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平成 16年 4月 27日
国土交通省四国地方整備局
「よりよい吉野川づくり」 に向けて

 国土交通省(徳島河川国道事務所)では、吉野川の河川整備計画の策定に向けて、平成14年1月に具体的な取組み方針である「よりよい吉野川づくりを目指して」を発表しました。以後、本方針に基づいて、よりよい吉野川づくりについて議論するための「検討の場」づくりに向けて流域アンケートを実施するほか、流域全体で情報共有を図るための「吉野川流域講座」、「吉野川現地(フィールド)講座」等の様々な取り組みを進めてきました。
 しかしながら、第十堰のあり方について、流域住民の方々の間に様々な意見があることなどから、「検討の場」づくりがいまだに実現していません。
 このような状況の中、徳島県においては、吉野川の河川整備や第十堰改築のあり方について、流域の市町村長、市町村議会の代表、市民団体、流域住民の方々等に対して意見聴取を行い、先月末に徳島県知事から四国地方整備局長に「吉野川の整備の在り方(第十堰を含む)についての要望」がありました。
 国土交通省としては、徳島県知事が流域の意見を直接聴取し、熟慮の上でとりまとめて当省に要望された貴重な意見として受け止め、以下に示す基本的考え方のもとに、吉野川の河川整備計画(直轄管理区間)の策定に向けて取り組んでいくこととしましたので、徳島県を始めとする関係各県、関係流域市町村、流域住民の皆様のご理解ご協力を賜りますようお願いします。



基本的考え方

○ 吉野川水系は、四国4県の経済・社会活動を支える重要な河川で、上・中・下流
 それぞれの流域において多様な課題を有しており、流域内には、吉野川の河川整備
 や第十堰改築のあり方について様々なご意見があると認識しています。
  このような状況の中、国土交通省としては、吉野川について、治水・利水・環境
 の各視点から、吉野川全体として現状を少しでも良くしていくことが肝要であると
 認識しており、今後の第十堰を含む吉野川の河川整備のあり方(「よりよい吉野川
 づくり」)について、河川法に基づいて今後20〜30年程度の河川整備の内容を
 位置付ける河川整備計画の策定に向けたプロセスの中で、情報公開、住民参加のも
 とで、具体的に検討を進めてまいりたいと考えています。

○ 平成12年の東海地方の大水害や平成15年の福岡水害などに見られるように、
 近年、局地的な短期集中豪雨などにより現況施設の処理能力を超えるような水害が
 頻発しています。吉野川水系においても、いつ大規模な洪水により大きな被害が発
 生するとも限らないのが現状です。
  このような洪水による被害を最小限とするためには、築堤等のハード整備に加え
 て、吉野川水系に関する様々な情報を関係機関と流域住民の方々が共有し、様々な
 ソフト対策をあわせて行うなど、総合的な取り組みが重要となっています。

○ 吉野川は四国4県の母なる川であり、その水は徳島県のみならず四国4県で農業
 用水や都市用水等として広域的に利用され、四国の人々の生活基盤や産業基盤を支
 えています。しかし、吉野川では平成6年の大渇水など毎年のように渇水が発生
 し、利水者による節水が行われており、安定的な水利用に向けた対応が重要と考え
 ています。

○ また、吉野川水系には、豊かな自然を備えた水辺空間や多種多様な生物が生育・
 生息する自然環境が多く残されており、地域のシンボルとして親しまれています。
 しかし、近年吉野川では在来種を排除する外来種の植物が繁茂する等、環境面での
 問題も確認されていることから、今後、多く残る豊かな河川環境を後世に継承する
 よう保全するとともに、住民の方々が川に親しむことができるように整備していく
 ことも重要だと考えています。

○ 一方で、吉野川水系の下流部に位置する第十堰のあり方については、流域内でも
 多様な意見があり、第十堰の改築に関する議論は、入口論で意見が分かれている状
 況にあります。
  このため、吉野川水系を現状よりも少しでも良くするために、ハード、ソフトの
 総合的な治水対策をどうしていくのか、安定的な水利用についてどのように対応し
 ていくか、吉野川水系の貴重な河川環境をどのように保全、整備していくのか等に
 ついて、流域住民の方々から意見をいただく取組みが進んでいません。

○ このような状況を打開し、よりよい吉野川づくりを早期に実現するため、河川整
 備基本方針の策定を進めていくとともに、それを踏まえて、よりよい吉野川づくり
 に向けた具体的な計画を
 ・「吉野川の河川整備(直轄管理区間)」(但し、抜本的な第十堰の対策のあり方
  を除く)
 ・「抜本的な第十堰の対策のあり方」
 の2つに分けて検討し、おのおのの検討の内容・進捗状況を勘案して、河川整備計
 画を早期に策定することとします。

○ 「吉野川の河川整備(直轄管理区間)」については、無堤地区の解消、内水対策
 や堤防強化など、そのあり方について流域に様々なご意見がありますが、早急に水
 系全体の治水、利水、環境の幅広い観点から調査を行い、これらの情報を流域住民
 の方々と共有し、現状の課題を整理していきます。
  その後、徹底した情報公開と住民参加のもとで、必要な検討を進めてまいりたい
 と考えています。

○ 一方、第十堰については、早急に現状調査を実施し、その結果等を踏まえ、抜本
 的な対策とは別に必要な補修を適宜行なうこととします。
  「抜本的な第十堰の対策のあり方」については、吉野川水系を現状よりも少しで
 も良くするため、可動堰にはこだわらずに、これまで検討していない可動堰以外の
 方法について検討を進め、あらゆる選択肢について評価を行なって結論を得たいと
 考えています。


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