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第7回 本州四国連絡道路関連調整会議 議事要旨

日 時 平成11年10月29日(金) 13:30-15:30
場 所 ウエスティンホテル大阪

1. 開会(建設省四国地方建設局長)
2. 来賓挨拶(建設省道路局長)
3. 出席者紹介
4. 議長挨拶(大阪府知事)
大阪府知事) 本年は、尾道・今治ルートの完成で、「瀬戸内三橋時代」が幕を開けた重要な節目の年。この架け橋を最大限に活用し、中四国、関西が一層発展するよう関係者の強固な連携が必要である。

瀬戸内海と世界を結ぶ玄関として関西国際空港の整備、世界都市・関西としての機能を高めるために大阪湾ベイエリア開発が重要。「豊かな歴史文化と自然」が結びつくことにより集客圏域が広がる。

今後は、「観光」をキーワードに関係機関と協力・切磋琢磨しながら「新たな瀬戸内新時代」を作りだしたい。

5. 議事
(1)本州四国連絡道路の現状について
本四公団) 三ルートの概成により本四間の交流を促進し、新しい社会・経済・文化圏の形成に大きな役割を果たす交流基盤が整備されたといえる。なお、「瀬戸内しまなみ海道」(西瀬戸自動車道)の未整備区間については今年度から事業に着手されることとなった。

営業中の道路の概況は、明石海峡大橋については開通効果の沈静化で交通量は2割ほど昨年を下回っているが、大型、中型車では1割伸び、物流面では着実に役割を果たしている。瀬戸中央自動車道は、「瀬戸内しまなみ海道」の開通の影響で昨年度と比べて3%の減となっているが、落ち込みは少なく利用が定着している。「瀬戸内しまなみ海道」では、開通効果もあり、利用台数は大幅に増加している。特に普通車、軽自動車の割合が大きく生活に密着しているところが他のルートとの違いである。交通量は、現在の経済情勢を考えると健闘しているが、全体としては目標を下回っている。今後とも関係機関と連携をはかり、地域の特性を活かす等の利用促進策を実施していきたいと考えている。

公団の経営状況は、H10年度まで要償還総額が4兆3900億円となっており、償還計画よりは少ない。今後、経費の節減などの自助努力を続けるとともに公的助成を継続していただき、確実な債務の償還をしていきたい。

橋開通による、港湾運送事業関係の離職者の雇用促進が重要課題の一つである。各機関の協力をお願いする。

長大橋技術の継承・高度化を図ることも重要な課題である。このため公団内に長大橋技術センターを設置し、本四三ルートの管理技術の確立はもとより国内外の長大橋プロジェクトへの支援ならびに長大橋技術の情報発信等の役割を担っていく。

三橋供用後本四は一つの交流圏を形成することになるので、今後は広域的な地域間交流の積極的推進や関係地域の活性化が図られるよう公団としても努力し、自治体の取り組みに協力していく。今後も公団事業への関係機関の支援をお願いする。

(2)本四三橋全通後の社会経済の変化と課題及び今後の利活用に向けて
神戸・鳴門ルート
兵庫県) 明石海峡大橋の開通後、淡路島の往来は飛躍的に増加。淡路全域における観光客の入りも供用前と比べて大きな伸び。「淡路島の橋桁化」の心配はもうない。

ただし、今年度に入ってからの観光客数は昨年度を下回っているので、兵庫県としてはこの傾向に歯止めをかける必要がある。

兵庫県では「くにうみのロマン」に彩られた淡路島を自然環境と調和した快適な生活空間と多彩な交流空間をあわせ持つ「世界に開かれた公園島」とするために、「淡路公園島構想」を推進。特に、“人と自然のコミュニケーション”をテーマに、平成12年3月18日から184日間にわたって開催される淡路花博「ジャパンフローラ2000」は大きな利用促進策の一つになると期待。

本四道路がさらに利用されるよう活性化の努力をするとともに、震災からの創造的な復興と新しい花と緑の文化を世界に発信していきたい。

神戸市) 神戸淡路鳴門自動車道の全通は、復興の力強い牽引力となる。神戸の特性を生かしながら、自動車道と連携した街づくりを進めている。

舞子海岸周辺一体を、橋の完成に合わせ親水空間として整備。マリンピア神戸では都市型漁業の展開を核とした交流拠点づくりを目指している。今後も民間活力の活用を図り、新しい観光拠点を定着させたい。

橋の開通で新たに中四国から進出した企業もある。今後は、神戸が東西・南北交通の連結拠点、物流拠点となるよう整備を進めていく。また四国・淡路島の玄関口となる舞子駅前の再開発事業も進める。

橋の開通後、神戸への来訪者は確実に底上げされ、観光を中心に大きな経済効果をもたらしている。今後もこの効果を持続させるよう努力する。

人、物、情報の流れを活発化・定着化させ、神戸・鳴門ルートで形成される交流圏の活発化が今後の課題。そのため、都市機能や都市の魅力を高め、単なる通過点ではない「用事のある都市・神戸」にしていきたい。

三橋時代を迎えるので、これを契機に沿岸都市の連携により瀬戸内全体の交流促進と活性化を図っていきたい。

徳島県) 明石海峡大橋の供用により神戸・鳴門ルートが全通し、徳島から阪神方面への所要時間は大幅に短縮。また、天候に左右されずに移動可能となった。本格的な高速道路時代の到来を迎えるにあたり、その効果を県勢の発展につなげるため従来にも増して努力する。

本県における全通後の状況について、平成11年度上半期の日交通量は、明石海峡大橋で昨年度の94%、大鳴門大橋では昨年度と同等程度。徳島自動車道の利用も着実に増加。高速バスの利用は利便性の高さを理由に好調に推移し、基幹的交通機関として定着。生活行動の圏域拡大と選択肢の多様化が大きく進展。

産業面では、輸送時間の短縮や安定性・随時性等の向上を背景に徳島県産野菜のシェアが上昇。

観光面では、阿波踊りの観光客数が150万人に上ったほか、全通前の2倍を越える観光施設も現れている。観光面での架橋効果の継続は認められる。

利活用方策としては、人、物、情報を引き寄せる「とくしまマグネット作戦」を展開。具体的には鳴門の渦潮が眺望できる「渦の道」等の整備を図っている。

本県では、ソフト・ハード両面で地域間交流や地域活性化の取り組みを進展。今後も本四三架橋の効果をさらに高めるため、高速道路網の早期整備を要望し、大阪湾ベイエリア地域の開発整備や紀淡連絡道路の実現に向けて努力していく。

大阪市) 本年、「瀬戸内しまなみ海道」の開通により本四三橋時代の幕開けを迎えた。これを契機に、近畿、中国、四国の各圏域の交流が活発化し、一体的な交流圏が形成されることを期待。

今後は、各地域が個性を生かした魅力的な街づくりを推進し、相互連携しながら広域連携基盤を活かす取り組みが肝要。

大阪市では、これまでに海遊館やフェスティバルゲート等魅力的な都市型観光施設の整備を実施してきた。その結果、観光を目的として大阪に来る人が増加している。今後も、イベント、コンベンション等、観光はもとより産業・経済などの機能向上に取り組み、集客力の高い、活力ある街づくりを推進し、広域交流圏形成の一翼を担っていく考えである。

また、2008年のオリンピック招致についても努力していきたい。

今後、近畿・中国・四国の一体的な広域交流圏が形成され、我が国の経済発展に寄与していくことを祈念する。

近畿地建) 三橋時代を迎え新たな交流時代を迎えている。近畿、中四国の三圏域は歴史・文化が違うが、お互いに自立し緩やかな連携を保っている地域である。そのような中、本四三橋は人・物の流れを加速し、大きな役割を担う。今後は、これを活用し、西日本のみならず日本の発展に資するよう努力していく。

近畿地建としては、各地域の活性施策、産業・社会・文化に対する誘発効果も把握していくことが重要と捉えている。実際、観光客数は順調に伸びており、併せて観光消費も伸びている。また人の流れも一極集中のストロー効果ではなく、双方向に流れており良い傾向である。人と物の流れが双方向に連携していくことが、三橋時代のあるべき姿である。

今後は、近畿圏のみならず、中四国の試みも母体とし、経済的な効果のみならず、社会的な効果を含めて、本四の利活用を進めていきたい。

児島・坂出ルート
岡山県) 瀬戸内三橋の完成により、人、物、情報等の交流が中四国一体で活発化することに期待。

これまでは、高速道路網の整備や岡山空港、水島港等のゲートウェイの整備、交流拠点施設の整備に注力。その結果、工場立地件数・敷地面積は中四国で一位、倉庫面積もH7以降トップを続けている。観光入り込み客数も供用前に比べて25%増加。

岡山空港の滑走路延長に伴い、国際路線の開拓に努め、水島港では輸入促進地域編入を目指している。関係各県の空港、港湾で役割分担をしながら、それぞれゲートウェイの機能を果たせれば、瀬戸大橋は今以上に物流動脈としての意味を持つ。

日本海から太平洋までが高速道路で結ばれたことで、ルート沿線地域では、民間主導による連携事業が活発に行われている。今後、交流をより促進するために、例えば「文化」という新たな切り口を見つけることも重要。

観光面では、三橋を活用した魅力あふれる「周遊ルートの旅行商品化」が重要。

今後は、既存の連携・交流、広域観光を一層進めるために、関係機関が一致協力し、あらゆる分野で本四架橋が有効に活用できる環境づくりが必要。

香川県) 香川県における瀬戸大橋の整備効果は、産業・経済・生活・文化など多分野に及んでいる。観光入り込み客は、供用後大幅に増加し、工場立地件数も順調に推移している。

瀬戸大橋供用後10年以上の取り組み実績を活かし、瀬戸大橋の整備効果を最大限に活用し、活力のある、魅力ある地域づくりを進めていくことが最重要課題であり、県勢全般の基盤強化が瀬戸大橋の利用促進につながる。具体的には、高速道路やアクセス道路の整備、高松空港の整備、産業基盤の整備、香川インテリジェントパークの整備がポイントとして挙げられる。

香川県としては、瀬戸大橋及び他の2ルートの利用促進のため、西日本中央連携軸や太平洋新国土軸をはじめとした関係地域との産業、経済、文化など多様な交流の推進が必要と考える。また、高松港頭地区の再開発(サンポート高松)やインテリジェントパークの整備などにより、本県が培ってきた中枢拠点機能をさらに充実強化するよう努め、環瀬戸内交流圏の核となる魅力ある県土づくりを今後も進めていく。そのために、瀬戸大橋と神戸・鳴門ルートを結ぶ四国横断自動車道の早期完成を要望する。

高知県) 本県における瀬戸大橋供用後の効果として、観光客数の大幅な増加が挙げられる。供用以前との比較で観光客数をみると、非常に際だった効果があると言える。物流面での効果も大きく、瀬戸大橋は本四間を結ぶ物流の動脈として活用されている。

今後は、「道の駅」の情報化等の施策を、関係県で連携し、各連携軸上でも展開することが重要と考える。そのためにも、本四三橋の効果を地域全体に広げるための高速道路網の整備促進が重要である。

今後の利活用方策としては、3つのルートのそれぞれの連携軸構想を推進することにより、観光客をはじめとする個別の交流人口を増やしていきたい。

四国地建) 三橋時代を迎え、離島性から脱却したことで、四国にとっての背骨ができた。具体的に、工場立地件数や観光入り込み客数が伸びていることがこれを表している。

三橋時代の課題は大きく3点ある。四国島内高速道路の整備、三橋を生かした四国づくり、西日本地方が一体となった交流圏づくりがそれである。三橋が完成しても、島内高速ネットがなければ効果は半減するし、高速ネット相互の接続も必要である。また、四国四県の固有の歴史、文化、風土等を生かした四国づくりも四国の活性化のためには必要である。

四国は、非常に地形が厳しく、地質も脆弱で、国土条件が劣悪だが、これらを克服し、よりよい四国地方の整備に努力していきたい。

尾道・今治ルート
広島県) 広島県では、「瀬戸内しまなみ海道」の全通イベント「しまなみ海道'99」を開催、本イベントの集客数は609万人に達し、目標を大きく上回った。これは、瀬戸内海の多島美や個性あふれる歴史・文化資産が数多くあること、イベントの広域連携方式、徒歩・自転車により橋が渡れることが主要因として挙げられる。これを一過性のものとせず、今後も継続していきたい。

現在行っている「しまなみ大学」は、注目度の高いユニークな取り組み。今後の広域連携による地域づくりの先進的モデルとなると考える。県としても支援していく方針である。

中国横断自動車道尾道松江線が開通すれば、山陰から四国に至る大動脈が完成する。そこで、「瀬戸内しまなみ海道・尾道松江線戦略プラン」を策定中。

今後は、物流面でのポテンシャルを活かし企業誘致を推進していく。

「瀬戸内しまなみ海道」がより多くの人に利用され、沿線地域の活性化が図られるため、生口島及び愛媛県の大島島内道路の早期整備が緊急課題。関係機関に強く要望していく。

愛媛県) 本年5月の「瀬戸内しまなみ海道」の開通で、松山城、道後温泉等、本県の主要な観光地の観光客数は例年に比べ2割から3割増しの効果が出ている。また、全通後は本州と四国が大動脈で結ばれるため、人・物・情報の交流が一層活発になっていくと確信。

開通イベント「しまなみ海道'99」では、総数1000を越える多彩なイベントの展開により「瀬戸内しまなみ海道」のすばらしさをアピールでき、目標を大幅に上回る集客数であった。同時に、様々な試みを通じて、新たな地域づくりや人々の交流を創出する効果も生みだした。この効果を一過性のものとしないよう、今後とも「瀬戸内しまなみ海道」を活用した地域の飛躍発展に努力して参りたいと考えている。

「しまなみ」という名前が持つ「多島美」「歴史・文化の観光資源」等のイメージを浸透させるため、「しまなみ'99」で効果のあったイベントを継続実施していく。

今後は、高速交通基盤の連結が重要であると考え、未整備区間の早期整備を強く要望していく。

中国地建) 「瀬戸内しまなみ海道」開通により、ルートが全通し、民間の連携交流が活発に行なわれるなど様々な効果が出ている。沿線での各種イベントにより、観光客、交通量とも大幅に増加。観光面では今後、いかにリピーターを獲得するかが重要。

沿線地域の歴史・文化・風土を背景とした交流促進や、自転車や徒歩による橋横断など好評だったイベントの継続が検討されて良い。まだ、宿泊観光客数が少ないので、宿泊観光客を増やすのも課題である。

現在の問題としては、島内道路および中国地方の高速道路網の整備が挙げられる。

今後とも各関係機関の協力をお願いする。

関係道路整備について
道路公団) 中国・四国地方の道路整備に関する全体計画は、中国においては3本の東西軸と4本の南北軸での格子型ネットワーク、四国においては4県都を結ぶ8の字型ネットワークが挙げられる。

現況は、中国では2本の東西軸及び2本の南北軸が完成した。四国では、高松・高知・松山3県都を結ぶ高速道路ネットワークが完成した。

今後の計画としては、H11年度末までに四国4県都を結ぶX型のネットワークが完成し、現行の5計内には四国内の高速道路開通率は全国平均に近い6割になる予定。中国地域においても開通率6割を目標とする。これらの高速道路ネットワークにより、近畿・中国・四国の3地域の連携が一層強化され、地域交流の活性化に大きく寄与するといえる。

阪神公団) 当公団では、明石海峡大橋の関連事業として湾岸線等3路線を明石海峡大橋の開通に併せて供用。これにより現在、当公団の供用延長は、221.2kmとなり、1日あたり約95万台の利用がある。

神戸市地域では、明石海峡大橋と大阪・神戸方面とを結ぶルートが2路線あり、そのうちの一つ湾岸(垂水)線については休日約2万台を超える車が利用している。利用交通の内訳は約80%が明石海峡大橋を利用し、両路線の強い結びつきを示している。

また、もう一つの北神戸線は整備中であり、2つの東西軸を連携する南北軸である神戸山手線の整備とともに関連地域のネットワーク化を進めている。

さらに、明石海峡大橋の整備効果を十分に発揮させるため、かつ地域間交流を十分に発揮させるため湾岸線の未整備区間の整備を調整中である。これらの有料道路事業の展開に当たり、ETC技術等の新技術に積極的に取り組んでいきたいと考えている。

今後とも各機関の協力をお願いしたい。

来賓よりの意見
道路局長) 道路は結局、道具でしかないためその活用の仕方、使う側の施策が問題となる。我々の業務をいかにうまく連携していくかが鍵と言える。

交流人口の捉え方については、短期的な人の流れだけで捉えるのではなく、例えば大学に通う人や民間企業の人の行き来などの中長期的な交流人口の流れで捉える必要がある。

人・物・情報の流れの活発化を図る必要がある。例えば、京都では大学間で単位の共通化が行われていると聞いたことがある。その他に、医療・産業分野でも情報を共有化し人・物の流れにつなげ、道路を有効に使って頂ければ幸いである。

本四間は三橋により結ばれたが、未だに半島性の克服ができていない。今後、半島性の克服のために、島内道路の整備、高速道路ネットワークの相互連結が必要である。

三本の橋が架かっている優位性・先行性を生かし、ツールとしての橋の活用方法を、各機関で今後も研究して欲しい。

建設省でも、本日の意見を参考にし、さらなる圏域圏の議論を深めていきたいと考えている。

議事取りまとめ
議長) 今回の会議は、本四三橋時代を迎えた節目の時期に、各委員より本四三橋の利活用による交流促進に向けた取り組みの重要性などについて活発な議論を頂いた。今後も、相互に情報交換・協力をしながら、本四三橋を活用した広域交流圏の実現に向けて、努力する必要があることを確認したい。
6. 申し合わせ事項について
「第7回本州四国連絡道路関連調整会議 申し合わせ事項(案)」の提案がなされ、各委員は満場一致でこれを了承した。
7. 西日本広域交流圏創造宣言について
「西日本広域交流圏創造宣言(案)」の提案がなされ、各委員は満場一致でこれを了承した。
8. 次回議長の選出
本四架橋の建設あるいはその活用に対して、先駆的な取り組みを推進している岡山県が、議長により推薦された。各委員は、これを支持・了承し、岡山県もこれを受け入れたため、次回議長に岡山県知事が選出された。
9. 閉会(事務局)
以上


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