5. 「共通のテーブル」のイメージ



(1)「共通のテーブル」の構成と運営/異なる意見が公正に反映される
 建設省の従来計画に対して賛成、反対が固定化していることが、解決への動きを難しくしています。こうした状況を改善するために、当面、意見が異なる団体代表や河川管理者など、そして可能ならば中立的な団体代表が加わった「共通のテーブル」をまず設けて、そこで様々な課題を整理し、お互いに解決に向けて努力していこうという共通の目標ががつくられる必要があると思います。
 私たちの懇談会では、「共通のテーブル」は異なる意見が公正に反映されるようバランスのとれた人数構成とし、中立・公正な第三者による運営で、様々な分野の専門家などによるサポートも受ける形ですすめたらいいのではないかという意見が出ています。
 最終的には流域全体の合意が必要ですから、「共通のテーブル」だけでなく、流域全体の市民意見や市町村の意見を反映する何らかの仕組みについても、検討する必要があると思います。
懇談会で出た意見

共通のテーブルの構成
・ 可動堰案に賛成・反対の団体の代表(反対団体の代表が参加しないと話しにならない)プラス中立団体
・ 建設省、徳島県、市民団体、流域一般市民
・ はじめは建設省と可動堰に反対の団体の代表が話し合っては?
・直接利害関係のある人やさまざまな分野、地域の人をバランスよく
・円卓会議(行政、専門家、賛成、反対、利害関係、一般市民)
・ 吉野川にかかわる様々な団体、流域市町村選出代表

運営方法
・中立の進行役が必要
・懇談会が間に立つ
・全員一致を原則とする(まとまらない時の合意の方法をあらかじめ決めておく必要がある)
(2)話し合いの手順/現状認識と課題を整理し、共有化する方法について話し合う
 懇談会では、現堰の評価や洪水時の影響、上下流の問題、建設省の調査データーの公開など、共通基盤の整理が重要だという意見が出ています。また、避難態勢も含めた多様な治水方策、体験・歴史・景観など多様な価値、経済性や迅速性といった計画条件や評価の課題、あるいは、今日の対立的状況の要因や意見対立の整理など、様々な検討課題があることが議論されました。
 まず、「共通のテーブル」で話し合いのための前提条件も含めた課題を出し合い、それを整理するところからはじめて、討論する優先順位を確認するという作業を始めたらどうでしょうか。
 意見が一致しなければ前に進まないというのではなく、その課題は一時保留して次の課題に移る。一致点を少しずつ積み上げていき、一時保留した課題に戻るというような話し合いの仕方が必要だと私たちは考えています。
懇談会で出た意見

問題点や課題を整理する
・共通のテーブルにつくためにはどのような問題があるのか、過去になぜできなかったのかを整理する
・共通の話題を探すことがよい案を出してもらうことになるのではないか
・反対団体にも「共通のテーブル」についての案を出してもらったらどうか
・いろんな人の意見を聞いて対話のテーブルについてもらうための話し合いをして条件を整える

「ゼロからの話し合い」と「計画の白紙撤回」
・ 「ゼロからの話し合い」の意味が不明瞭。これを明確にしないと反対団体はテーブルにつかない
・ 「ゼロから」というのは、今までのものは横においといて、ゼロから市民の意見を聞いてよりベターな計画をつくるという意味ではないか
・ 建設省がごり押しする態度を変えれば何が何でも「白紙撤回」ではないのではないか
・ 新聞報道によると、反対団体は事業の必要性から議論していくことが必要といっている
・ 行き着く先に可動堰があるのかないのかが問題
*言葉の違いだけが表面化していて、中身の違いがよくわからないというのが実体?

現堰の評価について、客観的な調査が必要
・ 老朽化、せき上げ、景観面について、第3者機関で調査しその評価について共通認識する必要がある
・ 反対、賛成皆立ち会いのもと、合同解体調査をする
・ 透明性があって市民が理解しやすい調査方法、どういう専門家がどういう調査や解析の仕方をするのか

現状についての認識を共有する
・ 水位計算の詳細を公開する
・模型水理実験を行い、増水時、現堰のある、なしでどのように違うのかを検証する
(3)共通していると思われる部分/よりいい案をみんなで検討する
 建設省は今、河川法改正をふまえて「治水、利水、環境」を融合したよりいい案を考えたい、洪水にちゃんと対応できる案であれば、従来の案にこだわらないといっています。また、案の検討を市民参加で行うとしており、これは、市民案をつくろうという市民団体のみなさんの動きと一致するものです。
少なくとも、多くの人が納得できる「よりいい案を市民参加で検討する」という点では、同じ方向を目指していると考えられます。つまり、「共有できる」テーマがあるということです。市民団体と建設省などが「共通のテーブル」に着いて、「よりいい案をみんなで検討するための方法」を話し合うことは実現可能ではないでしょうか。
現段階で、市民団体と建設省の意見が共通としていると思われる部分

多様な選択肢を用意する
・市民のみなさんから出てくる代替案を先入観なしに検討する(大平所長/第2回懇談会)
・建設省の可動堰案に替わる市民案(現堰保存)を作成する(第十堰みんなの会/4/16読売新聞)

多様な価値観を反映した案を検討する
・環境、治水、利水、三者がもっとよくなる案を議論する(大平所長/第3回懇談会)
・現堰の価値を語り合いながら市民案を考えていく(第十堰みんなの会/4/16徳島新聞)
・どうすれば(洪水上の)不安が解消するかを話し合う(吉野川だよりNo.58/4/26)

多くの市民が参加し話し合う
・吉野川を大事に思う人たちによる提案をベースにした話し合いを通じて(大平所長/第1回懇談会)
・地域住民が将来像を考え、提案していく必要がある(住民投票の会/3/3徳島新聞)

多くの人の意見を反映する
・多くの人が納得できる方策(大平所長/第1回懇談会)
・流域や全国からの意見もくみ上げていく(住民投票の会/3/3徳島新聞)
・住民が望む第十堰の将来像をつくりあげたい(第十堰みんなの会/4/16徳島新聞)