1.審議委員会の経過 |
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吉野川第十堰建設事業審議委員会は、平成7年9月18日、建設省におけるダム事業に係る事業評価方策の試行の一環として、吉野川第十堰建設事業について「地域の意見を聴き、事業の目的、内容等について審議し、今後の事業の進め方について委員会の意見を四国地方建設局長に述べる」ことを目的に設置された。
本審議委員会が審議の対象とした吉野川第十堰建設事業は、240余年前に築造されて以来、被災と復旧を繰り返しながら旧吉野川への分流などの機能を果たしてきた第十堰が、現在では者朽化、せき上げ、異常な深掘れなどの諸門題を抱えるに至ったので、従来の機能を維持しつつこれら諸問題を解消するため第十堰を改築しようとするものである。第十堰に関係する徳島市を初めとする吉野川下流地域は、人口や産業などの集積が高く徳島県において最も重要な地域であることから、安定した水利用や洪水に対する安全性の確保は非常に重要な課題といえ、徳島県では、昭和40年頃から第十堰の改築を要望し続けてきた。
このようなことから、建設省では、昭和63年4月より実施計画調査に着手、平成3年4月より建設事業に移行し、現在の堰より約1.2km下流の河口より13kmの地点に可動堰として改築することを計画している。
本審議委員会は・平成7年10月2日の第1回審議委員会において、本委員会の運営方法を決定し、これを踏まえて同年11月24日から具体的審議を開始した。審議委員会においては、事業者である建設省から事業の目的、内容等について聴取し、また・地域住民の意見を聴くため3回にわたり公聴会を実施したほか、専門学者からの意見聴取も行った。
具体的には、第十堰改築事業に関する技術報告書について(社)土木学会から推薦された6人の専門学者に技術的な評価を受け、平成9年3月1日及び4月3日にその報告会を開催した。また、第十堰環境調査委員会委員に出席を求め、第10回審議委員会(平成10年2月16日)において第十堰環境調査の内容についての質疑を行った。以上のような経過を経て、審議委員がそれぞれの意見を述べ、それに基づいて審議委員会としての意見を取りまとめたのそここに報告するものである。なお、審議委員会の意見のほか、これを補完するため、審議委員会の意見をまとめるに当たっての各委員の意見も併せて報告する。
なお、審議委員会の審議については、報道機関に公開し、委員会の会議内容は議事要録として取りまとめ、提出された資料とともに一般に公開することとした。また、第3回審議委員会以降は一般傍聴(10名)を認め、平成9年3月1日の専門学者による評価報告会以降は、別室にモニター室を設け、制限なしで一般に公開した。
審議委員会の経過概要、提出資料一覧等を本報告に附属資料として添付する。 |
2.審議委員会の意見 |
(1) |
吉野川第十堰建設事業審議委員会の各委員の意見はおおよそ次のように集約できる。 |
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(1)計画論について 妥当である。
(2)改築の必要性について 必要である。
(3)改築の方法について 可動堰でよい。
(4)環境への影響について 第十堰環境調査委員会がまとめた結論は概ね妥当である。 |
(2) |
以上の意見を総合し、審議委員会としては、
流域住民の生命財産を守るとともに安定した水利用を維持するためには、第十堰を抜本的に改築することが必要である。よって、本事業を実施することが妥当である。
と判断する。 |
(3) |
事業の実施に当たっては、審議委員会は、以下の点に配慮されるよう要望する。 |
ア. |
吉野川の良好な自然環境に十分配慮し、その環境の保全と創造に万全の措置を講じること。そのために、環境影響評価や環境モニタリングを行う、景観や水に親しめる空間整備に関する検討を行う、増加する貯水容量を河川環境の改善に使用するなどの配慮をすること。 |
イ. |
周辺地域の地下水対策については、地元に十分に説明の上、実施すること。 |
ウ. |
現堰が持つ歴史性、文化性を配慮し、その意義を後世に残すよう適切な方策を講じること。 |
エ. |
流域住民の生命。財産を守るとともに、今後とも、情報公開のもと関係住民との対話と調整を図り、県民のしあわせと繁栄に寄与できるよう努めること。 |
3.審議委員の補足意見 |
審議委員会の意見をまとめるに当たっての各委員の意見を別表に記す(略)。
附属資料/吉野川第十堰建設事業審議委員会名簿(平成10年7月13日現在)
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委員長 |
学識経験者 |
添田 喬(徳島文理大学学長) |
委員 |
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浅居孝教(四国放送常任監査役) |
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伊東秀子(四国大学教授) |
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岡田洋之(弁護士) |
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岡元大三(徳島商工会議所顧問) |
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徳島県知事 |
圓藤寿穂(H7.9〜H10.7) |
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徳島県議会議長 |
湊 庄市(H7.9〜H9.3) |
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俵徹太郎(H9.3〜H10.7) |
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徳島市長 |
小池正勝(H7.9〜H10.7) |
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藍住町長 |
堀江長男(H7.9〜H10.7) |
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徳島市議会議長 |
喜多宏思(H7.9〜H8.7) |
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板東 實(H8.7〜H9.6) |
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広瀬 武(H9.6〜H10.6) |
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浜田義雄(H10.6〜H10.7) |
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藍住町議会議長 |
川上邦男(H7.9〜H9.10) |
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後藤敬夫(H9.12〜H10.7) |
*学識経験者 5名/行政首長 3名/議会議長 3名(途中、5名交替) |