!?~山ダムを支える人たち~#3ボーリング調査編」の続編!山ダムでの地質調査のひとつのトピックスでもある「高品質ボーリング」について応用地質の山田さん、長岡さん、大西さんにお話を伺ってきました。

(左から長岡さん、山田さん、大西さん)


 まず、機械を見せていただきました。


 以前のブログで紹介したようにこちらの機械で地面から下に向けて穴掘りをしていきます。この機械で地盤を掘ったものがコアと呼ばれる試料です。コアから地盤の状態を確かめることができます。



 一体、どのように高品質になったのでしょう??



【高品質ポイント!部品の改良】

 ビットと呼ばれるこちらの部品。なんと一部にダイヤモンドが使用されていました!すてき!!

 ボーリング作業では「回転するビットと岩との摩擦熱を冷やす」役割で水が使われるのですが、その流れる水が試料を乱してしまわないようにビットの形を改良したそうです。調査目的と現地の地質により、硬さや形の違うビットで試行錯誤しながら掘り進めていくそうです!



【高品質ポイント!高画質LEDライト付きボアホールカメラ】

 地面の中をLED付きカメラで鮮明に見ることができ、ボーリングマシン操作士と確認を取りながら進めることができます。また、カメラには方位磁石がついていました。これなら100m先を掘ってもどのような地質がどの方向を向いて傾斜しているかを把握できますよね!


 このように地面の中を的確に判断するために、新しい技術が使われているのです。


 さて、試料を採取したあとは、どうなっていくのでしょう??



【1.運搬】

 採取されたコアは専用のクッションのある箱に収納されます。

 山中、急な斜面での作業になることが多く、現場には「おかもち台」を設置し、斜面でも水平を保てるよう工夫がされています。その後、車で応用地質現場事務所まで運搬します。その時にも振動や衝撃から守るよう配慮しているようです。



【2.洗浄】

 堀り上げたコアの汚れを、水とはけを使いながら掃除していきます。コアが崩れないように水は霧吹き状に、やさしく丁寧に汚れを取り除いていきます。柔らかく脆い岩盤状況の場合、1箱で1~2時間ほどかかるそうで・・・汚れが取れていなかったり、かたまったりすると地質の評価ができなくなるそうです。

 コアをひとつひとつ手作業で丁寧に洗浄していただいています。とてつもない集中力と汚れを判別する判断力が必要な作業ですよね!



【3.撮影】

 洗浄したら、事務所に設置されたこちらのスタジオで写真撮影をします。

 明るさや角度で影響がなく、同じ環境で撮影できるよう、カメラがセッティングされています。高画質の写真データがあれば、解析を担当する方と正確なやりとりができ、早い評価につながるのだそうです。


 以上が、地質評価をするための「基礎データの取得」となります。


 ここで、高品質ボーリングで採取されたコアと従来のコアを見てみましょう!写真のコアは、調査目的の違いにより約1m程度離れた場所で採取されています。

 おわかりいただけますでしょうか!?ほぼ同じところでの採取ですがコアの見た目の違いが一目で分かりますね!

 割れ目が少ないので岩の大きさ、種類、質等の正しい判断ができるようになるのです。

 ただし、これだけたくさんの手間暇がかかるだけに、時間とお金が必要なので、まずは従来のボーリングで広く調査を進め、地質状態が分かりづらい・わるい地質部分をはっきり確認したいときに、高品質ボーリングが登場。

 これを身近なもので例えると・・・人間ドック!

 ダムのような大規模な構造物が直接乗っかるような場所は、狙いを定めて、精度の高いコアを採取し、どんな地層がどこにあるか、より詳細にみる必要があるそうです。

 従来の工法が地盤の人間ドックだとすると、高品質ボーリングは人間ドックの結果を踏まえた精密検査と例えることができます。



 私は、地質調査の分野にふれるのははじめてでしたが、現場の技術者の方をはじめ、材料の改良などからこのような技術ができあがり、人と技術でダムの地質がより詳しく分かるのだなと改めて実感しました。

 また、高品質ボーリングによって、より正確に性質や状態が捉えられるようになり、結果的に適切な対策がとれるようになり、コスト削減や、作業の効率化にもつながっていると感じました。


~最後に~

 とても丁寧に取材に応じてくださった応用地質の山田さん、長岡さん、大西さん、貴重なお時間を割いていただき、ありがとうございました!さらに、ボーリングマシン操作士の方々、お忙しい中インタビューに答えていただきありがとうございました!


 次回、ボーリング調査編第三弾では、目視でコアの色・硬さ・形状・割れ目の状態などさまざまな項目を記録していく「観察」にはいっていきます。乞うご期待!!!

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