令和2年6月1日
     令和元年度
第十堰周辺の現状調査結果について
 国土交通省徳島河川国道事務所では、「『よりよい吉野川づくり』に向けて」(平成16年4月27日発表)の基本的な考え方に基づき、第十堰で継続的に調査を実施し、得られたデータについては、当事務所ホームページ等を通じて、一般に公表することとしております。
 この度、令和元年度に実施した調査結果を以下にとりまとめましたので、公表します。
■令和元年度の洪水状況
   令和元年度は、以下の台風による小規模程度の洪水がありました。洪水規模は以下のとおりです。
 なお、以下に記す水位、流量は岩津地点(阿波市阿波町乙岩津地先)のものです。
 (令和元年度の流量については速報値であるため、今後変更する場合があります。)

◇令和元年8月15日 台風10号
 ピーク水位:3.21m、ピーク流量:約3,000m3/s(岩津地点)

(参考)〈岩津水位観測所〉
・水防団待機水位 3.30m
 
■令和元年度の第十堰周辺の現状調査結果(PDF)
【堰の変状確認】(形状調査 《別添−1》)
  第十堰の過去の変状箇所に対し、定性的及び定量的に変化を把握するため、変状箇所の状況確認及びメジャー等による変位量の計測を実施し、平成30年度の調査結果と比較を行いました。
○調査結果
全計測箇所で変化は確認されませんでした。
 
【堰の変状確認】(堰の横断形状調査 《別添−2》)
  下堰において、過年度調査からの堰の形状変化を把握することを目的に、横断形状調査を実施しました。また、令和元年度は第十堰全体を面的に確認するため、三次元点群測量を実施し点群データを取得しました。今後出水後に同様の測量を行うことにより、取得したデータと比較し堰全体の変化把握が出来ます。
○調査結果
下堰の大きな形状変化は確認されませんでした。
 
【堰内部の空洞状況確認】(堰内部空洞調査 《別添−3》)
  平成16年度以降、レーダー探査で下堰コンクリート版等の空洞化状況を把握するため行っており、近年は詳細な空洞化状況調査を行っております。令和元年度は再度、下堰全体の空洞化状況把握や新たな空洞状況の把握を目的とした調査を実施しました。
○調査結果
過年度と同程度の空洞範囲により、空洞の進行性は低いと思われます。
 
【堰下流の河床形状確認】(河床形状調査 《別添−4》)
  堰下流右岸の経年的な河床形状を面的に把握するため、ソナーヘッド※を用いた測量を実施し、過年度の調査結果と比較を行いました。
※河床に向けて音波を発振し、反射した複数の音波が到達するまでの時間差から水深を測定する測量機器
○調査結果
測量範囲において、河床形状は前回調査と同程度と思われ、下流に向かって洗堀傾向は小さくなることを確認しました。
 
【堰周辺の水位状況確認】(堰上下流水位観測 《別添−5》)
  洪水時における堰上下流、左右岸の水位状況を把握するため、堰の周辺に水位計を設置し、洪水中の水位の計測を行いました。
○調査結果
台風10号の水位を計測し、せき上げを確認しました。
 
■今後について
   第十堰の影響による水位状況等の水理現象の解明のため、引き続きデータ取得・蓄積を実施する必要があります。
 また、堰下流右岸の局所深掘れについては、前回調査と同程度の河床形状であり、堰下流右岸側が大きく洗掘されている状況です。今後も継続的に調査を実施し、注視していきます。
 なお、引き続き適切な維持管理を実施するため、堰の老朽化については劣化状態の把握に努めます。