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山深い七子峠から
ここで紹介する四国のみちは、高知県高岡郡中土佐町から、 |
![]() 奥大坂から登り口になっている山道 は森林浴にぴったり。 この階段を上がれば七子峠。 |
土佐久礼〜七子峠〜影野 静かな佇まいの土佐久礼の駅前から、新鮮な魚や野菜が並び、 土佐弁が陽気に飛びかう大正町市場の入り口を左に見て、漁港、 久礼八幡宮など生活感あふれる町並みを進みます。景色が田 園風景に変わったあたりが、大坂の桜の名所。春の満開の桜 並木は、それは見事です。また黒竹の産地としても有名で、 サラサラゆれる竹の葉音を聞きながら、ここで一息。しばら く、里道を進み、道が狭くなるにつれて、峠道の風情が感じ られてきます。落ち葉を踏む音が心地よく、大きく深呼吸し て山の空気を胸いっぱい...。久礼坂の頂上(七子峠)に近 づくにつれて、だんだんきつい登りになって、最後の難所 が階段です。かなり急なので、息も切れ、足も重くなって、 一段上がっては休み、また一段といった調子。たどり着くと、 国道56号。ここから影野に向かいます。 |
![]() 仁井田のヒロハチシャノキ (国の天然記念物) |
影野〜四万十川(窪川町)〜宮内 樹齢300年以上という、国道沿いの「お雪椿」が遠くからでも 目に付きます。道はJR影野駅を左に、下呉地付近で国道と別 れます。 茶畑が並ぶ里道を進むと、少し上り坂。前方に「仁 井田のヒロハチシャノキ」の大木が見えてきます。国の天然記 念物に指定されたこの別名えごの木は、樹齢700余年。山あい に樹冠を広げて堂々とした姿。ひと息入れて、魚の川を後に、 しょうがの畑がひろがるのどかな田舎道へ。志和分大橋の下を 流れているのが、四万十川。このあたりは川幅も広くなく、流 れはゆっくりと静かです。左岸を進み、西川角の鳥居を過ぎる と疎水のある落ち着いた佇まいの集落へ。ひなたの匂いがなつ かしい道。四万十川と付かず離れず進みます。 |
![]() 岩本寺(四国霊場37番札所) 狭い路地の突き当たりにある山門を くぐって梅の香りが漂う境内へ。 |
宮内〜岩本寺〜峰の上 宮内の鳥居をくぐると高岡神社。「五社大明神」とも呼ばれる 神仏習合の神社です。 四万十川を渡って、川沿いの風景を楽し みながら、のどかな山間部を進みます。町並みが続く道に入る と、やがて、37番札所の岩本寺。境内に線香の紫煙が流れて、 参拝客の姿が...。岩本寺のあたりは、窪川の中心からちょっと はずれていて、落ち着いた感じの生活道です。ひととき、この 地の人になったような気持ちにさせてくれるやさしい道です。 昔、高知への宿場、中継地としての重要な拠点であった窪川の 町は、国道と鉄路ともに分岐点にあり、今でも高知方面と西南 の幡多地方、高岡方面へと向かう、交通の要衝です。さて、道 は、高架をくぐると、国道56号へ。少し登りの国道を進みます。 |
![]() 思わずスキップしたくなる、のどかな 田園風景。 |
峰の上〜市野瀬〜荷稲 五在所ノ峰が左手に広がっている、窪川と佐賀の町境の峰の 上から、下り始めて大きくカーブすると片坂のふもと市野瀬 です。 今の国道56号は、かつて中村街道と呼ばれ、高知城 下から南進し、幡多本郷(中村)を目指す旅人が片坂を越え、 ここで幡多に入ってほっとしたところ。 ここから、国道と別 れて、川に沿って進みます。田畑が続き、のんびり気分でウォ ーキング。国道を横切って、さらに進むと、春ならば、菜の花 が一面に。拳の川天満宮と数百年前から自然湧出している冷泉 湧出地を通ると佐賀温泉。時間が許せば、温泉で疲れを癒すの も一興。国道を対岸に見ながら荷稲まで。 |
![]() 熊井トンネル レンガ一個2銭。明治時代、子供 達がひとつずつ運んで完成したと いう、エピソードが残っています。 |
荷稲〜伊予喜〜佐賀市街地 土佐町から流刑され、そのまま住みついたという流人万六の墓が、 小黒ノ川の丘にあります。万六はドクレと頓智で話題を作り、万 六さんと呼ばれ親しまれていました。さて、道は、"大うなぎ"がい たという伊予木川に沿って、線路の下をくぐること数回、伊予喜 天満宮へ進みます。熊野神社をすぎると山道。先に見えるのが、 古びたレンガが趣のある熊井トンネルです。長さ90mのトンネル の中に進むと、水滴の音がリズミカルに響いて...。伊予木川左岸堤 防上を進むと菅原道真公と曾我兄弟がまつられている天満宮と蘇我 神社。とささが駅、佐賀町市街地へは、国道56号沿いに。太平洋 はすぐ目の前です。 |
![]() 鹿島 豊かな森林に、すっぽり包まれた 小島。鹿島神社の神域として保護 されて、春の大祭には、数十隻の 船が巡航し、一見の価値あり。 |
佐賀市街地(鹿島)〜伊の岬〜上川口 カツオの一本釣りで知られる佐賀漁港にぽっかり浮かぶ、緑の鹿島。 土佐西南大規模公園では、ゆっくり散策。雄大な太平洋の眺めを満 喫しましょう。ここから見る鹿島が浦の風景は絶景です。道は、国 道を南進。太平洋を間近に見ながら大方町に入ります。西灘あたり の集落から岬をぐるりと回る旧道を進みます。小さな岬をひとつ回 るごとに、道がまるで海の上に出ている感じさえする断崖が。この 辺でひと息ついて、時間が許せば、伊の岬温泉で汗を流すのも一興。 再び国道へ出て、線路を越えると有井庄司の墓。鎌倉時代、土佐に 配流の身となった尊良親王に忠勤した人物で、八幡神社の境内に五 輪石の墓があります。古い佇まいの家々が続く港町が、上川口です。 |
![]() 入野松原 |
上川口〜入野松原〜田野浦 王無の浜、海水浴の浮津浜をすぎると、視野に入るのが松林と砂浜、 そしてサイクリングロード。いよいよ県立自然公園入野松原。ここ でレンタサクルを借りるのもお勧めです。またゆっくりと松林と白 砂のコントラストが美しい砂浜で、いろいろな形の風紋を見つけた り…。海岸一帯が砂浜美術館の名の通り、なかなか楽しい道が続き ます。(ここでは、潮流の関係で遊泳が禁止です。注意)浜の宮神 社の前に出ると、11月ならラッキョウの花であたり一面ピンク色。 ラッキョウの花がこんなに可憐だったのかと、ちょっと驚き。この 先しばらくは雑木林と入野漁港の民家の間の細い道。スポーツ施設 の並ぶ中を通り、真新しい道路に出ると、郷土の文学者として親し まれ、「四万十の清き流れを忘れめや」と読んだ上林暁の碑が。蠣 瀬川に架かる橋を渡り、再び太平洋の見える田野浦港へ...。 |
![]() 平野の浜 土佐西南大規模公園の中で、平野 サーフビーチはサーフィンで有名 です。 |
田野浦〜平野の浜〜下田 田野浦の港を歩くと、シラスを干してある光景や路地でのお年寄りの 談笑の姿も...。生活の匂いが漂ってくるような道です。今も地域の人 々に使われていて、枯れたことのないという沖井戸が見えてきます。 これからは横浜、こまじり浜、双海崎、金ヶ浜と浜や岬が次々と現れ ますが、道は海沿いよりも、少し中にはいります。熱帯の植物、グア バの果実園やビニールハウスが多い田畑を通り過ぎていくので、漁業 だけでなく、園芸や花卉栽培の暮らしに触れられる、のどかな田舎道。 畑で働く人とあいさつを交わすのも、うれしい旅の思い出に。平野の 浜で、浜に降りる道が見つかりました。ここでちょっと道をはずれ、 海岸へ。この一帯はサーフビーチとして有名で、晩秋でも、若者が波 を相手にサーフボードを上手に操っている姿に感心したり...。さあ、 下田までもうひと息です。 |
![]() 四万十川流域の門戸として要衝の 地である商港下田。 そぞろ歩きしたい道筋です。 |
下田(四万十川渡船場)〜初崎〜立石 古くから四万十川流域の要衝の地として盛えた港町、下田。貴船を 神社をぐるりとまわって進むと、下田の渡船場。この渡し船は一日 5回。わずか10分足らずの小さな小さな船の旅ですが、四万十川を 渡る風を全身に受けて、ワクワクするのは、四万十の魅力でしょう か。対岸の初崎は、後ろに山を背負い、ひっそりともの静かな漁港。 釣り人がのんびり釣り糸を垂れているのが印象的。 ひと山越すと小 名鹿。そして大名鹿。浜に出るとぐーんと太平洋が近づいて、眺め は最高。ここから太平洋と離れて進むと、畑の間の道。"良心市"と書 かれた小屋があちらこちら。新鮮な野菜や果物を置いてある無人の このお店をのぞいてみるのも一興。 |
![]() 迎えてくれたのはツワブキの花。 足どりも軽く、いざ山道へ。 |
立石〜布浦〜久百々 立石川の橋を渡ると、小さな野地菊やツワブキの黄が映える道へ。 秋から冬ならではの風景です。みかん畑も見えかくれしています。 木漏れ日がキラキラ輝き、かさかさと落ち葉を踏みながら進む、気 持ちよいハイキングコース。この一帯は、柑橘類の栽培が盛んで、 ちょうど山道が終わったあたりも土佐文且が色づいていました。 布崎の標示を見たら、左に曲がって寄り道を。昔、布崎は沖に鯨 が現れると、ここにあった遠見番所から、ほら貝や旗で漁師に知 らせていたところです。畑の中の道に戻ると、すぐ布浦漁港。布 の天満宮が港を見下ろす丘の上にあります。漁港を過ぎると太平 洋が広がっていて、気持ちも大きくなりそう...。 |
![]() あっトンネル。 やさしい樹木たちが織りなす緑の トンネルの中はひんやりと気持ち いい。 |
久百々〜大岐海岸〜伊予駄場 久百々、くももと読む海岸沿いの道をさらに進んで、いざ大岐海岸へ。 クロマツの林が海岸線と一体になった雄大な浜が大岐海岸。白浜の浜 に、波が静かに寄せては返し...。ゆっくりとした時間の流れに心がや わらいできそう。 以布利に入ると、車が通る道を離れ、民家の間の小 道へ。神社の横の階段を上がりきると、また国道へと出ます。ここで 国道を横切るので注意が必要。 後半の伊予駄場は、海からほんのわず か離れただけとは思えない、静まり返った小さな沢越えの道。折れた 木の枝や湿った落葉を踏みしめながらの、まるで山歩きをしているよ う。足元がすべる個所が何カ所もあるので、いそぎあしは禁物。 |
![]() 魚の匂いが漂ってきたら、鰹節工場。 平安時代から製造されてきたという 歴史ある産物。 |
伊予駄場〜窪津〜赤碆 伊予駄場の山道を抜けると、太平洋の眺めを楽しみながら進む道。 鰹節工場の前を通ると窪津です。藩政時代、窪津は鯨の生捕りの 漁港として栄えました。かつて、目の前のこの海に鯨の群れが遊 泳していたのかと想うと、思わずじっーと沖を見つめ、鯨の姿を 探してしまいそう。 開の集落を過ぎると、里道。木々の間を歩む とひんやりとした空気が心地良く、まるで森林浴気分。権現でゆ るやかに道が曲がって、民家や田畑が広がる生活道を進んで大谷 へ。もう足摺岬までは、ひと息です。 |
![]() 足摺岬 |
赤碆〜足摺岬 足摺岬へあと少し、心なしか足どりも軽く進みます。坂を下ると、 いよいよ海岸美いっぱいの足摺岬。ビロウ自生地、天狗の鼻、椿 のトンネル、展望台、灯台など次々とまわりながら、県道に出ると 38番札所金剛福寺の山門。潮騒の聞こえる小道を進めば、浜に現れ るのが海食洞門の白山洞門。アロウド浜を歩いて、足摺の集落へ。 道は西回り海岸に沿って松尾へ。ここ松尾神社境内にクワ科の巨 木、アコウの木が堂々たる姿を見せています。集落をぬけると鵜の 岬。登りの道を臼碆へ。黒潮が直接岩にぶつかる様子は圧巻。展望 台から見てもダイナミックですが下に降りて、竜王宮神社へ。エメ ラルドグリーンの海が岩にぶつかって白い波がわくのが間近に見ら れ、豪快そのもの。 |
![]() 清水港の夕暮れは情緒たっぷり。 |
臼碆〜尾浦半島〜清水漁港 大浜を過ぎると、ジョン万次郎誕生の地、中浜。 海岸沿いの道に大 きな碑が目立ちます。静かな落ちついた中浜の集落を抜けると、土 佐清水市の中心、清水港。港を渡す渡し場、厚生橋、鹿島公園と港 をぐるりとまわると尾浦半島へ入る道。このあたりは清水の町のに ぎわいを見せているところ。半島のまん中で、ポツンと一軒ある民 家の横の小道を進みます。突然、竹林が現れ、シーンとした山道が続 きます。野花が咲き、木々の香りが漂い趣があります。清水漁港が眼 下に広がってきたら、下りの道です。ゆるやかなようで意外に急な坂 なので、ご用心。 |
このコース上にあるお四国さん | |||
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第37番札所 岩本寺 | 第38番札所 金剛福寺 |