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四国河川ニュース

5/7(土)〜 5/20(金)》681

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2016.5.23発行】

 

 

○四国・水こぼれ話談話室Vol.315

○地域の安全・安心の実現へ  〜徳島県 宍喰川 総合流域防災事業〜  徳島県南部総合県民局県土整備部 副部長 花田 務

○地域の安全・安心の実現へ  海陽町長 前 田  惠 

 

 

○今週のニュース

○那賀川の洪水から地域を守る 〜深瀬堤防竣工〜(那賀川水系 那賀川河川事務所) 

○那賀川源流碑開きで、洪水・渇水の無い年を祈念(那賀川水系 那賀川河川事務所)

○公募伐採を活用した吉野川の樹木管理について(吉野川水系 徳島河川国道事務所) 

○平成28年度 肱川水防工法訓練の開催(肱川水系 大洲河川国道事務所)

 

 

四国・水こぼれ話談話室Vol.315

 

1.地域の安全・安心の実現へ

 徳島県 宍喰川 総合流域防災事業  徳島県南部総合県民局県土整備部 副部長 花田 務

 

○宍喰川は、その源を海部郡海陽町中谷の山中に発し、流域をほぼ二分する支川の広岡川、坂瀬川を合わせ、平野部を貫流し太平洋に注ぐ、幹川流路延長13.6kmの二級河川であります。

○流域は、上流部が標高400900mの峰々からなる山地、中流部はかつて海岸線であった谷底平野、下流部は三角州性低地からなっており、夏に雨が多く、冬に雨が少ない太平洋側気候に分類され、年平均降水量は約3,160mmであり、県内で最も降水量が多い地域に属しています。

○宍喰川では、河口から約3.6km区間の改修を昭和37年度から進めており、平成22年度末までに河口から約3kmが概成していますが、現在、河口から約3kmの位置にある固定堰の「馳馬堰(はせばせき)」と、その上流の流下断面不足が治水上の問題点として残っており、平成16年の台風10号による豪雨では、堰上流において溢水による浸水被害が発生しており、これは堰によるせき上げが大きな原因と考えられます。

○平成21年度からは馳馬堰の撤去に向けた代替施設の工事に着手し、平成25年度から堰上流の護岸工事を進めていましたが、平成268月の台風12号の豪雨により、流域で203戸におよぶ家屋の浸水被害が発生しました。

○このため、平成268月の台風12号と同規模の出水に対し、再度災害を防止するため、国の災害対策等緊急事業推進費を活用して、平成27年の出水期までに河道拡幅及び護岸工を行うとともに、総合流域防災事業により堰の一部撤去を行い、流下能力を向上させました。

○この結果、平成27924日の大雨では、宍喰川において「はん濫危険水位」を超過する出水となりましたが、流域での浸水被害は発生しませんでした。

○今後とも、引き続き、関係機関や地元住民と協力し、残る馳馬堰の撤去に向けた整備を推進し、浸水被害の解消を図って参りたいと考えております。。

 

2.地域の安全・安心の実現へ  海陽町長 前 田  惠 

 

○海陽町は徳島県の最南端に位置し、南東の海岸線は太平洋を臨み、北は那賀郡、東は海部郡牟岐町に、西は高知県と隣接しており、北部・西部にあたる山地は1,000メートルにおよぶ緑豊かな山々がそびえています。これらの山々を水源として、地域の中央には北から南に海部川が、南部では西から東に宍喰川が太平洋に流れ込み、青く美しい海岸は数々の岬や入り江を有する美しいリアス式海岸となっており、室戸阿南海岸国定公園に指定されています。

○また、徳島県が全国一位のシェアを持ち、本町からその75パーセントが出荷されている特産の地鶏「阿波尾鶏」、促成栽培キュウリの他、様々な産業が育っています。さらに、本町出身のプロサーファーが度々全国グランドチャンピオンとなっている「サーフィン」に多くの若者が訪れ、町内に点在する全国的に有名なサーフポイントを楽しんでいます。

○一方で、近年の気候変動による台風の大型化や短時間に記録的な降雨があるゲリラ豪雨が各地で発生し、被害をもたらしています。近年では、平成26年の台風12号により、海陽町全域に避難勧告を発令する事態となり、宍喰川流域で203戸の家屋が浸水するなど、海陽町はじまって以来の水害となりました。

○そこで県に対し、自然災害による被害軽減のため、河川改修等による浸水対策の促進を要望したところ、宍喰川においては、国の事業を活用して緊急的に河道掘削及び護岸の工事を実施するなど、浸水対策を進めていただきました。

○平成27924日の大雨の際には、宍喰川が「はん濫危険水位」に到達し、浸水被害が懸念されたことから、国と県に対し排水ポンプ車の出動要請を行う事態となりましたが、幸いにも排水ポンプ車を稼働させる状況には至りませんでした。これは、宍喰川の浸水対策を促進していただいた結果と考えており、町民は大きな安心感を得ています。

○今後とも、県や地元住民と協力し、地域の防災力を向上させる様々な施策を推進して参りたいと考えております。

                         

今週のニュース

    

1.那賀川の洪水から地域を守る 〜深瀬堤防竣工〜(那賀川水系 那賀川河川事務所) 

 

○深瀬地区は、那賀川の河口から約16kmの地点に位置し、約9.5haの狭隘地区に約180戸の集落がある山間の農村地域です。

○当該地区は無堤であったため、過去より洪水による浸水被害が頻発するとともに、地区内の唯一の道路である県道阿南鷲敷日和佐線が冠水し、交通障害及び家屋が孤立する事態が生じました。このような状況下で、深瀬地区の治水安全度の向上及び生活道路の機能性向上を目的に平成19年度から堤防整備と道路整備の合併事業に着手し約10年、地域の願いが形となって、平成28年3月に完成を迎えました。

○平成28年5月1日(日)晴れ 完成した深瀬堤防の高水敷において竣工式典が、徳島県、阿南市、那賀川河川事務所の主催で開催されました。式典には、用地提供にご協力を頂いた地域の方々をはじめとする地元関係者、国会議員、県知事、阿南市長、関係機関など約160名に参加頂きました。

○はじめに、竣工式直前に熊本県を襲った地震被害で犠牲になられた方々へ黙祷の後、石橋局長の式辞、県知事、市長及び国土交通本省治水課長の挨拶、野本事務所長より深瀬堤防事業の工事概要説明を行いました。

○その後、徳島県、阿南市主催のテープカット、地元主催の餅配りのセレモニーが行われ、地元の方々を中心に約300名が参加し、完成を祝いました。

○那賀川河川事務所は、深瀬堤防の完成に続き、平成26年8月台風11号により甚大な浸水被害が発生した加茂地区について、「床上浸水対策特別緊急事業」により、平成31年度の完成を目指して堤防整備を行いつつ、長安口ダム改造事業と相まって治水安全度を向上させます。また、漏水対策など堤防の補強対策や南海トラフ地震に備えた地震・津波対策を計画的かつ迅速に対応するとともに、大規模洪水等に備え、危機管理体制の充実を図るなど、安全で安心できる那賀川水系の未来が拓ける川づくりを進めていきます。

 

 

2.那賀川源流碑開きで、洪水・渇水の無い年を祈念(那賀川水系 那賀川河川事務所) 

 

○一級河川那賀川は、その源を徳島県那賀郡の剣山山系ジロウギュウ(標高1,929m)に発している幹川流路延長125kmの河川で、日雨量の日本記録1,317mmを流域の海川観測所で記録しており、近年では、基準地点で戦後最大流量を一昨年の平成26年に、昨年の27年に第三位の流量を観測するなど、洪水に悩まされています。

○この那賀川において、那賀川アフターフォーラムの主催により、源流碑開きが58日(日)に開催されました。神事では、源流において山と川の神に今年一年、洪水や渇水が無く流域の無災害と安全の祈願を、那賀町の峯田副町長をはじめ100名ほどの参加により行いました。

○この源流碑開きにおいては、流域の小中学校の交流会も開催し、那賀川下流流域の阿南市中野島小学校、上流の那賀町の北川、木頭、相生、鷲敷の4小学校と木頭中学校から27人が参加して、手製のイラストによる地元民話の紹介、校歌紹介等を行いました。また、源流の清掃、那賀川事務所による水質の簡易調査も行い、家庭での汚濁源の排出抑制に関するお願いも行わせていただきました。

 

 

3.「公募伐採を活用した吉野川の樹木管理について」(吉野川水系 徳島河川国道事務所)

 

○吉野川では、河道内にヤナギ等の樹木が繁茂していますが、特に直轄管理区間である岩津から第十堰の区間では、河道内に樹木が繁茂することにより、洪水時における流下阻害の要因となるほか、砂州上の樹木群が澪筋の固定化を招き、局所洗掘を助長することが懸念されるなど、治水面で様々な問題を引き起こしています。

○当事務所では、河道における維持管理対策の一環として樹木伐採を実施しておりますが、維持管理費については予算上の制約があることから、対応に苦慮しているような状況です。そこで、維持管理費の縮減と地域社会との連携した維持管理の取組みを推進することを目的として、公募伐採による樹木管理の取組みを平成22年度より試行的に実施しており、平成27年度は4地区を対象として公募しました。

○公募伐採とは、河川管理者が樹木伐採箇所を指定し、公募で決定した一般の方々に樹木伐採と伐採木の持ち帰りをして頂くことにより、河道の維持管理を地域の皆様と一緒に行うものです。なお、樹木伐採箇所の選定に当たっては、河川環境情報図等により貴重種の生息・生育情報を事前に把握するとともに、貴重な植物が生育していないかどうか確認するために、専門家と一緒に現地調査を行いました。

○平成27年度は6名の申込みがあり、平成28年5月末までには伐採作業が完了する予定です。今回、公募された皆様は、主に薪ストーブに使用するために申し込みをされておりますが、伐採木を薪として使用する場合は1年程度乾燥させる必要があることから、先々のことを考えながら薪の確保の為に行動されているようです。

○堤防の決壊や河川のはん濫等による水害を防止又は軽減していくためには、適切に河川の維持管理を行う必要があることから、今後も環境面に十分配慮しながら、吉野川における重要な課題である樹木管理対策について、地域の皆様のご協力も頂きながら取り組んでいきたいと思います。

 

 

 

4.平成28年度 肱川水防工法訓練を実施(肱川水系 大洲河川国道事務所) 

 

○平成28年5月15日()大洲市若宮の肱川防災ステーションにおいて国、県、大洲市、大洲地区広域消防事務組合、大洲市消防団(24分団)、大洲市自主防災組織(16地区)の総勢約200名が参加し、水防工法訓練を実施しました。

○この訓練は、5月の水防月間にあわせて毎年実施しているもので、平成13年に防災ステーションで合同訓練を行うようになってから、今回で16年目になります。                    

○訓練は、大洲河川国道事務所長と大洲市消防団長の挨拶の後、工法訓練を開始しました。       

○訓練では、消防事務組合、消防団、自主防災組織と行政機関に分かれ、約1時間半にわたり改良積み土嚢工や月の輪工など水防工法の実践、また水防工法の基本となるロープワークの習得、土のうの作り方などを4名の防災エキスパートの指導を受けながら実施しました。                

○水防工法訓練は、近年の災害発生傾向からも水防活動が重要になっており、水害被害の軽減や未然防止のための対策を事前に関係機関や地域住民と合同で行うことで、本番の水防活動に万全の体制で臨むことを目的としています。                                                                                 

 

 

 

 

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