地震津波対策 津波について ─ 国土交通省 四国地方整備局 那賀川河川事務所
[ 津波発生と伝播のしくみ | 津波の危険性 | 津波と高潮の違い | 津波と波浪の違い ]
1. 津波発生と伝播のしくみ
1) 津波の発生
海底下で大きな地震が発生すると、海底が隆起もしくは沈降します。これに伴って海面が変動し、大きな波となって周囲に伝播するのが津波です。
2) 津波の伝わる速さ
津波は、海が深いほど速く伝わる性質があり、沖合いではジェット機に匹敵する速さで伝わります。逆に、水深が浅くなるほど速度が遅くなるため、津波が陸地に近づくにつれ後から来る波が前の津波に追いつき、波高が高くなります。
水深が浅いところでも、普通の人が走って逃げ切れるものではなく、津波から命を守るためには、津波が海岸にやってくるのを見てから避難を始めたのでは間に合いません。
3) 地形による津波の増幅
津波の高さは海岸付近の地形によって大きく変化します。岬の先端やV字型の湾の奥などの特殊な地形の場所では、波が集中するので、特に注意が必要です。津波は反射を繰り返すことで何回も押し寄せたり、複数の波が重なって著しく高い波となることもあります。このため、最初の波が一番大きいとは限らず、後で来襲する津波のほうが高くなることもあります。
気象庁ウェブサイトをもとに作成
内閣府が設定した浸水深別の死者率関数
南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ(第一次報告)
2. 津波の危険性
東日本大震災の被害実態などをもとに、内閣府が分析した浸水深に応じた死者率では津波に巻き込まれた場合、津波浸水深0.3m以上で死亡者が発生、津波浸水深1mでは死者率100%に達します。
また、家屋被害については、建築方法等によって異なりますが、木造家屋では浸水1m程度から部分破壊を起こし始め、2mで全面破壊に至り、浸水が50cm程度であっても船舶や木材などの漂流物の直撃によって被害が出る場合があるとされています。
津波の高さ | 想定される被害 |
---|---|
3mを超える | 木造家屋が全壊・流失し、人は津波による流れに巻き込まれます。 |
1mを超え3m以下 | 標高の低いところでは津波が襲い、浸水被害が発生します。人は津波による流れに巻き込まれます。 |
0.2m以上、1m以下 | 海の中では人は速い流れに巻き込まれ、また、養殖いかだが流失し小型船舶が転覆します。 |
気象庁ウェブサイトをもとに作成
3. 津波と高潮の違い
津波が地震による海底地形の変動などが原因で起こるのに対し、高潮は台風による気象変化(気圧低下による吸い上げ、風による吹き寄せ)によって発生します。
津波の発生
津波は、地震などによって海底が隆起または沈降し、これに伴って海面が変動、大きな波となって周囲に伝播します。
高潮の発生
① 気圧低下による吸い上げ
台風の中心気圧が低いため、その部分の空気が海面を吸い上げるように作用する結果、海面が上昇します。気圧が1hPa低くなると、海面は約1cm上昇します。
② 風による吹き寄せ
台風による強風が沖から海岸に向かって吹くと、海水が海岸に吹き寄せられ、海面が上昇します。また、台風の接近に伴い、大きな波も発生します。
4. 津波と波浪の違い
波浪は海域で吹く風によって生じる海面付近の現象で、波長は数メートル〜数百メートル程度です。一方津波は、地震などにより海底地形が変形することで周辺の広い範囲にある海水全体が短時間に持ち上がったり下がったりし、波が周囲に広がって行く現象です。
津波の波長は数キロから数百キロメートルと非常に長く、このため津波は勢いが衰えずに連続して押し寄せ、沿岸での津波の高さ以上の標高まで駆け上がります。また、津波が引く場合も強い力で長時間にわたり引き続けるため、破壊した家屋などの漂流物を一気に海中に引き込みます。