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ダンチク群落
低水敷 在来




識別ポイント
低水敷において大型イネ科植物のダンチクが優占することで識別できる。群落高は4mに達する。四国の河川ではダンチク群落は広がりをみせず、上記の写真のように大きな株で点々と群落を形成する独特の群落景観を呈している。そのため遠くからでも識別は容易である。前述のセイタカヨシとよく似るが、セイタカヨシは短いながらも地下茎を伸ばすため、ダンチクのような壮大な株にはならない。

構成種
構成種は4 〜10 種程度、平均は5 種程度と少なく、ヤブガラシ、クズなどのツル植物がわずかに混生するにすぎない。

成育立地の環境特性
冠水頻度が少なく、低水敷でも水面から比較的高い位置に成立する。優占種のダンチクが大きな株を形成しているため、遷移はほとんど進まないが、群落周辺が樹林化し、光環境が悪化すると衰退すると考えられる。

生態的機能
ダンチクが大きな株を形成するため、共存できる植物が少なく、植物の種多様性は低い群落である。株は強靱な土壌保全力を有し、自然堤防上の植生として優れているものの、各河川でみられるような単独の株のみではその効果も低いと思われる。大きな株はヤブ状になり、鳥類に隠れ家などに利用されていると思われる。

隣接する群落
水辺側ではクズ群落、ノイバラ群落など、陸域側では高水敷、堤防法面の植生に隣接する。

四国での分布
肱川、土器川、重信川などで確認されているが、分布は局所的である。


保全上の留意点
特に留意する点はないが、治水上問題がなければ現存する植生を維持すべきである。

植物社会学上の位置づけ
植物社会学的にはまとめられておらず、上級単位の位置づけも決まっていない。ヨシクラスかノイバラクラスに所属する可能性があると考えられる。