吉野川懇談会 訪問記録

日 時 :2000年9月30日19:30〜23:00
訪問先 :佐野塚・第十堰を考える会(以下、佐野塚と略称)
場 所 :佐野塚公会堂
参加者
佐野塚:佐野知秀会長、山下善弘副会長、佐野 功副会長、真貝 理氏、日下 貞夫氏
    佐川茂男氏、宮本 博氏、山下治郎氏、佐野徳雄氏、山下信良氏
懇談会:青山郁雄、井上久子、岡内淑夫、倉良重良、豊田雅信、中野直行、山地武彦
    米崎広之
聞き取りについて
 話を聞くのは結構だが、その成果が反映されるのか、聞き取りの位置づけを明確にしてほしい。また、私たちが話をすることの必要性を認めないと言った場合、どういう対応をするつもりなのか知りたい。

  1. 団体の考え方やこれまでの活動について
     佐野塚は海抜6.1mであり、5.1mの堰が下流にできると、地下水位がGL-1mに上がり、農業ができなくなるため、可動堰に反対している。また、現堰がなくなると堤防に深堀が起きる心配があり、現堰の撤去にも反対している。
     賛成派は生命と財産を守るという大義名分ばかり言っているが、我々にはその上に生活を守ることがある。
     以前よりも河床が下がったため、洪水の心配はまずないと考えている。昔は堰と同レベルで砂利があったが、今は砂利がなくなり問題がなくなった。水が噴き出したのは砂利採取以前のことで、そのころは地面がスポンジ状になり、あちこちから水が噴き出していた。S.49年にS.29年の洪水と同じくらいの水が流れたが、余り影響はなかった。
     現堰を外すと、このあたりは河川敷がなく川が屈折している為、堤防の根洗があり危険、現堰が安全性を守っている。
     柿原堰には手を入れているのに第十堰は放置されている。私たちは現堰の補修だけでよいと考えている。20年以上前の計画を今進めようとするのには無理がある。
     下板地区には利水権があり、そのために堰がある。水が必要というが、農地防災事業で得られる28トンと第十堰からの22トンで足りるはずで、それなら渇水期でも十分まかなえている。
     堰から上流は現堰を撤去すると河床に影響が出る。この間の台風で高瀬の潜水橋が壊れたのは橋桁部分の木を取らなかったためで、建設省の河川管理がどれだけできているのか疑問だ。地元の人間は毎日川を見ており、川のことをよく知っている。
     佐野塚としては、可動堰反対、現堰撤去反対、17年間も放置されているが今の形が大事との立場で、独自案を発表した。
  2. 問題解決のため、共通のテーブルで話し合うことについて
     反対団体は白紙撤回を求めており、賛成団体は様子見をしているのが現状で、以前よりも膠着している。私たちはいろんな案を持ち前向きであるが、今の状況ではテーブルづくりは難しいのではないか。
     共通のテーブルづくりは、席に着きさえすればよいという、大義名分を探しているような気がする。
  3. 話し合いの障害について
     審議委員会で、佐野塚の地下水位上昇対策に盛土を提案した推進派の代表がいた。とても現実味のない話である。賛成派の話はだいたい定番で、可動堰ありきが多い。賛成団体にはもっと勉強してもらう必要がある。私たちは色んな事例を見て勉強してきた。
     建設省は可動堰推進のため、いろんなことを誇張し、PRしていることが多い。建設省が可動堰を推進するための説明が80年に一度の洪水から150年に一度と変わったり、深堀のことや、斜め堰のことなどコロコロ変わっている。
     知事は何でもベストをと言って、併用橋案を求めおかしくなった。県庁の可動堰広報コーナーは撤去すべきだ。
    私たちは前向きではあるが、テーブルにつくのは条件が整えばの話だ。
  4. 話し合いのテーブルにつくための条件
     仮に条件が整ってテーブルができたとして、その時のレフリーをどう考えているのか。そういう仮定が先にないと、こういう人には協力できないという場合もある。現状では、双方がテーブルについても、互いに主張しあうだけだろう。どんな条件であっても、言い合いが続く。そのうちに少し歩み寄るかもしれないが、「大義名分の範囲」と「妥協できない部分」があり、「妥協できない部分」をどう解決するかが見えてこない。
    可動堰ですべてが解決できればよいが、第十堰はこれからの河川事業のモデルとなる。その結果が審議委員会のように住民無視となってはならない。しかし、直接の責任者である知事は道路併用橋にこだわり、所長は可動堰がベストといっている状況が打開されない限り、何をしても無理だ。
  5. スタートライン
     会としての統一見解はないが、審議委員会の計画が白紙になったのだから、可動堰設置案が白紙になったとかんがえられる。
     現計画が白紙になったのに、選択肢として残るのはおかしい。
    スタートラインは計画が全くない、真っ白の状態ということで、すべての情報公開が必要となる。
     ゼロとは本当に事業が必要なのかの問いかけから始めること。それなら、テーブルにつきやすい。
  6. テーブルの運営や構成について
      共通のテーブルにはバランスが絶対条件となる。賛成派・反対派の色分けが難しい団体もある。
  7. 市民参加や合意形成についての提案
     今度の事業主体は建設省だが、吉野川に関連する事業主体として農水省や水資源開発公社もある。建設省の場合、新河川法の規定があるが、他の事業主体に対しても市民の声を活かす方法を考える必要がある。
  8. 懇談会や中間提言に対する意見
     懇談会のメンバーには敬意を払うが、先ずは県や建設省にテーブルができる状況づくりを求めるべきだ。懇談会は自前のテーブルをつくるつもりか。
     佐野塚の話を聞きたいというなら、佐野塚のことをよく知らなくてはだめだ。
     懇談会は建設省の呼びかけでできたのだから、建設省よりと見ている。
     下板の利水権について、保有枠と使用量のギャップを調査し、本当に必要な水量を把握するよう、懇談会に提案する。

以上
文責:団体役員会
団体名の公表について:公開してもよい