
例えばどうすれば、渋滞が減る・事故が減る・騒音や大気などの環境が改善される・空港や駅、高速道路のICへのアクセスが改善される・人や物の流れが良くなる・土砂崩れなどによる災害や通行止めを防止できるのかなどを検討します。
同時に、現在の車や人の移動がどうなっているのか、道ができたとすると交通量がどう変化するかについても調査し、地域の開発計画とも整合をとりながら、どんな道をつくるかを決定していきます。
計画の上でOKが出ても、スグに実施という訳にはいきません。道ができることで周辺の騒音はどうなるのか、排気ガスはどれくらい出るのかなど、周辺の環境に与える影響を調査(注1)するのです。特に都市の中では今の状況をよくみて、将来のまちのあり方などを考えながら生活面や経済面でも整合のとれた計画としていきます。都市計画決定に先立ち都市計画の地元説明を実施します。
(注1)この調査を環境アセスメントといいます。
ここまでの準備ができたら、周囲に住む人たちに説明を行います。
「その道がなぜ必要なのか」「どのような工事を行うのか」「工事の期間はどれくらいか」それから「この道が完成することでどのような影響があるのか」などを説明し、地域の人に理解してもらえるように話し合いをもちます。
ここからはいよいよ実作業のスタート。道の詳しい設計図を作るために必要な現地での地質調査や測量を始めます。
道の設計図を作ります。
地質調査や測量から得られたデータをもとに、道の詳しい設計図を作っていきます。
道の設計図をもとに、道路に関係する住民と、排水の問題、その道につながる道のことや周りにある水路などについて図面や現地で調整し、最終の設計図を作成します。設計協議を終えると、実際に道路用地がどこまでになるかを現地で確認するために、土地に杭(幅杭)を打ち込みます。この幅杭にもとづいて道路用地を調査して、どこからどこまでが誰の土地なのかを確認し、さらに道路に必要な土地の面積を調べる測量を行ってから、用地交渉にはいっていきます。
新しく道を作る時、その土地は誰かの持ち物であったり、土地の上に建物がある場合も多いのですが、その場合は土地を譲ってもらう必要があります。その交渉はとても大切な仕事です。土地を提供して、別の場所へ引っ越すことになった人には、話し合いを重ねて理解を得ています。
ここまでの手順を経て、ようやく工事に取りかかります。工事着手に先立ち工事説明を行うとともに、工事の途中で、周辺住民の方に「工事は今どのような段階にあるのか」を理解してもらうため、工事見学会なども定期的に行っています。
長い年月をかけて、ようやく道が完成します。道を完成させるためには、たくさんの時間と費用がかかります。そこで、暫定的な形で、まず道路をつないで利用してもらい、交通状況に応じて完成させるケースが多いのです。例えば、4車線道路を暫定的に2車線で供用する場合などがあります。
道が完成したら、それがいつも良好な状態であるように定期的にチェックし、安全に走行や利用ができるよう見守っていきます。
道をつくる為には、調査と準備にもたくさんの時間がかかります!
このように一本の道が完成するためには様々な手順をひとつずつクリアしていくことが必要になってきます。たくさんの労力を費やして、利用しやすい安全な道をつくることができるのです。
道の形(線形) |
道の通し方 |
道の構造 |
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山間部などは細い道がくねくねと続いており、事故を起こしたり時間がかかったりします。 私たちはできるだけ真っ直ぐな道がになるよう計画し、また、住宅地ではスピードを出さないように、わざと蛇行した道にする事も。 |
人や物の多い駅や高速道路のIC、空港や港を道で結べば、交通手段を変更してもよりスムーズな移動ができます。また、山間部はトンネルを用いれば近道になります。あえて中心市街地を迂回する道路をつくれば、市街地を通過する交通と、市街地に用事のある交通を整理できたりもします。 | 道には幅の広い道、街灯がある道高架の道、石畳の道などいろいろあります。人が歩く道なのか、車が高速で通る道なのかなど、目的に合った道づくりが今後は大切だと考えます。交通量が多いところには騒音を押さえる低騒音舗装を行ったり、高架による立体交差で交差点の事故や混雑を緩和したりします。 |