「川島の浜の地蔵」は、殿様巡視の際、台座が余りにも高すぎるため一つを外してしまったという伝説が残っています。台座高三位を誇る高地蔵です。
 地蔵が建てられたのは天保14年(1843)4月、まだ堤防がなかった頃のことです。この辺りは、川が湾曲しているため、水が出る度に被災者の亡骸が流れついたといいます。川遊びをする子供の事故も多く、水没者の供養と、水難除けのために移されました。「浜の地蔵」と親しまれて人々の信仰を集めるようになってから、付近の水難事故はなくなったと伝えられています。傍らには「川島渡し場跡」の碑。渡し場の出船入船を見守っていたのもこの地蔵です。
 南隣りの小さな公園では、かつて歌や踊りが催される地蔵まつりが行われていました。堤防が築かれた今では、堤防上に屋台が立ち並ぶひときわ賑やかなお祭りとなりました。
 堤防とダムがつくられ、洪水が以前のように恐ろしいものではなくなった今も、8月の24日にはムシロを敷き、百万遍の数珠を操り、地蔵をお祀りしています。
◎台座高 2・67m ◎全 高 3・72m