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アイアシ群落
潮沼地 在来




識別ポイント
河口部の塩湿地や海浜の後背にアイアシが優占していることで識別できる。アイアシはイネ科の多年生草本でヨシによく似ているが、夏から秋にかけて写真のようなススキに似た穂を出すので一目で識別できる。高さは1 〜1.5m になる。

構成種
構成種は少なく、ヨシ、ウラギク、ハマエンドウなどがわずかに混じる程度である。構成種数は一般に2 〜3 種程度である。

成育立地の環境特性
河口の塩沼地や海浜の砂質の立地である。満潮の時でも冠水しない高さに成立する。

生態的機能
草丈が高く密生するため、ヨシ群落同様、鳥類の隠れ場などに利用されていると思われる。また、密に張り巡らせる根系は土壌の保全能力が高い。

隣接する群落
水際にシオクグ群落、陸側にヨシ群落などに接する。

四国での分布
河川水辺の国勢調査では、下表の4 河川の河口域で確認されている。群落の面積はいずれも少ない。陸側が高水敷と続くために、河川改修などの影響で立地そのものが改変されることが多いようである。


保全上の留意点
海浜に成立する自然植生として重要である。特に、写真に示したような那賀川のシオクグ群落とアイアシ群落の帯状の分布構造は、河川の自然形態、景観のモデルとして残しておきたいものである。

保全・創出に関する事柄
アイアシ群落の保全、創出事例はない。増殖にあたっては、根茎を利用した株の移植により対応できると思われる。そのときは、立地の土壌が砂であることや地下水位および満潮時の水位を考慮し、増殖させる場所を決定する必要がある。

植物社会学上の位置づけ
アイアシ群集、ヨシ群団、ヨシオーダー、ヨシクラス