シナダレスズメガヤ
イネ科
学名:Eragrostis curvula
英名:weeping lovegrass

特  徴
生活型:多年生草本
原産地:南アフリカ
確認年代:戦後、斜面の土止めや緑化用として導入され、その後分布を拡大した。
形態:草丈60〜120cm。大きな株となり、葉身は長さ40〜60cmで、乾くと上方に巻く。
生育環境:野原や河原に生育する。
鬼怒川の砂礫質河原における調査では、カワラヨモ
ギ、カワラノギク、カワラニガナ等の河原固有植物
の分布の中心といえる砂質、あるいは礫質(沈み石)
の基質において、出現頻度が高い傾向が見られる。

生活環(ライフサイクル)
発芽:発芽率は極めて高い。発芽時期の野外環境を
模した実験では、90%を超える種子が発芽した。
種子:発芽後2年で最大10万粒を超える種子を生産
した株が観察されている。特別な休眠は認められず、
散布直後から芽生えが観察される。
:花期は8〜10月。円錐状の花序は長さ20〜40cm。
花序の枝のつけ根はふくれ、白い毛がある。小穂は
灰緑色で長さ6〜12mm、7〜11個の小花からなる。

具体的な影響
○河川固有植物への影響
シナダレスズメガヤは、地表付近を被陰することに
より、光要求性の高いカワラノギク等の河川固有植
物を衰退させると考えられる。

  ○株の根本に砂を堆積させる

  洪水に対して耐性が高く、大きな株を形成するため
 増水時に水流を妨げることによって、株の下流側にマ
 ウンド状に砂を堆積させる。生育環境そのものを変化
 させることによって、河川氾濫原の遷移パターンを変
 える可能性が示唆されている。したがって、シナダレ
 スズメガヤが侵入すると河原に砂が堆積することによ
 り、河原に特有な植物の生育環境が失われる可能性が
 考えられる。

 ○対応について
  河原に侵入したシナダレスズメガヤは、根がしっか
 りと土をつかんでいるため、引き抜くことは容易では
 ない。
  シナダレスズメガヤが繁茂し、それ以外の植物が消
 えてしまった場所では、ブルドーザ等によって表土と
 ともに根を取り除いて、そこに本来の植物を再生する
 ことが必要であろう。
 「河川における外来種対策の考え方とその事例」より
     (発行(財)リバーフロント整備センター)

吉野川におけるシナダレスズメガヤの状況(一条南橋付近において平成15年撮影)