議事1:最終提言のたたき台:第4章

2001.3.10 第13回 吉野川懇談会 



第4章 「総合治水・市民参加検討委員会(仮称)」の提案

(1)市民参加の枠組み
  • 「中間提言」では、意見の異なる団体代表や河川管理者などで構成する「共通のテーブル」を呼びかけました。
  • しかし、団体訪問等を通じて、「団体代表では意見が平行線をたどるだけ」あるいは「行政手続きに利用される」などの懸念が表明されています。
  • 一方、第十堰に関する市民提案がなされており、これらの提案を含め多くの市民の意見を受け止め、それを流域全体の合意形成プロセスに乗せていく「市民参加の仕組み」が必要です。
(2)「総合治水・市民参加検討委員会(仮称)」の設置
 「総合治水・市民参加検討委員会(仮称)」(以下「検討委員会」)という第三者機関を設け、そこが受け皿となって、問題解決に当たることを提言します。
●検討委員会の性格
  • 様々な意見を集約整理し、豊かな市民参加、よりよい計画づくりをサポートする役割を果たす。
  • 「吉野川第十堰建設事業審議委員会」のように、事業者が立案した計画の妥当性を判断したり、意思決定をする場とはしない。
  • 吉野川流域でどのような治水対策を進めたらよいか、また、どのような市民参加と合意形成の仕組みをつくるかについて市民参加で検討する場とする。
  • これまでの問題点を整理し、基本的な方向性を提示する「最初の検討の場」として位置づける。
●検討委員会の主な役割
  • 団体や市民の意見を集約し、これまでの経過や問題点を整理する。
  • 吉野川における総合治水対策を検討し、有効な対策案を提言する。
  • 第十堰に関しては、可動堰以外の方法を検討し、有効な対策案を提言する。
  • 問題解決に向けた基本方向や市民参加と合意形成の基本的枠組みについて検討し提言する。
●検討委員会の構成
  • 様々な意見を収集整理するという性格から、第十堰問題に直接関わる団体代表や行政関係者ではなく、第三者的な立場の人が望ましい。
  • 異なる意見に耳を傾け公正な立場で議論できる人材、吉野川の総合治水対策を提言できる人材、市民参加や合意形成に関する研究や実践経験があり創造的な提言ができる人材など。
  • 公共事業、市民参加、合意形成、総合治水対策、環境問題など、第十堰問題に関連する分野の人材をバランスのよい形で構成する。
  • 一般市民、学識経験者、NGO(非政府組織)、NPO(非営利組織)などが考えられる。
  • 団体推薦枠を設け、全国的NGO(非政府組織)、NPO(非営利組織)や第十堰に関わる市民団体などから推薦を受けることが考えられる。ただし、団体推薦委員は、団体の代弁者としてではなく、個人として公正で建設的な意見を述べることを原則とする。
●委員の選定方法
  • 委員の構成や選考基準、選考過程等に関する市民意見を集約し、できるだけ多くの人が納得のできる選定方法を考える。
  • 公正な選定を行うために、NPOあるいはNGOの全国組織の代表と設置主体(行政)で構成する選定委員会を設けることが考えられる(参考:愛知万博6者協議)。
●検討委員会の運営方法
  • 委員会の議論は、委員の提案を軸に行うものとし、設置者(行政)は、委員会の自由な討論や提案を保証する。
  • 事務局は行政関係者だけでなくNPOや専門家など第三者が加わることを検討する。
  • 公開を原則とし独自の広報手段を通じて広く市民に知らせ、公開討論会などを適宜開催する。
●検討委員会設置までのプロセス
  • 事前に検討委員会の設置に関する意見募集や公開討論会など市民参加の場を設け、可能な限り市民意見を反映した形で検討委員会の性格、役割、構成、選定方法、運営方法、設置主体などを定める。
  • 趣旨に賛同する団体や個人等で実行委員会を設けるということも考えられる。
  • 設置者については、河川管理者と関係自治体が協議し、市民意見をふまえて判断する。
(3)問題解決に向けたプロセスと「総合治水・市民参加検討委員会」の位置づけ
●ステップ1:「総合治水・市民参加検討委員会」
  • 最初の検討の場と位置づけ、次の検討の場に移行する(具体的役割は前項参照)。
●ステップ2:次の検討の場
  • ステップ1で提言された多様な対策案の有効性を検討し、各対策案について概略の評価を行う
  • 第十堰の取り扱いや市民参加と合意形成プロセスの基本的な枠組みを提言する。
●ステップ3:本格的な検討の場
  • ステップ2で概略評価された対策案について詳細検討し、具体案を検討する。有効な複数案について評価を加え、事業の優先順位等を提示する。
  • 吉野川全体の総合治水をパートナーシップですすめる「吉野川流域協議会(仮称)」を設立する。
(4)吉野川第十堰審議委員会の問題点
  • 審議委員会は「地域の意見を的確に聴取することを目的」とされ、公聴会が行われたが、答申には意見が反映されていない。
  • 答申には計画妥当の判断だけが記述されており、その根拠が説明されていない。
(5)行政の対応
  • 吉野川全体の治水計画(河川整備計画)を総合治水の視点から市民参加で検討する。
  • 県・流域市町村は、流域対策や被害軽減対策の検討を行う。
  • 第十堰については、「まず可動堰以外の有効な方策」を検討する。
  • 有効な対策案が公正に評価され、十分な議論を尽くして、多くの住民が納得できる案については、その案を尊重する。
  • 多くの住民が同意しない事業については実施しない。
  • 多くの住民の納得がいくような合意形成プロセスを重視する。