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第一期改修工事以降の洪水と内水(浸水)被害 | ・・・ | ||||
■一度も破堤しなかった堤防と水害の変化 第一期改修工事による堤防の竣工は昭和二年(1927)である。この堤防の効果は、翌三年八月の大洪水で見事に証明された。洪水に対する長い忍従の年月は終わったとはいえないまでも、ひとつの大きな区切りである。昭和に入ると、昭和九年(1934)の室戸台風、二十年(1945)の枕崎台風、二十九年(1954)の十二号台風、三十六年(1961)の第二室戸台風と、しばしば大型台風の襲来を受け、吉野川本川の堤防は決壊の危機に瀕したが、幸い決壊には至らなかった。本川の堤防決壊は改修完成後はない。そのかわりに吉野川の水害は支川や派川流域、あるいは遊水地帯に、内水被害というかたちで移ったのである。 |
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●昭和九年(1934)九月の洪水(室戸台風) 九月二十一日未明に室月岬に上陸した台風は北海道を除く全国に猛威をふるった。県下でも多くの家屋を倒壊するなど、人々を恐怖のどん底に突き落とした。特に高潮被害が大きく、二万三千軒が浸水した。二十一日の吉野川の洪水流量は毎秒10,000立方メートルと推定される。 |
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●昭和二十年(1945)九月の洪水(枕崎台風) 戦後間もない極度の物資不足と荒廃の真っただ中を襲った超大型台風。徳島の雨量は、十六、十七日の両日で350〜400ミリ程度であったが、上流の高知県の雨量が多かったので大洪水となった。 徳島では、最大風速毎秒29.3メートルを記録し、戦災後急ごしらえの市内の仮小屋などはほとんど倒壊してしまった。 |
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■破堤寸前の箇所が続出した昭和二十九年 | ・ | ||||
●昭和二十九年(1954)九月の洪水(十二号台風)
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●昭和三十四年(1959)九月の洪水(伊勢湾台風) 超大型の台風で、台風による洪水では、最近で最も甚大な被害を受けた。 全国で死者4,759名。 |
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●昭和三十六年(1961)九月の洪水(第二室戸台風)
室戸岬西方に上陸し徳島市南岸を通り阪神地域に上陸して富山県に抜けた台風。吉野川上流で総雨量600〜700ミリに達する大雨となり岩津の最大流量は毎秒11,960立方メートルであった。宮川内谷川、熊谷川など支川が各地で破堤したほか飯尾川、桑村川、学島川などで内水被害が続出した。また河口での高潮とあいまって、この洪水による被害は浸水面積6,638ヘクタール、床上浸水15,408戸、床下浸水9,702戸と大きなものであった。 第二室戸台風による松茂町の被害 |
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●昭和四十九年(1974)九月の洪水 四国西部に上陸した台風は、上流から下流へ向かってほぼ流域を縦断したため、全体的に雨量が多く、岩津の最大流量は毎秒14,470立方メートルを記録。岩津上流部の無堤地区において氾濫被害が発生し、下流部では飯尾川などで内水被害が発生した。 |
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●昭和五十年(1975)八月の洪水 池田より上流域では雨が少なかったが、それより下流では雨が集中し、岩津の最大流量は毎秒13,870立方メートルとなった。 |
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●昭和五十一年(1976)九月の洪水 吉野川上流域と剣山周辺を中心に、総雨量が1,000ミリを超える観測史上最大のものとなり、床上浸水3,880戸、床下浸水25,713戸、全壊流失家屋109戸と甚大なものとなった。 江川流域の内水被害 |
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■記億に新しい平成の台風 | ・ | ||||
●平成二年(1990)九月の洪水 秋雨前線が停滞していたところへ台風が接近したため、流域の山間部で総雨量は約900ミリに達するものとなった。このため城の谷川、桑村川などの内水地域で被害がひどかった。このとき岩津の最大流量は毎秒11,190立方メートルに達した。 飯尾川の内水被害 |
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●平成五年(1993)七月の洪水 岩津の最大流量は毎秒12,080立方メートルに達し、岩津上流部の無堤地区において氾濫被害が発生した。 |
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●平成一六年(2004)八月の洪水(台風16号) |
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●平成一六年(2004)十月の洪水(台風23号) 台風23号による洪水は、岩津で最大流量約毎秒16,400立方メートルを記録し、戦後最大の大洪水であった。吉野川上流域では吉野川からの氾濫を中心とした被害が発生し、吉野川下流域では旧吉野川等の支川の氾濫や内水氾濫による浸水被害が発生した。 阿波市岩津地点での増水状況 |
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●平成一七年(2005)八月の洪水(台風14号) 吉野川流域で降り始めた雨は、台風の接近とともに強くなり、9月6日18時から19時までの1時間に上流の高藪雨量観測所で77ミリの降雨を記録するなど、上流域(池田上流)で多くの降雨があり、600〜1,000ミリの総雨量を観測した。早明浦ダムで利水容量がゼロであったこともあり、約毎秒2億4,800万立方メートルの洪水量を貯留した。 |
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洪水調節後の早明浦ダム
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