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第5回 吉野川シナダレスズメガヤ対策検討委員会  検討結果
 平成18年2月20日に、徳島市内のホテルにおいて第5回吉野川シナダレスズメガヤ対策検討委員会を開催しました。
 今回の委員会では、『シナダレスズメガヤ定着特性に関する調査結果』、『ヤナギ伐採試験のモニタリング調査結果』及び『吉野川シナダレスズメガヤ対策(案)』について検討を頂きました。
 なお、検討概要は、以下のとおりです。

【シナダレスズメガヤ定着特性に関する調査結果について】
 平成16年度の洪水がシナダレスズメガヤの成熟株を消失させた掃流力マップを作成し、さらに平成12年と平成15年のシナダレスズメガヤの分布と環境条件(植生タイプ・比高等)から、潜在的にシナダレスズメガヤの侵入可能性が高い場所を示すマップを作成。これらのマップを重ね合わせることで定着可能性が高い場所を抽出し、レキ河原の維持管理水準を設定しました。

【ヤナギ伐採試験・モニタリング結果について】
 洪水の営力により動的に維持される健全なレキ河原の再生に向けた現地実験として、ヤナギ伐採の効果を検証しました。
 その結果、ヤナギ伐採区及び伐採区下流ではマウンドの比高が低下し、一部で河岸の鉛直化が緩和。植生については、出水前に比べてシナダレスズメガヤ群落やシロザ群落、ヤナギタデ群落等の面積が減少し、代わりに裸地面積が増加。河床材料については、出水前にはほぼ砂で占められていた試験区に、出水後には砂礫、粗礫が確認され、粗礫化の傾向が認められました。
 これらの調査結果から、ヤナギ伐採によりシナダレスズメガヤが侵入・定着しにくい環境が形成されると考えられ、有効な手法の一つであることが確認されました。

【吉野川シナダレスズメガヤ対策(案)について】
 これまでの検討結果から『吉野川シナダレスズメガヤ対策(案)』をとりまとめました。なお、吉野川シナダレスズメガヤ対策の基本方針は以下の通りです。
 シナダレスズメガヤが侵入・定着しにくい河道状態の創出・維持にあたっては、川が本来持っている洪水営力を可能な限り利用することを基本とし、次の対策を実施する。
◆シナダレスズメガヤの侵入・拡大の要因となる河道内樹木の伐採
◆治水上の観点から河積確保等の必要な場所については、河原の切り
 下げ
◆人為的な除去対策としての抜き取り
 対策の実施にあたっては、シナダレスズメガヤの定着特性、レキ河原を利用する動植物を踏まえ優先度を検討する。また、経済性、効果持続性、維持管理の容易性等を考慮するとともに、対策実施に伴う河川環境への影響へも配慮する。(一部抜粋)
   今後、徳島河川国道事務所では、吉野川のよりよい河川環境を保全・創出していくために、本委員会での検討結果を河川整備計画に盛り込み、シナダレスズメガヤ対策を実施していくこととしています。
 本委員会を閉じるにあたり、岡部委員長からは「平成16年、17年にわたり、洪水営力を感じられる機会が多くあり、有意義な調査・検討が実施され、掃流力と侵入可能性をあわせて把握することによって具体的な管理方針を策定できた。」との言葉をいただきました。

 平成16年1月から3箇年にわたり多大なご尽力を賜りました委員の皆様に深く感謝致します。

第5回検討委員会

徳島大学工学部教授
環境防災研究センター長 岡部委員長

徳島河川国道事務所長 石川委員

事務局による資料の説明