吉野川懇談会 訪問記録

日 時 :2000年9月12日16:00〜17:30
訪問先 :第十堰建設促進期成同盟会(以下同盟会と略称)
場 所 :鳴門市役所
参加者
同盟会:鳴門市長、石井町長、板野町長、北島町長
懇談会:豊田 雅信、中野 直行、森本 茂行、山田 昌弘

  1. 団体の考え方やこれまでの活動について(規約・活動経歴参照)
     同盟会ができたのは平成2年、建設省が事業決定したのは平成3年、同盟会が活動を始めたのは審議会ができる前のことであった。
     同盟会は2市8町の住民の生命を守るためにある。行政区域、広域行政を区別しながら、互いに連携し、住民の生命を守るために、最適の方法を探している。
     同盟会が可動堰に賛成しているのは、審議会が可動堰が最適と結論したことが一つある。専門的なことは分からないが、川には堰がないのが一番良い。第十堰ができたのは旧吉野川に利水するためで、利水だけを考えると、安定した堰が必要だが、一方で治水の問題がある。過去、大雨で何度も現堰が壊れているが、堰が壊れることが結果的に安全だった。利水・治水両方を考えると、可動堰がよい。同盟会はスタートした時から可動堰を支持してきた。
     大洪水が起きたとき、堰が水を留めているため、上流では堰がないのが一番。しかし、堰が壊れると旧吉野川に水が流れなくなる。旧吉野川に水を供給し、洪水対策となると、固定堰よりも可動堰の方が優れていると考える。議会の堰に対する関心は強く、多くの議会で推進決議されている。
     1/23の住民投票の結果も尊重しなければならないが、吉野川流域の17市町村は議会の意見として、可動堰を推進している。
     行政の責任者として、住民の命を守ること、財産を守ること、が私たちの使命である。
     これからは反対派の意見も聞く必要があるので、小委員会をつくった。同盟会は2市8町の長と議長の20人で構成されているが、各市町から1名ずつ参加し、検討委員会をつくった。旧来の流れを再勉強するための小委員会であり、様々な代替案を考える上で、反対派の意見もききたいと考えている。
  2. 問題解決のため、共通のテーブルで話し合うことについて
     与党3党の合意により、現計画が白紙になった。可動堰には賛成派、反対派がいるが、これまでの経過をひとまずおいて、1・2歩下がって判断するためには、共通のテーブルで流域中心に吉野川や堰をどうするのか、議論するのはよいと思う。大事なのは、過去を清算することだと思う。
     先日の決議で、懇談会からは誘いがあるだろうが、しばらくは留保することにした。同盟会は検討委員会で月1回くらいのペースで独自に検討する。可動堰を推進してきた立場上、当初から参加すると、今後の懇談会のプラス・マイナスの影響を考えざるをえない。
     新河川法では、住民と市町村長の意見を聞くことになっている。その趣旨に則って活動する。法に則った市民活動を見守りたいが、行政が市民の活動に参加するのは、法の目的を考えても違う気がする。
  3. 話し合いのテーブルにつくための条件
     賛成派も反対派もこれまでの活動の歴史にしがみついているのは賢明ではないし、冷静な合意形成は無理だ。それぞれのリーダーは時計を反転させて、共通のテーブルにつくことが必要になる。可動堰ありきとか、固定堰ありきでなければ、懇談会を認めないと言うのは間違っている。テーブルにつくなら、賛成派・反対派とも多様な案を見いだすことを目的にしないと、うまくいくわけがない。
     無条件で議論するのが前提。条件つきでテーブルにつくのはおかしい。条件つきでは話し合いにならない。
  4. 問題解決のためのスタートライン
     一番の不幸は、第十堰の早期改築に反対はないが、その方法論で固定堰か、可動堰かに議論が割れたことだ。議論の前まで立ち返り、1日も早く改築したい。
     白紙には色が付かない、可動堰も固定堰もありきではない。白紙の中に可動堰や固定堰が初めから予定されるのは白紙ではない。白紙は白紙であり、白紙にはどんな議論もある。
  5. 問題解決のための場の構成やテーマ、運営方法
     テーブルづくりには可動堰を最適と考える専門家と、可動堰を否定する専門家、2人の学者が入る必要がある。
  6. 懇談会や中間提言に対する意見
     膠着した状況の中で、懇談会は大変な活動をしており、支持したいと思う。民意が二分されている。一本化するのは本来、行政の仕事だが、懇談会に頑張ってもらいたい。同盟会の検討が進めば、懇談会に提案することがあるかも知れない。
     建設省や可動堰案の全てに反対という話もあるが、可動堰ばかり攻撃しないで、反対派も独自の案を早く出すべきだ。反対派に会うなら、同盟会からそういう話があったと伝えてほしい。
  7. その他
     住民投票の結果は可動堰反対となったが、2市16町1村、55万人の住民の意向と徳島市の住民投票の結果を一緒にされては困る。住民投票はあくまでも徳島市の話であり、流域住民の生命を守る私達の立場は徳島市とは違う。
     賛成派・反対派とも人の命や財産を守るのに異論はないはず。最適の方法での改築にも異論はないが、可動堰か固定堰かで大きな隔たりができた。市民にすれば、どんな堰にしたいか早く決めたい。新河川法で環境、住民参加が重視されるようになった。市民が意思を表明するのに住民投票は良かったと思う。しかし、住民投票は、住民の意思表示方法の一つだが、全てではない。議会制民主主義が原則、つまり、選挙で選ばれた首長、議員が予算を決め、公共事業を行うのが原則である。それに自治体の独立性があり、それぞれの自治体の首長は、住民の立場で、住民の命を守る役割がある。

以上
文責:団体
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