吉野川流域の堤防は、大正・昭和初期につくられたものが多く、今日までに順次拡築されて現在に至っています。その堤防は時代により築堤材料や施工方法が異なり、土質分布や強度も不均一です。またそれにくわえ基礎地盤は、これまでの洪水等によって形成された河川敷である箇所もあることから洪水時には堤防や基礎地盤からの漏水が発生するなど、破堤の危険性を有した現象が数多く発生しています。
そのため、国土交通省では、「河川堤防設計指針」等に基づき、河川堤防の浸透に関する安全性の照査を実施しています。
吉野川水系では、平成10年度より、完成堤防、暫定堤防を対象に、「堤防の浸透に対する照査」を行いました。これをもとに、平成16〜17年度には学識者らにより構成された「吉野川堤防強化検討委員会」において堤防漏水に対する危険度について審議がなされました。今回、平成17年度末で、浸透に関する詳細点検結果の中間とりまとめを行いましたので公表します。
吉野川水系では、点検対象区間117.9kmに対して約85%にあたる99.8kmの区間の点検を完了しました。
その結果、59.5kmと対象区間の約50%において安全性が所定の基準に達していないことが判明しました。
今後は、対策必要区間の中でより危険度の高い一連区間から計画的に対策を実施していくこととしています。今後も出水時等の堤防点検を充実させ、被害の状況を注視し、必要に応じて緊急的な対策を講じてまいります。
なお、吉野川水系における詳細点検結果は別図のとおりであり、照査点検に関する区間区分は以下とおりです。
○堤防強化必要区間
堤防及び基礎地盤をボーリング調査や土質試験等により土質特性を把握し、洪水時の水位や降雨の照査外力を与条件とした非定常浸透流計算による洪水時の堤防内部の水の流れの照査を行い、安全性の基準を満たさない区間です。
照査は「滑り破壊に対する安全性」、「基礎地盤のパイピング破壊に対する安全性」について行います。
○堤防強化対策済み(対策中も含む)区間
安全性の基準を満たさない区間において、昨年度までに堤防強化対策工事を完了している区間及び平成18年度において安全性の向上を図る堤防強化対策工事を行う区間です。
なお、対策工法は、川表遮水工法、ブランケット工法、表のり面遮水工法、川表断面拡大工法、裏のり置換工法等があります。
○対策不要区間
安全性の基準を満たしているため、特に堤防強化対策が不要な区間です。
○詳細点検未実施区間
現状で堤防詳細点検が未実施区間です。
今後は、平成20年度末までに安全性の照査の完了を予定しています。
詳細点検結果図(PDF形式1MB)
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