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タコノアシ群落
低水敷 在来




識別ポイント
水際の浅い水深部にタコノアシが群生することで識別できる。タコノアシは環境省が指定した絶滅のおそれのある植物(絶滅危惧類)である。花序がタコをひっくり返した時の足のようにみえることからユニークな名前が付いた。四国内の各河川で成育は確認されているが、群落としてまとまって群生している場所は物部川だけである。秋になると植物体が赤く染まるので遠くからでもよくわかる。

構成種
ツルヨシ、オオイヌタデ、ケイヌビエなど湿性を好む植物と共存している。構成種数は6 種である。

成育立地の環境特性
本群落は、物部川の河口部でただ1 カ所のみ確認されている。低水路内にある小さな水路状の場所で、砂と礫が混じる立地であり常に過湿な状態にある。

生態的機能
群落としてのまとまりが小さく、生態的な機能は不明であるが、水辺環境の植生の多様性を高めている。

隣接する群落
ヨシ群落やツルヨシ群落に隣接する。

四国での分布
タコノアシは仁淀川、肱川、四万十川などでも確認されているが、群生しているのは物部川の河口部だけである。


保全上の留意点
物部川の群落は現状の地形が残されれば、維持できるであろう。

保全・創出に関する事柄
地下茎を伸ばすので、株による増殖は可能と思われる。また、埋土(まいど)種子による再生の研究も進められている(木村他,2000)。

植物社会学上の位置づけ
本群落の所属は不明であるが、成育環境からヨシクラスに含められると考えられる。
木村保夫・寺崎史江・大野啓一・棚橋晃子.2000 .土壌シードバンクを活用したタコノアシの
保全に関する検討.「保全生態学研究」第5 巻第2 号