2001年3月10日 第13回吉野川懇談会資料

■全体討議のまとめ(3)

3.国土交通省の対応について懇談会が提言すべきこと
 

内 容
国土交通省の対応についてどのように提案すべきか
<国土交通省がどう対応すべきかを考えないとならない>
  • 例えば検討委員会を設けた方がいいが、いろんないきさつがあって、非常に難しい。審議委員会で言えば、県知事の関係とか、もともとの第十堰計画では、国土交通省に問題があったとかで、だれが呼びかけたらいいかとか、難しいところがあると思う。例えば、総合治水から入りましょうよという徳島市民への呼びかけ−−総合治水という視点も含めて、まず可動堰以外の検討を始めたらどうだろうかと、徳島の市民運動をやっている方とか市民の皆さんに私たちの提言を出しているわけだ。一方で、この問題で国土交通省はどう対応するのかということがある。そこのところを私たち懇談会としてどういうふうに提言したらいいのか。こういうものをつくるときに国土交通省はどういう対応をすべきなのかということを考えないと、こういうものをつくっても、結局、拘束力があるのとか、すぐそこにいってしまう。それをどうしたらいいのか。(吉村)
対応すべき5項目
(進行役の私案)
<総合治水対策の検討>
  • 皆さんが総合治水を話し合う、まず可動堰以外の方法を話し合うというのだったら、国土交通省としても、総合治水対策を検討してみる。
<可動堰以外の有効な対策案の検討>
  • 可動堰以外の有効と考えられるような方策を検討することをスタートする。
<有効な対策案が評価され多くの住民が納得できる案がでたときにはその案を尊重する>
  • 有効な対策が出て、国土交通省もそれは有効だ、そして多くの住民が納得できたら、まずそれからやりましょうかということで、その案を尊重するということが態度としてある。
<多くの住民が同意しない事業については実施できない>
  • この関係で言えば、市民がこれをやれといったら、はいわかりましたとやる関係にするのか、そこのところはどうするのか。少なくとも今言えることは、これをつなぐ関係は、何かの制度があれば決まるものではなく、プロセスというか、人間がなせるわざというか、いろんな動きがあると思うが、多くの住民が納得できていない、合意形成がとれていないものはできないんだと。
<多くの人の納得の得られるような合意形成のプロセスを重視する>
  • 国土交通省としても、こういうような関係の中で、多くの人が納得できるような合意形成のプロセスを重視してやるとか、こういうようなものをもし生み出していくときに、国土交通省自体がどういう対応をとるべきかということだ。

4.決定の方法論について
 

内 容
意思決定の三者の関係はどうしたらいいか
<合意形成のプロセスをステップ1.2.3の中で徳島でつくらなければならない>
  • 国会など、そういう仕組みからいうと、議会というのが大きな意味を持つ。行政というのは執行機関だ。そして、市民。意思決定のこの三者の関係はどうしたらいいのか。方法として、ここでされたのは、住民投票というのがあるが、これは住民が何を考えているかという方法論としての1つだ。ほかにも、方法論はある。ワークショップで積み上げていくというのもあると思う。決定の方法論とこの関係とが整理されていない。行政も、議会も、みんなが納得がいくような、ここの関係の合意形成の仕組みが一番大事だ。ここにも賛成、反対、いろんな関係があるが、こういう関係を円滑に結ぶことができる合意形成のプロセスを、ステップ1、2、3の中で徳島でつくらなければいけないということだけは事実だ。そこのところを押さえる必要がある。さきに住民投票ありきでも何でもない。行政が決めていいんだということでもない。そこからありきでスタートではなくて、問われているのは、こういうだ。これをステップ1から生み出していったらどうですかということになると思う。(吉村)

5.大平所長のコメント
 

内 容
 
<国土交通省の姿勢を次回、きちんと示したい>
  • きょう、総合治水という話が出てきた。総合治水は、大都市部の問題から出てきたが、河川審議会の答申があって、総合治水を始めたのは、たしか昭和51年である。私は、53年に建設省に入り、中川、綾瀬川という埼玉県の総合治水から始まって、大阪の南河内を流れている大和川の総合治水、新河岸川という荒川の支川の総合治水と、私の建設省人生は、ずっと総合治水とかかわってきている。
    総合治水というのは、今は環境的とかが入ったので非常に幅が広くなったが、上流と下流が話し合って役割分担するとか、同じ町の中でも、内水対策をどうやって被害を減らそうかということで、いろんな話し合いをしていくことが必要になってくる。治水だけではなくて、利水、環境と、価値観がどんどん広がっていく中で、これから河川法で決めた河川整備計画を吉野川でやっていくときには、総合治水みたいな形で、いろんな人がいろんな価値観をぶつけて話し合っていくことが必要だ。これがないと何も前に進まない法律に河川法改正の中でなった。
    徳島へ来てから間もなく2年になるが、最初に来たときに、徳島で第十堰をめぐって賛成、反対の議論があるが、本当はその前にやっておくことがあるはずだということを申し上げたと思う。堰が丸とかバツの前に、こういった総合治水的な考え方で、吉野川流域というのはどうするのか、役割分担を上下流で仲よくするのはどうするのかということをまず議論しておかないと、あるいは第十堰、今あるもののいいところとか悪いところを議論しておかないと、そういうところの相互理解がないと、何をやっても前に進まないというか、結局は丸だバツだという議論しか起きないということで、話し合いの仕組みをつくらなければいけないと思ってきたわけだ。
    うそつけ建設省、可動堰つくるだけじゃないか、そんなことやってきたのかと思う方もいるかもしれないが、もう一度思い出していただきたいのは、来てすぐのときに、対話集会というのをやっていた。最初の二、三回は、「第十堰のいいところ、悪いところ」というテーマで、第十堰のいいところも評価しなければいけないし、問題があるとすれば、どんなところかというのをみんなで話し合って、相互理解をしていかなければいけないということで、行なった。ところが、参加人数も最初十数人だったが、それでも、いいところ、悪いところというのはなかなか出てこなかった。出てきたのは、可動堰にすれば、ヘドロがたまる、水質が悪くなる、税金のむだ遣いという、パンフレットにあるような宣伝のスローガンがそのまま出てくる。そういう状況の中で、やはり第十堰を現場で見たりしなければいけないなと思いながらやっていたが、そういったところの原点はもう一回必要なのかなということを思っていた。それから、うそつくなという一つの証明として、可動堰を進めるために、法律で必要な環境影響評価という手続があるが、これは話し合いの条件が整うまで先送りすると5月の末に言った。
    可動堰を無理やりつくるとか、あるいはつくらないとか、そういうことはちょっとおいておいて、こういう話し合いのベースをきちんとつくらないことには先に進みませんよということだったが、ああいう状況の中で、なかなかご理解いただけなかったと思うし、そう言ったら、可動堰と言っている方々からは、所長は逃げたと怒られたし、可動堰に反対なさっている方は、うまいこと言いやがって、そんなおためごかしには乗らないぞと言ってまた怒られた。
    やっと総合治水みたいな、話し合いをベースに、役割分担をし、お互いに痛みを分かち合うようなシステムをつくっていかないとというところに話が来たのかなという感想を持っている。我々がご提案をするにしても、国土交通省が今までやってきたやり方がそもそもまずかったんじゃないか、またうまいこと言うのか、そんなこと言っても聞けないよという話に最初はなるんだろうなという気がするものだから、今吉村さんが提案された5つのことについて、私どもも一たん持ち帰って、次回はきちっとお話を申し上げたいと思う。
    私は来て2年近く、可動堰がいいとか、第十堰を残すことがいいとか、そういう議論の前に総合治水的な、役割分担、話し合いがベースにないと、いろんな治水対策が進まないということを言ってきたつもりだ。きょう、総合治水というのが出てきて、2年近くなって、やっとここまで来たのかなという感想を持った次第だ。そのためにも、国土交通省の姿勢をしっかりとお示ししないといけないなということを思う。次回その点について、姿勢をきちんとお示ししたいと思う。

6.その他
 

内 容
今後の日程

<懇談会>

第13回懇談会:3月10日 午後1時半〜(建設センター)
第14回懇談会:3月24日

<運営委員会>(運営委員の方と訪問団の方)

3月10日 午前10時〜/3月17日 午前10時〜

市民アセス徳島が開催するシンポジウムのお知らせ
  • 前に訪問団で、市民アセスの会、旧称吉野川第十堰市民環境アセスメントの会というところと連絡をとった。結局、訪問団としては回答はいただけなかったが、その後、彼らのやっていることについて報告は受けていた。このたび、この会の名称が変わって、市民アセスメント徳島になった。この団体が近々シンポジウムを開くということで、皆さん、興味のある方は参加してくださいというお知らせを受けているので、報告する。私たちのやっている、現在考えをまとめているような内容と似たようなことをやっているので、ぜひ参加していただけたらと思う。
<日時・場所>
3月17日(土)午後1時30分より4時30分 
シビックセンターホール、徳島駅前アミコ4階のプラネタリウムを投影している部屋
<シンポジウムの題名>「市民合意の創造 第十堰市民参加を考える」
3月10日 午前10時〜/3月17日 午前10時〜
<講師>
東京工業大学 原科幸彦教授
<パネリスト>
国土交通省徳島工事事務所 大平所長
市民アセスメント会員 津川博昭弁護士