平成25年7月26日
平成24年度 第十堰の現状調査結果について
 国土交通省徳島河川国道事務所では、「『よりよい吉野川づくり』に向けて」 (平成16年4月27日発表) の基本的な考え方に基づき、第十堰で継続的に調査を実施し、得られたデータについては、当事務所ホームページ等を通じて、一般に公表することとしております。
 この度、平成24年度に実施してきた以下の調査結果をとりまとめましたので、公表します。
■平成24年度の出水状況
   平成24年度は、主に以下の台風による出水がありましたが、吉野川では比較的小規模な出水でした。なお、以下に記す水位、流量は全て岩津地点のものです。

◇平成24年9月17日台風16号
 ピーク水位:4.04m、ピーク流量:約5,500m3/s
 本出水は水防団待機水位(3.30m)を超過しましたが、はん濫注意水位(5.30m)には至りませんでした。
■平成24年度に実施した調査の結果
(1)
形状調査 《別紙−1
     第十堰の下堰の変状箇所に対し、経年変化を把握するための変状調査及び、堰の形状を把握するための形状調査(第1魚道より左岸側において3次元レーザー計測)を実施しました。
(2)
空洞箇所の詳細調査 《別紙−2
     経年的に段差の進行が確認されている下堰左岸側において、段差進行の要因を把握するため、地下レーダー探査を実施するとともに、植石コンクリート版に孔を開け、空洞内部をCCDカメラ観察により調査を行いました。
 また、堰内部の水みちの状況を確認するため、堰の上流側の水位に対して、堰の下流での水位、流向等の計測やトレーサー試験(入浴剤により着色した食塩水を用いた調査)を実施し、堰上流から流入した水が堰直下流部からどのように流出しているのかを確認しました。
 その結果、以下のように、段差の発生に至るメカニズム等を推測しています。
・堰内部の浸透流は、上流の流入口から水みちを形成して生じている。
・下流のコンクリート壁は、施工年度の境界部で根入れ深さの違いによって、漏水が生じ、流れが集中して欠損部が拡大している。
・浸透流と下流のコンクリート壁下の漏水により、堰内部の土砂を吸い出し、空洞が発生し、下面支持を失ったコンクリート版が徐々に沈下したと推測。
(3)
河床形状調査 《別紙−3
     堰下流右岸の河床形状を把握するため、音響測深器による深浅測量を実施しました。平成24年11月(今回)と平成23年10月(前回)を比較すると、堰直下流右岸において、大きな変化は見られなかったものの、小規模な洗掘や堆積している状況を確認しました。
(4)
堰下流右岸深掘状況調査 《別紙−4
     堰下流右岸で確認されている局所洗堀箇所において、出水時の深掘れ進行状況を確認するため河床変動用水圧計を用いた調査を行いました。
 台風16号通過後に機器を回収した結果、場所によっては約1mの洗掘を確認しました。
■平成25年度に実施する調査
  平常時の調査として
    (1)形状調査及び変状調査、(2)空洞箇所の詳細調査
  出水時の調査として
    (1)河床形状調査、(2)堰下流右岸深掘状況調査、(3)左岸迂回流調査
  の実施を予定しております。
 
   本年度の空洞箇所の詳細調査は、引き続き、堰上流水位が堰下流での水位や流速に与える影響の把握やその水位や流速の変化が堰内部の土砂の吸い出しにどう影響しているのかなどを調査する予定です。