議事2:対話の場づくり・運営の仕組み

2001.2.24 第12回 吉野川懇談会 



■対話の場のイメージ

 ■中間提言における対話のイメージ
  • テーブルにつこうという呼びかけ
  • 意見の異なる団体代表と行政で構成
  • テーブルの運営の仕組みが提示されていない
  • 意見が平行線をたどるだけではないか
  • 「行政手続き」に利用されるのではないか?

 ■最終提言のイメージ
  • 対話の場のコア(運営者)を提言する
  • コアとなる運営者を中心に、団体や流域市民の様々な意見を集約する
  • 団体は独立性を確保できる
  • 個別、複数、全体と、様々な意見交換のバリエーションが考えられる
 ■第三者による中立的な「総合治水・市民参加検討委員会」(仮称)の設置
  • 対話の受け皿、および問題解決に向けた基本提言をまとめる機関として、行政が「総合治水・市民参加検討委員会」(仮称)を設置する(上の図の運営者に該当)。
  • 様々な意見を集約整理し、総合治水対策と市民参加のあり方に関する基本的な提言をまとめることを目的とする。
  • 多様な意見の「受け皿」として機能するために、第十堰問題の当事者(団体代表など)ではなく、中立的な第三者で構成することが望ましいと考えられる。
  • 制度的な枠組みが確立していないので、本格的な市民参加の枠組みを生み出す最初の「検討の場」として位置づける。
  • 前もって委員会のあり方や構成、選考方法などについて、公開討論など市民参加のプロセスを経て検討委員会を立ち上げる。
  • 従来の審議委員会等の問題点を改善し、多くの市民意見を反映する運営の実体をつくる。
■対話の場・検討の場の流れのイメージ

■総合治水・市民参加検討委員会設置(案)
 現在、第十堰に関するいくつかの市民提案などがなされるようになっており、これらの提案を含め、多くの市民の意見を受け止められる「場」なり、「機関」を必要としている。
 最初の「受け皿」を用意して、その「受け皿」を通じて、各団体との意見交換や公開討論会などを積み重ねることが当面必要と考えられる。多様な意見の「受け皿」として機能するためには、第十堰に関わる団体等の当事者ではなく、中立的な第三者による運営が望ましいと考えられる。

(1)

検討委員会の性格(従来の審議委員会との違い)
  • 従来の「審議委員会」等のように、事業者が立案した計画の妥当性を判断したりする場とはしない。意思決定の場でもない。
  • 検討委員会は、様々な市民(団体)意見を収集整理し、それらの意見を反映した「独自の提言」を創り出す。
  • 検討委員会としての提言を行政機関や市民に提示し、豊かな市民参加、よりよい計画づくりをサポートする役割を果たす。
(2) 検討委員会の主な役割
  • これまでの経過や問題点を整理し、検討すべき課題を提示する。
  • 団体や市民の意見を集約し、課題を整理する。
  • 問題解決に向けた基本方向や市民参加の枠組みについて提示する。
  • 総合治水対策の基本的なメニューについて検討し、提示する。
  • 「次の検討の場」や「次の検討課題」を提示する。

(3)

検討委員会の構成
  • 様々な意見を収集整理するという性格から、第十堰問題に直接関わる団体代表や行政関係者ではなく、第三者的な立場の人が望ましい。
  • 異なる意見に耳を傾けることができる人材、中立的な立場で議論できる人材、バランス感覚のある人材、問題解決への意欲のある人材など。
  • 公共事業、市民参加、総合治水対策、環境問題など、第十堰問題に関連する分野の人材をバランスのよい形で構成する。
  • 一般市民、学識経験者、NGO(非政府組織)、NPO(非営利組織)などが考えられる。
  • 円滑な議論ができる適切な人数とする。
  • 課題が多岐に渡るため、必要に応じて複数の専門部会等を設置することも考えられる。
  • 議題の検討や討論内容の整理、資料作成などを行う運営委員会を設ける。

(4)

委員の選定方法
  • 全国的NGO(非政府組織)NPO(非営利組織)や第十堰に関わる市民団体などから推薦を受けることが考えられる。
  • 事前に選定方法等について団体や市民からの意見を募り、選定方法を検討する。
  • 誰が選定するかということについては、全国組織(NPO・NGO)等の代表と設置主体(行政)で構成する選定委員会を設けることが考えられる。
  • 選考過程や選考基準等について、市民意見を可能な限り反映する。

(5)

委員会の運営方法
  • 設置者(行政)は、委員会の自由な議論や提案を保証する。
  • 委員会をサポートする運営委員会(事務局)については、委員会で検討するものとするが、行政関係者だけでなく第三者が加わることを検討する。
  • 委員会の議論は、委員の提案を軸に行うものとする。
  • 委員会には、事業者側の責任者が必ず出席し、議論のプロセスの各段階で、意見や提案が意思決定に反映されるようにする。
  • 委員会での議論は、独自の広報手段を通じて、広く市民に知らせる。一方的な広報ではなく、双方向のコミュニケーションが図れるよう工夫する。
  • 広く市民的な討論が行われるよう、公開討論会等を適宜開催する。

(6)

検討委員会立ち上げまでのプロセス
  • 検討委員会を立ち上げる場合は、事前に市民意見を収集整理する取り組みを行う。
  • とりあえず、立ち上げまでのコーディネーターを選定し、市民団体との意見交換や公開討論会などを積み重ねることが考えられる。
  • 設置主体については、河川管理者と関係自治体が協議し、市民意見もふまえて判断する。

■吉野川第十堰建設事業審議委員会の問題点
*委員の選定方法
  • 委員選定に対する「市民参加」の仕組みがない
*委員の構成
  • 学識経験者:5名(大学:2名、マスコミ:1名、弁護士:1名、経済界:1名)
  • 行政/議会:6名(首長:3名、議会議長:3名)
*委員会の運営
  • 建設省の諮問が一つの案のみであった
  • 建設省の計画に対する質疑応答/計画の良否の判断
  • 事務局(建設省)の資料説明に多くの時間
*専門的な検討
  • 土木学会に依頼し、学会の推薦学者6人(土木系)の意見を聞くという形をとった
  • 6人中5人が計画妥当の意見
  • 専門学者の意見を反映した「計画妥当」の答申後、疑問運動はさらに大きく広がって、最終的に徳島市の住民投票につながった(科学的見解と社会的合意との乖離)
*市民意見の反映
  • 計3回(延べ54名)の公聴会を実施
  • 市民意見を答申内容にどのように反映するかが曖昧/単に聞き置くだけという批判
*その他
  • 計画の妥当性を「判断」する委員会/「御用委員会」という批判
  • 本来必要だったのは、計画の妥当性を判断するという性格ではなく、意見がいろいろ分かれている問題点を整理したり、市民参加のプロセスや計画プロセス、意思決定プロセスと、それら相互の関係などを検討し提言すべきだったのではないか?。

■千歳川流域治水対策検討委員会設置要網
第1条 趣旨
 千歳川放水路計画は千歳川流域の洪永対策として計画された事業であるが、様々な意見があるなど膠着状態が続いている。一方、千歳川流域の治水対策は緊急かつ重要な課題であることから、地域の合意に向け、千歳川流域の治水対策(これに関連する石狩川本川の治水対策を含む)について検討するため、「千歳川流域治水対策検討委員会」を設置する。
第2条 所掌事項
 検討委員会は、「知事の私的諮問機関」として、千歳川流域の治水対策について、広く関係者との意見交検を行いながら、治水対策のあり方について協議・検討し、地域の合意としての千歳川流域の治水対策を知事に提言する。
(以下略)
*委員の構成(所属、分野)
北海道大学教授(河川工学)/北海道大学教授(経済学)/北星学園大学教授(環境生態学)/北海道大学教授(農業経済学)/室蘭工業大学教授(河川工学)/北海道東海大学学長(水産学)/小樽商科大学学長(生物学)
*設置者:北海道知事

■愛知万博検討会議
*6者合意
 当局:通産省・愛知県・博覧会協会
 NGO:日本野鳥の会、日本自然保護協会、世界自然保護基金日本委員会
*委員の選出方法
  • 地元関係者に9人、自然保護団体に9人(全国組織3人、地元組織6人)を割り当て、それぞれ各自で選出するという方式を取った。
  • そのほか、有識者から6人、博覧会協会企画運営委員から4人が選出。その選任は6者協議の当事者6者が協議して決めた。
  • 従来の審議委員会等の委員は事業者が選定するが、愛知万博では、団体等を選定し、委員は団体等が選定するという方法をとった。
*会議の運営
  • 委員長の選出は、立候補者が所信演説を行い、無記名で投票するという手法をとった
  • 各委員は意見を提出する権利をもち、それをもとに議論。事務局は質問事項への調査、資料の収集、議事録の作成など事務方に徹した。

■成田空港シンポジウム/円卓会議
*地域振興連絡協議会が学識者6名に調整役依頼
*委員(隅谷調査団)
隅谷三喜男(団長)/東京大学名誉教授、学士院会員、経済学博士
高橋寿夫/日本空港ビルディング社長、航空審議会委員
宇沢弘文/新潟大学教授、東京大学名誉教授、学士院会員、経済学博士
山本雄二郎/高千穂歯科大学教授、航空政策研究会理事・事務局長
河宮信郎/中京大学教授、工学博士、エントロピー学会世話人
*隅谷調査団は、シンポジウム・円卓会議の進行役、まとめ役として、極めて困難な問題の調整の役割を果たした。