吉野川歴史情報館
 
思 タイトル 昭和29年の台風
紹介日 洪水体験集より
投稿者 島田岩男さん

(昭和29年の台風)

 私は17〜18歳頃に消防団に入ったが、消防団に入ってまもなくの台風時に、特に大きな洪水を経験した。
 昭和29年の台風時には、堤防から手を伸ばせば届くくらいのところにまで水が来ていた。堤防の芝が水の中でバリバリと切れる音がした。堤防が揺れるような感じがした。堤防が切れるのではないかと思った。洪水は川の中が盛り上がるような状態で流れ、草屋の家や木材が流されていた。
 堤防の堤外側には1.5〜2m程度の木があったが、水かさが少し減った時に見ると所々に漏水の穴が開いていた。漏水の穴は直径1m位のものもあったし、それより小さいものもあった。一方、堤内の畑では堤防の下をくぐって濁った水が噴いていた。50cmの高さまで水が噴き出しているところもあった。水防倉庫の松くいを入れたが、スポッと入ってしまった。江川〜飯尾川放水路の間の堤防の漏水が特に激しかった。
 高原地区の消防団は、高瀬橋〜鴨島町との境界までを守備範囲としていた。堤防を守るために、松くいを打ったり、土のうを積んだり、水防活動をした。昔の高原村役場の畳も堤防を守るために使った。2晩水防活動をした。

堤防のつき回しで、沿川の人々が水防活動に参加している
(高原村<現石井町>平島地先)


堤防漏水の結果、堤防に穴が開いた状況(高瀬橋上流付近)