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四国河川ニュース

2/24(土)〜3/9(金)》 723

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                                                                      2018.3.12発行】

                                                                                        

○四国・水こぼれ話談話室Vol.345

                                            

○効果の見える治水事業  高知県 能津谷川通常砂防事業  高知県中央西土木事務所長 野並 伸介

 ○「人と人、人と自然が輝き合う村づくり」 日高村長 戸梶 眞幸

                                           

                                            

○今週のニュース

○洪水発生時の事前準備は大丈夫ですか?

  〜「マイ・タイムライン」から学ぶ“自分の逃げ方”〜 吉野川流域講座を開催 (吉野川水系 徳島河川国道事務所)

○海外の技術者・研究者が日本の代表的な水防工法等を学びました (吉野川水系 徳島河川国道事務所)

○「平成29年度 第2回四国地方整備局水文観測品質管理検討会」を開催 (河川部 水災害予報センター)

○「平成29年度四国地方ダム等管理フォローアップ委員会」を開催 (河川部 河川管理課)

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.345

 

1.効果の見える治水事業  高知県 能津谷川通常砂防事業  高知県中央西土木事務所長 野並 伸介

 

〈地域の概要〉

 能津谷川は、流域面積0.15km2で一級河川仁淀川へ流入する渓流です。流域内は渓床勾配が急峻で荒廃が進み土石流発生の危険性が高く、下流には村営団地を含む保全人家10戸、県道、村道、避難所に指定されている小学校、集会所等があり、砂防事業により保全対象の安全を確保しました。

 

  事業期間:平成19年度〜平成28年度

  事業費:約5.1億円

  堤 高:112.0m210.0m311.0m

  堰堤長:166.2m247.7m352.0m

  天端幅:3.0m

  堰堤形式:12号不透過型(コンクリート)、 3号透過型(コンクリート)

 

〈防災学習から地域への広がり〉

  砂防事業と並行し、保全対象である能津小学校での土砂災害防災学習にも取り組んでいます。

 工事受注業者もその意義に賛同していただき、工事中の見学会や小学校への砂防堰堤を模したオブジェの寄贈設置など、自主的な協力がありました。

平成2912月には、地域の「能津ふれあいまつり」にて、小学生が土砂災害の学習結果を保護者・地域住民に発表し、避難の必要性を報告するなど、子どもたちから防災意識の広がりに発展しています。

 

 

2.「人と人、人と自然が輝き合う村づくり」 日高村長 戸梶 眞幸

 

 日高村は、高知県のほぼ中央部で、高知市より西に16km、車でもJRでも約30分の距離に位置する「高知市から意外と近い村」です。村の北部から東部にかけては、水質日本一を誇る奇跡の清流「仁淀川」が流れ、その神秘的な美しさから「仁淀ブルー」という言葉も生まれました。村の中央部にJR土讃線と国道33号が走り、沿線には宅地や農耕地が広がる総面積44.88km2、人口約5千人の美しい自然、歴史、話題の食べ物など魅力いっぱいの村です。

 村の自慢は、山に囲まれた昼夜の寒暖差が大きい気候を活かして栽培される高糖度トマト「シュガートマト」で、ブランドトマトとして全国トップの評価を得るなど大変人気があります。国道33号沿線では、シュガートマトを使ったオムライスが食べられる11のレストランによる「日高村オムライス街道」が平成26年4月からスタートしました。また、トマトをはじめとする、村の特産品を販売する直販所「村の駅ひだか」をリニューアルオープンさせ、農業の活性化、雇用の創出、交流人口の拡大に取り組んでいます。平成29年には、この取り組みが地域の農林水産物を生かした活性化事業を表彰する、農林水産省の「ディスカバーむらの宝」に選定されました。

 日高村は年平均降水量が約3,000mmと、全国でも屈指の多雨地域です。平地部の地盤が低いため、台風などの集中豪雨で仁淀川本川の水位が高くなると、支川の日下川の排水が困難となり、たびたび大きな浸水被害を受けてきました。また、地質が脆弱で山崩れ・土石流が発生しやすく、昭和50年8月の台風5号による集中豪雨では、平野部のほぼ全域が水没、山間部では多数の山崩れが発生し、土砂災害による死者25名、家屋全半壊141戸、床上浸水659戸、床下浸水121戸の未曾有の大災害となりました。これを契機に、国土交通省による日下川放水路整備、高知県による調整池整備などの抜本的な治水対策、砂防事業が進められました。

 このたび本村地区において、高知県による砂防事業が完成しました。小学校や村営団地などの施設をはじめとし、地域の安全性が高まることにより、今後、地域住民のより安心で豊かな生活が営まれるものと期待しています。

 現在、村では平成26年8月の台風12号、11号による床上浸水127戸他の浸水被害を受け、床上浸水対策特別緊急事業(日下川)により延長5.3kmの日下川新規放水路の整備等を国土交通省、県、村が一体となり平成32年度の完成を目標に進めています。今後とも日高村は安全で安心な村づくりと、それを基盤とした村の魅力の発展に努めてまいりますので、引き続きのご支援ご協力をお願いします。

 

 

今週のニュース

    

1.洪水発生時の事前準備は大丈夫ですか?

 〜「マイ・タイムライン」から学ぶ“自分の逃げ方”〜 吉野川流域講座を開催 (吉野川水系 徳島河川国道事務所)

 

○洪水により自宅、職場や学校が浸水した経験はありますか?

堤防があるから。いざとなったら誰かが助けてくれる。・・・と思っている皆さん。事前準備は大丈夫と言いきれますか?

○最近ではゲリラ豪雨も多く、いつ自分の身に降りかかるのか分かりません。そのような事態に備え、河川の水位が上昇する時に、自分自身がとる防災行動を時系列的に整理し、とりまとめる“マイ・タイムライン”を作成することが効果的となります。

○2月28日(水)に貞光中学校の2年生42名の生徒に“マイ・タイムライン”の作成リーダーとなってもらうため、洪水の恐ろしさ、避難の重要性の理解や川の氾濫から避難完了までの時間毎の準備について、行動を考えてもらいました。

○生徒の皆さんが熱心に取り組んで頂いた事で「逃げ遅れゼロ」となる“マイ・タイムライン”ができあがったと思います。

○今回、勉強してもらった貞光中学校の生徒たちが、家族や地域の方と一緒に考えてもらい、皆さんが“洪水から身を守るための事前準備は大丈夫”と言ってくれる世の中となる事を期待しています。

 

 

2.海外の技術者・研究者が日本の代表的な水防工法等を学びました (吉野川水系 徳島河川国道事務所)

 

○3月1日(木)、(独)国際協力機構(JICA)が実施する、世界各国の行政機関担当者を対象とした防災に関わる研修が、石井河川防災ステーションで実施され、アジアや南アメリカなど10ヶ国の防災業務に携わる技術者・研究者14名が参加しました。

○徳島河川国道事務所では、平成27年度からJICAより研修を受託している(国研)土木研究所に協力して、研修の支援を実施しています。

○今回は、水害等における対策のひとつとして実施する水防工法の基礎的な知識や防災に役立つロープワーク等について、水防専門家であり、四国地方整備局と協定を結んでいる防災エキスパートでもある山本邦一氏を講師に、「水防工法の基礎(座学)」「水防工法の事例見学」「ロープワーク講習(実技)」を行いました。

○水防工法の基礎では、日本の代表的な河川である吉野川における出水時の水防対応について、代表的な工法として、深掘れ(洗掘)対策としての「木流し工」「シート張り工」、漏水対策としての「月の輪工」「釜段工」、越水対策としての「積み土のう工」「改良積み土のう工」等の講義を行いました。また、事例として水防工法の実物をみてもらい、水防工法がどういうものかをひとつひとつ説明し、より理解を深めてもらいました。

○ロープワーク講習では、山本講師の指導のもと、「迅速」「簡単」「確実」の3原則を基本とした結び方で、防災時に適用される「本結び」、「舟結び」、「かみくくし」、「もやい結び」の実技体験をしてもらいました。

○この取り組みで、日本の水防技術や河川改修が世界各国の防災対策に役立つきっかけとなればと思っています。今後もこのような機会があれば、協力していきたいと考えています。

 

 

3.「平成29年度 第2回四国地方整備局水文観測品質管理検討会」を開催 (河川部 水災害予報センター)

 

○3月2日(金)に高松サンポート合同庁舎において、全9名の委員(委員長:中岡河川情報管理官)にお集まり頂き、「平成29年度 第2回四国地方整備局水文観測品質管理検討会」を開催しました。

○本検討会は、水文観測の品質確保を図るため、四国地方整備局管内において実施した雨量、水位、流量観測データ及び水位流量曲線の照査を行うことを目的に毎年開催しているもので、今回は平成29年7〜12月までの雨量、水位データを対象に審議いただきました。

○検討会では、事務局から対象となるデータ等の妥当性について説明を行った後、委員の皆様からご意見をいただきましたが、特に問題となるような事案は確認されず、全ての対象データ等についてご承認いただきました。

○その後は、今年度各事務所に実施した「水文観測精度向上に向けたアンケート」を基に、各事務所が抱えている課題や改善策、今後の水文観測精度向上について説明し、各委員より貴重なご意見やアドバイスをいただきました。なお、個別の課題等は、今後とも本検討会において議論していく予定です。

○本検討会の結果をもってデータの確定作業に入り、水文水質データベース等に反映、公開するとともに、今後とも水文観測データ等の品質確保に努めてまいります。

 

 

4.「平成29年度四国地方ダム等管理フォローアップ委員会」を開催 (河川部 河川管理課)

 

○3月6日(火)に、平成29年度四国地方ダム等管理フォローアップ委員会を四国地方整備局で開催しました。

○「ダム等の管理に係るフォローアップ制度」とは、ダム・堰について、ダム等管理フォローアップ委員会において意見を伺い、洪水調節実績や環境への影響等の調査結果の分析と評価を客観的・科学的に行い、当該ダム等の適切な管理に資するとともに、ダム等の管理の効率性及び、その実施過程の透明性の一層の向上を図ることを目的としています。

○平成29年度の審議対象ダムは、大渡ダム(国土交通省管理)及び池田ダム(水資源機構管理)です。これらのダムが審議対象となるのは、平成24年度以来3回目となります。また、平成31年度の完成を目指している渡川水系中筋川の横瀬川ダムが次年度より試験湛水を開始する予定であり、適切に管理に移行するため、同委員会においてモニタリング委員会を設置・開催し、その結果を報告しました。

○今回の委員会の現地検討会や中間報告的な委員会である『個別課題検討会』(ダム管理、水質、生物)を開催しており、『個別課題検討会』で頂いた指摘事項やご意見、助言を反映させた『定期報告書(案)』についてご審議頂きました。

○委員会では、各委員より活発な討議やご意見を頂き、両ダムとも「ダム管理等に関して、適切に分析・評価がなされており、今後の方向性についても具体的であり妥当である。」との評価が得られました。

○本委員会での議事概要及び各ダムの『定期報告書』(概要版)は、以下のホームページに、委員会での指摘事項等の修正作業後に掲載しますので、しばらくお待ち下さい。

 

   http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/damu/iinkai.html

 

 

 

 「四国河川ニュース」に関するご意見、ご要望や四国の河川についての資料の要求、また河川に関するニュースなどがありましたら、以下までご連絡をお願いいたします。

 

 

 ■連絡先■  四国地方整備局 河川部  水災害予報センター 水災害対策専門官  片井 良英

          760-8554 高松市サンポート3番33号

          TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3852(片井)mailto:skr-rivers-news@mlit.go.jp

          FAX 087-811-8417(河川計画課)

       四国地方整備局 ホームページURL(河川)

          http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/index.html

         四国地方整備局 ホームページURL(四国河川ニュース)

               http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/news/news.html

 

 

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「四国の川を考える会」ホームページURL

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  http://www.shikoku-river.net/

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