わが国の河川制度は、明治29年に旧河川法が制定されて以来、幾たびかの改正を経て現在にいたっている。特に、昭和39年に制定された新河川法では、水系一貫管理制度の導入など、治水、利水の体系的な制度の整備が図られ、今日の河川行政の規範としての役割を担ってきた。
しかしながら、その後の社会経済の変化により、近年、河川制度をとりまく状況は大きく変化している。現在では河川は、治水、利水の役割を担うだけではなく、うるおいのある水辺空間や多様な生物の生息・生育環境として捉えられ、また、地域の風土と文化を形成する重要な要素としてその個性を活かした川づくりが求められている。
さらに、社会経済・生活様式の高度化に伴って、渇水による社会的影響が著しくなるなど、円滑な渇水調整の推進などが課題となっている。
こうした変化を踏まえて平成8年12月、河川審議会において「社会経済の変化を踏まえた今後の河川制度のあり方について」提言された。
国土交通省(旧建設省)では、この提言に基づき、河川法の改正の検討を行い、平成9年第140国会に「河川法の一部を改正する法律案」を提出し、同国会において同法案は可決成立した。 |