10月31日、美馬町の安楽寺へ「能」を見に行ってきました。安楽寺には能舞台があります、そこで毎年、能楽鑑賞会が開かれています。今年の演目は、「杜若(かき つばた) 恋之舞」です。この「美馬能」は地元の能楽ファンが待ち望んでいるそうです。
舞囃子の「賀茂」と仕舞「六浦・昭君」の後、「杜若 恋之舞」が始まります。「伊勢物語」の九段、三河八橋の「かきつばた」の話を主題にしています。在原業平が「か・き・つ・ば・た」を五文字を頭にして「からころも きつつなれにし つましあれば はるばる来ぬる たびをしぞ思ふ」と旅の心を詠みました。シテ(主役)の「かきつばたの精」と地謡の掛け合いで「伊勢物語」が語られていきます。豪華な衣装でゆったりと舞うシテに目を奪われ、地謡とのテンポのいい掛け合いに引き込まれ至福の時間を過ごしました。
(記:合田 裕亮)