平成24年7月30日
平成23年度 第十堰の現状調査結果について
 国土交通省徳島河川国道事務所では、「『よりよい吉野川づくり』に向けて」 ( 平成 16年 4 月 27 日発表 ) の基本的な考え方に基づき、第十堰で継続的に調査を実施し、得られたデータについては、当事務所ホームページ等を通じて、一般に公表することとしております。
  この度、平成23年度に実施してきた以下の調査結果をとりまとめましたので、公表します。
■平成23年度の出水状況
   平成23年度は、主に、以下の2つの台風による出水があり、このうち9月21日の台風15号については岩津地点で約12,900m3/sを記録し、近年では平成16年、17年に次ぐ規模を記録しました。
 なお、以下に記す水位、流量は全て岩津地点によるものです。

◇平成23年9月2日台風12号
 ピーク水位:5.07m、ピーク流量:約8,500m3/s
 本出水は水防団待機水位(3.30m)を超過しましたが、はん濫注意水位(5.30m)には至りませんでした。

◇平成23年9月21日台風15号
 ピーク水位:6.22m、ピーク流量:約12,900m3/s
 本出水は、ピーク水位6.22mを記録し、吉野川下流域において記録的な豪雨を記録しました。
 岩津地点の流量は約12,900m3/sとなり、平成17年台風14号に次ぐ規模を記録しました。
 
■平成23年度に実施した調査の結果
(1)
形状調査 《別紙−1
     第十堰の下堰変状箇所に対し、経年変化を把握するための変状調査及び、堰の形状把握のための形状調査(定点及び補助点の四級基準点・四級水準測量)を実施しました。
(2)
空洞化調査 《別紙−2
     堰体中の空洞箇所の把握を目的として、下堰において、地下レーダー探査を実施するとともに、平成22年のコア抜き調査により空洞化が確認された箇所においては、CCDカメラ観察による調査を行いました。
 また、堰内部の水みちを確認するため、トレーサー試験(入浴剤により着色した食塩水を用いた調査)を実施し、堰上流から流入した水が堰直下流部から流出していることが確認されました。
(3)
河床形状調査 《別紙−3
     堰下流右岸の河床形状を把握するため、音響測深器による深浅測量を実施しました。H22.8とH23.10を比較すると、堰直下流右岸において洗掘が見られるとともに、洗掘箇所周辺において堆積している状況が確認されました。
(4)
堰下流右岸深掘状況調査 《別紙−4
     堰下流右岸で確認されている局所洗堀箇所において、出水時の深掘れ進行状況を確認するため河床変動用水圧計を用いた調査を行いました。
 台風12号、15号通過後に機器を回収した結果、場所によっては約3.5mの洗掘が確認されました。
(5)
洪水時流況調査 《別紙−5
     洪水時の第十堰周辺の流向・流速を把握するため、洪水中のCCTVカメラ映像を記録し、画像解析を実施しました。
 解析結果より、河川流量が小さい時には右岸側で、河川流量が約10,000m3/sを超えると河川中央側で流速が早くなる傾向が確認されました。
 
■平成24年度に実施する調査
  平常時の調査として
    (1)形状調査、(2)空洞化調査
  出水時の調査として
    (1)堰下流右岸深掘状況調査、(2)左岸迂回流調査、(3)洪水時流況調査、(4)河床形状調査
  の実施を予定しております。
   
   また、平成24年度は、形状調査において経年的に段差の進行が確認されている下堰左岸側において、さらに詳細な調査を実施する予定です。