■シナダレスズメガヤ群落
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![]() ■識別ポイント 低水敷から高水敷に、外来植物のシナダレスズメガヤが優占することで識別できる。シナダレスズメガヤは、葉が細長く、大きな株をつくるのが特徴である。群落高は0.5 〜1m 程度である。本種は砂防、緑化用などと導入されたもので、別名は「ウィーピングラブグラス」という。 ■構成種 構成種は数〜10 種程度と少なく、ヤハズソウ、ネズミノオなどカゼクサ群落との共通種やヒメムカシヨモギ、エノキグサなどシロザクラスの群落との共通種が成育している。 ■成育立地の環境特性 乾燥した高水敷から最近では砂質の低水敷まで侵入してきている。特に、吉野川では砂礫河原への侵入が顕著である。 ■生態的機能 外来植物群落であり、自然性は低い。シナダレスズメガヤは大きな株を形成し、他種の侵入を妨げたり、株周辺に土砂が堆積し、河原の景観を大きく変えてしまうなど、従来の河川環境を変えるマイナス要因となっている。 ■隣接する群落 水辺側ではツルヨシ群落、陸域側ではオギ群落、ヨモギ群落、セイタカアワダチソウ群落、クズ群落、ノイバラ群落、堤防法面のチガヤ−ヒメジョオン群落などと隣接する。 ■四国での分布 土器川では広く確認されている。また、仁淀川でわずかに確認されている。なお、今年度の調査では吉野川や重信川などでも確認されており、分布の拡大が懸念される。 ![]() ■保全上の留意点 吉野川のように、河道内での繁茂が激しい場合には、刈り取りや除去などを行い、河川の良好な生態系の維持を図る必要があろう。 広島県の太田川中流域の氾濫原においても、シナダレスズメガヤの繁茂が問題となっており、本来の河川生態系の保全のため対策の必要性が示唆されている(中坪,1997 )。 しかしながら、具体的な対策はたてられていないのが現状である。 ■植物社会学上の位置づけ 本群落に類似した群集はなく、植物社会学上の位置づけは不明である。 中坪孝之.1997 .河川氾濫源におけるイネ科帰化草本の定着とその影響.保全生態学研究,2‐ 3:179‐ 187 . |
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