■セイヨウカラシナ群落 類似群落: ネズミムギ群落、ギシギシ−アレチギシギシ群落
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■識別ポイント 主に低水敷の富栄養な立地にセイヨウカラシナが優占することにより識別できる。群落高はほとんどが0.5 〜1.5m 程度である。春季には優占種のセイヨウカラシナが黄色の花を咲かせ、離れた場所からでも識別が容易である。なお、高知県では群落は形成していないものの同じ属のセイヨウアブラナがみられる。類似群落のネズミムギ群落は、ネズミムギが優占することで識別できる。また、ギシギシ−アレチギシギシ群落はギシギシ属の植物が優占することで識別できる。 ■構成種 構成種は数〜20 種程度、平均は10 種程度である。メヒシバ、キンエノコロ、シマスズメノヒエなどのイネ科の一年草の出現頻度が高い。 ■成育立地の環境特性 年に数回程度冠水する富栄養な立地である。冠水などの攪乱により持続する。冠水頻度が低下するとノイバラクラスの群落へ遷移すると考えられる。 ■生態的機能 セイヨウカラシナやセイヨウアブラナは春季に開花して群落の最盛を迎えるが、河川水辺の国勢調査では秋季の植生図を作成するために、植生図にはほとんど現れてこない。 春が過ぎてセイヨウカラシナが枯死した後には、およそネズミムギ群落やギシギシ−アレチギシギシ群落が成立しているようであるが、詳細に検討された例はなく、今後の検討が必要である。ネズミムギ群落は5 月〜6 月に最盛期を迎え、かつ低水敷から堤防法面まで成育環境は広い。 セイヨウカラシナは春の河川を彩る風物詩的なものとなっているが、河川の富栄養化を指標する外来植物であり、繁茂すること自体は望ましくない。ネズミムギも外来植物であり、花粉症の原因ともなるため、河川には望ましくない植生であると言える。 ■隣接する群落 水辺側ではヤナギタデ−オオイヌタデ群落、ツルヨシ群落など、陸域側ではヨモギ群落、セイタカアワダチソウ群落、ノイバラ群落などと隣接する。 ■四国での分布 土器川、那賀川、重信川で確認されている。 ■保全上の留意点 生態的機能の項でも述べてように、ネズミムギは花粉症の原因となるため、防除が必要であろう。花期は5 月頃であり、開花する前に刈り取ることである程度予防できると考えられる。 ■植物社会学上の位置づけ ギシギシ−アレチギシギシ群落はギシギシ−ナガバギシギシ群集と同質のものであり、カモジグサ−ギシギシ群団、オオバコクラスに位置づけられる。セイヨウカラシナ群落、ネズミムギ群落は植物社会学ではまとめられていないが、ヨギクラスに含まれると考えられる。 |
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