市民がいい判断を下せるよう関心を高める |
- 声なき声とか出ているが、まずはこういう問題に関心を持ってもらうということに尽きる。共通のテーブルにつく前段としての検討条件は、例えば現在の第十堰そのままでどうするのかというような公開討論会を催す。これについて意見のある人は寄ってきてくださいと。この討論会の条件は、絶対公開ということと、団体が入ってくれても、個人が入ってくれても、できるだけ大勢の人に寄ってもらって意見を述べてもらう。そういう公開討論会の性格づけをきちっと決めることが大切。
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行政の姿勢について |
- 徳島市の住民投票で否決された可動堰については、今後二度と復活させないというのを入れれば話し合いができる。市民の代表も団体も、何もかもなしというところまで話を元に戻したくないと思っている。
- 建設省の腹一つと。端的に言えば、可動堰案というのをもう考えない、やらないということであれば、相手は乗っかってくると言っている。これは皆さんご存知のところだろう。そういうことに踏み切れるかどうか。
- 声なき声をどうやって聞くか。幅広く皆さんの声をどうくみ上げていったらいいか。自治団体、行政機関にもいろいろお世話にならなければいけない。
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- 県議会の中に中立機関を設置するとか、そういう新たな土俵をつくって進める。
- 共通のテーブルを開きましょうといっても、反対の方々は絶対に来ない。アイディアを持っている以上は。
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市民参加による計画づくり |
- この一年間に状況も非常に変わってきた。疑問派というのは、建設省に対して、いろんな調査結果が正しい正しくないとか、そういうところからスタートしている。ある団体では、自分たちが目指す可動堰はどんなものかといって既にスタートしているわけです。そういったところからひとつの案が出た場合に、可動堰に賛成していたグループというのは、素直にそれを評価して認めていくのかどうかというのがまた次の課題になってくる。実際片一方はどんどん進んでいく、片一方は止まっているという状況で、なかなかテーブルがつくりにくいような気がする。
- 将来に向かって吉野川をどうしたらよいかという具体的なものがまずなければいけない。そういう具体的な案を皆さんから出してもらう。対話というのは向かい合って話すことであって、決定することではない。こういう具体的な案があるんだ、それについて真摯に検討しませんか、研究しませんかということで、それを決めるのは、そこに集まった人の多数決とかではない。最終的に決めるのは県民の皆さんだ。
- 一般の市民の人たちは、具体的な案が出たときに、これについてはこうだとか、自分たちの意見を出しやすい。全く何もないところから手を挙げて、私はこうですと言える人はまだまだ少ないのではないか。
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- 建設省ではもう話し合いにならない。建設省の考え方は1つも矛盾していない。反対派も、徳島市の民意という強い後ろ盾がある。どちらも否定できない。これを否定しようという姿勢が間違っている。建設省とどこという構図をもうやめにする。新たな構図を作り出して、私の意見では、流域住民が、計画づくりの検討の場に来る人、要するに疑問団体と検討の場を話したらいいんではないか。というのも、疑問団体は検討の場とわだかまりがないというか、わだかまりのないような検討の場にするだろうから。建設省と疑問団体は両方正しいから、いつまで経っても議論は進まない。我々は両方認めないといけない。
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提言の内容について |
- あれもありますと両論併記はよくある話。我々の知識とか得ている情報だけでは、これは判断できない。我々が方向を1つだけ決めるというのは、逆に言えば、非常に僭越だと思う。道が3つあれば3つ、4つあれば4つ、併記して提言して、それで建設省はやるだけのことはやったから、今度は県がやるとか、その中でまた選択すればいい。
- 条件整備は、多様な案が出ていますから、それを併記して条件整備を行う。対話のための条件は出てきたら併記する。
- 賛成、反対、両方がまずまず得心がいくような両論併記。
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- 各団体は、今いろいろと独自案を検討していると思う。それを受け入れられるような軟着陸できるようなシステムを考えよう。今日の流れの中で、3案なり4案なり、先々すり合わせのできるような案で落ち着くところへ落ち着けるような方向で考えてもらったらと思う。
- 案と人を切り離した方が技術的にスムーズに行くのではないか。できるだけ皆さんからどのような案があるんだという具体的な案をまず募集して、そういったねたについて、意見のある人はどんどん言って下さいと、そういうふうに順序を変えた方が、考え方としてはスムーズに行くんじゃないかと。
- 中間提言の中で一番の目的は、参加と対話の方法に関する野川方式を検討する、という部分だから、やはりルールづくりが大切ではないか。我々もつくって、こういうスタイルで公募して、こういうスタイルのなにをつくって進んでいったらどうでしょうか。
- 我々は、そういう意見を盛り込んだこういうルールで、こういうふうな手順で、市民参加してください、したらどうでしょうかという提言でいいのではないか。
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住民投票の受け止め方 |
- 徳島市の住民投票の結果をどう受け取るかというのが大きな問題だと思う。現段階では、住民投票の結果が最大の効力を持っていると思う。これが徳島市の市民の代表意見であるわけですから、これを無視していろいろ言っても通らないと思う。
- 徳島市民の民意というか、それはそれで認めないといけない。それを否定したらいけない。
- 住民投票というものの重さは私たち十分に認識している。ただし、第十堰に関しては、徳島市の住民投票で決定すべき問題ではないのではないか。徳島市だけでなく、流域住民56万人の利益のためのことを考えて行かなくてはいけない。
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その他 |
<市民参加のあり方と第十堰問題解決を分けて考え整理する> |
- 話し合う内容として、大きな問題(吉野川の市民参加のあるべき姿)と現実の問題(第十堰問題解決)の2つがある。これを分けて考えを整理していったらよい。10回を迎えてまだやはり混乱する。
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当面の危機管理対策
(大平所長から) |
国が管理している日本の大河川の整備目標は、一般的には戦後最大洪水を安全に流しましょうということです。吉野川で見ると、戦後最大洪水は昭和29年と49年に生じています。昭和29年の頃は、第十樋門の十の字のところまで川の水位が来ており、当時の人の経験で言うと、堤防から手が洗えるところまで洪水が来たということです。その後堤防も大分補強をし、砂利掘削で河床が2?3m(下流ではところによって4m)下がりました。その結果49年の洪水では、下流では大きな被害はほとんど発生していません。一方上流は、岩津から上流には堤防がございませんから、外水、川の水があふれ出してすごいことになりました。そこで今の目標は、昭和49年洪水を安全に流せるような吉野川にすることです。49年洪水が来ても田んぼや家が浸かることのないように、上流では堤防工事をしています。当然上流であふれていた分が下流に押し寄せて来ますし、内水排除ポンプ(200トン)の水も入ってきますから、第十付近では、昭和49年当時よりも大きな流量が流れてくることになります。その流れてきたものが、第十堰の堰上げで上流に悪影響を与えるということについては、昭和49年を念頭に考えるのならば、すぐに大変なことになるとも言えない。それで第十堰を改築するまでの危機管理対策としては、下流で問題のある堤防を補強するということです。去年の洪水で水があふれた上板町と市場町では、現在漏水対策工事を行っています。これを除けば、基本的に岩津から下については、非常に完成度の高い川となっています。ですから上流の整備を行うことができ、私たちが経験したことがない、だけど経験する可能性の高い洪水に対して、あらかじめその障害に対応できるようにしていこう、というのが第十堰問題の原点であります。 |