令和元年6月3日
     平成30年度
第十堰周辺の現状調査結果について
 国土交通省徳島河川国道事務所では、「『よりよい吉野川づくり』に向けて」(平成16年4月27日発表)の基本的な考え方に基づき、第十堰で継続的に調査を実施し、得られたデータについては、当事務所ホームページ等を通じて、一般に公表することとしております。
 この度、平成30年度に実施した調査結果を以下にとりまとめましたので、公表します。
■平成30年度の洪水状況
   平成30年度は、主に以下の台風による中規模程度の洪水がありました。それぞれの洪水規模は以下のとおりでした。
 なお、以下に記す水位、流量は岩津地点(阿波市阿波町乙岩津地先)のものです。
(平成30年度の流量については速報値であるため、今後変更する場合があります。)

◇平成30年7月7日 台風7号及び前線
 ピーク水位:6.30m、ピーク流量:約10,500m3/s(岩津地点)

◇平成30年9月30日 台風24号
 ピーク水位:5.95m、ピーク流量:約9,600m3/s(岩津地点)

(参考)〈岩津水位観測所〉
 ・氾濫注意水位 5.30m 避難判断水位(無堤部) 6.50m
 ・平成16年10月台風23号洪水ピーク流量:16,400m3/s(戦後最大の洪水)

■平成30年度の第十堰周辺の現状調査結果(PDF)
【堰の変状確認】(形状調査 《別添−1》)
  第十堰の過去の変状箇所に対し、定性的及び定量的に変化を把握するため、変状箇所の状況確認及びメジャー等による変位量の計測を実施し、平成29年度の調査結果と比較を行いました。
○調査結果
約3.5cmの沈下を1箇所確認しましたが、堰の機能に影響を与えるような変状ではありませんでした。その他の箇所では変化は確認されませんでした。

【堰内部の空洞状況確認】(堰内部空洞調査 《別添−2》)
  過年度に実施した空洞内部調査箇所のうち、特に空洞が大きい箇所に対し、既設観測孔から挿入したカメラで孔内を撮影し、空洞状況の確認を行いました。
○調査結果
厚さ約5cm程度の空洞を1箇所確認しましたが、堰の機能に影響を与えるような空洞の拡大は発生していないと考えられます。その他箇所では土砂等が堆積し、空洞は確認できませんでした。

【堰下流の河床形状確認】(河床形状調査 《別添−3》)
  堰下流右岸の経年的な河床形状を面的に把握するため、ソナーヘッド(河床に向けて音波を発振し、反射した複数の音波が到達するまでの時間差から水深を測定する器械)を用いた測量を実施し、過年度の調査結果と比較を行いました。
また、平成30年7月の出水によって根固めブロックの沈下などの洗掘被害が発生した箇所において実施した、河床形状測量結果を過年度の調査結果と比較しました。
○調査結果
洗掘被害の測量範囲において、洗掘が進行していることを確認しました。なお、当該箇所においては、災害復旧工事を実施中です。

【堰周辺の水位状況確認】(堰上下流水位観測 《別添−4》)
  洪水時における堰上下流、左右岸の水位状況を把握するため、堰の周辺に水位計を設置し、洪水中の水位の計測を行いました。
○調査結果
台風7号及び前線時と、台風24号時の水位を計測し、せき上げを確認しました。
また、せき上げ区間内の堤内側で漏水が発生した箇所が一部あり、発生原因については調査中です。

■今後について
   第十堰の影響による「せき上げ」等の水理現象の解明のため、引き続きデータ取得・蓄積を実施する必要があります。
 また、堰下流右岸の局所深掘れについては、平成30年度の調査結果で洗掘が進行していることを確認しており、今後も継続的に調査を実施し、注視する予定です。
 なお、引き続き適切な維持管理を実施するため、堰の老朽化については劣化状態の把握に努めます。