電子納品の要求事項



■電子納品の要求事項

 電子納品を実現するため、関連する要領案、基準案がありますが、この内容についてどのような要求事項があるのかを確認してみます。
 関連基準内の記載は、大きく分けて、電子納品のための要求事項と、成果品の作成方法にかかわる標準化の要求事項があります。電子納品は新たな試みであり、CALS/ECの思想でもある情報共有や再利用を想定した取り決めが必要です。電子成果品の情報は、公共施設のライフサイクルで有効に活用するために、その保管方法、検索や参照するために必要なデータについて規定されています。また、電子成果品そのものについては、作成方法・内容やデータファイルの形式などの標準化が規定されています。主な要求事項には以下のようなものがあります。


● 電子納品媒体の階層構造

 電子納品では、成果品の種類ごとにファイルを管理するために、納品媒体内の階層(フォルダ)についての規定があります。また、各編及び業務、工事でそれぞれ多少の差異はありますが、種類別のフォルダ分けをする点は同じです。

土木編: 業務:報告書(REPORT)、図面(DRAWING)、写真(PHOTO)、地質データ(BORING)、測量データ(SURVEY)
工事:発注図(DRAWINGS)、打合せ簿(MEET)、施工計画書(PLAN)、完成図(DRAWINGF)、写真(PHOTO)、その他(OTHRS)
電気通信設備編: 業務:報告書(REPORT)、図面(DRAWING)、写真(PHOTO)、地質データ(BORING)、測量データ(SURVEY)
工事:発注図(DRAWINGS)、打合せ簿(MEET)、施工計画書(PLAN)、完成図(DRAWINGF)、写真(PHOTO)、その他(OTHRS)、設備図書(FACILITY)
機械設備工事編: 業務:報告書(REPORT)、図面(DRAWING)、写真(PHOTO)、地質データ(BORING)、測量データ(SURVEY)
工事:発注図(DRAWINGS)、打合せ簿(MEET)、施工計画書(PLAN)、施工図面・完成図(DRAWINGF)、完成図書(K_BOOK)、写真(PHOTO)、その他(OTHRS)、台帳(K_LDR)



● 電子成果品のファイル名

 電子納品では、その維持管理や再利用のため、ファイル名についての取り決めがあります。ファイルの内容を表す文字を使うことや、連番付けによる管理方法が規定されています。

<例>
報 告 書: 報告書1 REPORT01
打合せ簿: 打合せ簿1のオリジナルファイル1 M0001_01
図  面: ライフサイクル設計
橋梁の構造一般図
図面番号1
最終成果物
D0GS001Z
写  真: 状況写真1 P0000001



● 成果品ファイルの内容

 成果品ファイルの作り方や内容については、共有や連携では、統一化されている必要があります。電子納品の関連基準では、内容に関わる標準化が規定されています。

<例>
図面
(CAD製図基準(案))
レイヤ名、色、線種、線幅など
報告書
(土木設計業務等の電子納品要領(案))
PDF形式、しおりなど
地質データ
(地質・土質調査成果電子納品要領(案))
ボーリングデータの項目など



● 成果品ファイルのフォーマット

 フォーマットに関しては、受発注者間で協議して決めるものと、規定されているものがあります。
 報告書のオリジナルファイル、打合せ簿、施工計画書の添付資料などのファイルフォーマットは協議して決定します。また、「業務の報告書はPDFファイル」など予め決められているものもあります。


● 管理ファイル(XMLファイル)

 管理ファイルは、電子成果品を管理する上で重要なデータです。業務や工事の情報と、成果品ファイル1つ1つの内容を説明するためのデータで構成されています。この管理データにより検索性を向上し、円滑な再利用が可能となります。
 管理ファイルのデータは、成果品の種類によって数が異なります。数項目から数十項目が各関連基準内で規定されています。この管理ファイルは、DTDと呼ばれる定義ファイルの情報を元にXMLフォーマットで作成します。DTDは国土交通省のホームページからダウンロードすることができます。



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