*******************************************************
四国河川ニュース
《10/3(土)〜 10/16(金)》667号
********************************************************
【2015.10.19発行】
○四国・水こぼれ話談話室Vol.302
○〜自然とともに輝き豊かで健康な活力のある未来を創造するまちづくり〜 高知県 仁淀川町長 大
石 弘 秋
○「効果の見える治水事業」 高知県 寺村地すべり対策事業 中央西土木事務所 越知事務所長 長
野 哲 司
○今週のニュース
○「直轄高知海岸整備事業における暴力団等反社会的勢力からの不当要求行為等対策連絡会 設立総会」を開催 (高知海岸 高知河川国道事務所)
○「石手川ダム水質検討委員会」を開催 (重信川水系 松山河川国道事務所)
四国・水こぼれ話談話室Vol.302
1.〜自然とともに輝き豊かで健康な活力のある未来を創造するまちづくり〜 高知県 仁淀川町長 大 石 弘 秋
○仁淀川町は、高知県の北西部に位置し、高知市からは約45km、車で約1時間10分の距離にある町で、平成17年8月1日、高知県の吾川村・池川町・仁淀村の3町村が合併して誕生した、東西に16km、南北に29km、総面積332.96km2の広がりを持ち、県全体の4.69%を占める新町です。また、北に四国山地、東西に仁淀川が横断することから美しい自然に恵まれたところです。また町名の由来となる仁淀川は、愛媛県の久万高原町に源を発し、長者川、土居川などの数多くの支流を集めながら本町を貫流し太平洋へと注ぎ込んでいます。
○地形的に標高約100m〜1,800mと標高差が大きく、平均気温は山岳部が15℃前後で、冬季には積雪もみられるところがあります。また、梅雨時の雨が多いこと、夏から秋にかけて台風の影響によるまとまった雨が多いことなどから、年間雨量は多いところで、2,500mmに達するなど、比較的温暖多雨な地域です。こうした山間地であることから土地利用においては、農用地が2.7%、宅地が0.4%、道路が0.5%、山林が89.3%等で、川沿いまたは山麓の限られた可住地に集落が点在しています。このため、その立地条件を活かして農林業をはじめとする里山産業が古くから主体となっています。特に製茶業は県下でも有数の生産高を誇り、茶どころの地域として知られています。
○中でも、寺村地区は古くは下大崎と言われていましたが、武田信玄の孫といわれている武田正晴(後に寺村姓を名乗る)の墓所がある流光山成福寺にちなみ「寺村」と呼ばれるようになったと言われています。その後、明治期旧大崎村の中で最も人口の多い集落として、地域の中心となる地区でありました。また、平安時代から続き幕末の志士も脱藩した土佐と伊予を結ぶ官道は、当地域を迂回し北にそびえる黒森山を越えていましたが、戦後国道33号の改良工事により当地区の中心を道路が抜けたことで、高知と愛媛を結ぶ交通の要衝として重要な地区となっています。
(防災まちづくりの推進)
○町民が生活していく上での根本は、第一に安全です。安全が確保されていなければ、地域に根ざした暮らしの実現は困難です。この地域はこれまでに幾度となく土砂災害をはじめとする災害を受けた地域で、特に昭和50年8月の台風5号では日雨量600mmを越えるような豪雨により、町内に甚大な被害が発生しました。また近い将来予測される南海地震への備えなど、防災対策の重要性は強く認識されています。そこで仁淀川町では、安全の確保を第一として、風水害、土砂災害、地震等の自然災害や火災から住民の生命と財産を守り、安全に暮らしていくための対策として消防防災施設等の整備充実、ヘリポートの整備などの救急・救命体制の整備、地すべり対策などの防災事業の推進、消防組織の充実強化のため消防団員の確保に努めるとともに、地域コミュニティを核とした自主防災組織づくり及びそのネットワークの確立を図っています。今後とも、地域が主体となった地域防災計画づくりを進めるなど地域ぐるみの防災体制の確立に努め、災害に強いまちづくりを推進してまいります。
2.「効果の見える治水事業」 高知県 寺村地すべり対策事業 中央西土木事務所 越知事務所長 長 野 哲 司
○寺村地すべりは、仁淀川町役場から東方約2.4kmに位置する東向き斜面で、防止区域は、昭和48年2月28日に、仁淀川の左岸を脚部とし背後の稜線を頭部とする約10.2haが指定されました。この区域内には、寺村地区の主要町道や簡易郵便局がある他、27戸の人家が集まっています。
○寺村地すべりの素因となる地形・地質構造としまして、脚部を流れる仁淀川が、指定地末端を削る形で僅かに蛇行しながら北向きに流れており、指定区域を平面的に見ると、仁淀川の攻撃斜面となる部分では、斜面が凹型の集水地形を、その上下流においては、凸型の尾根型散水地形を呈している特徴があります。
○また、寺村地区の基盤岩は、周辺の地層とは断層で境界づけられ、泥岩優勢の砂岩泥岩互層が主体とする地質でE-W〜N50°E 30°〜40°Nの受け盤構造をしています。この層は、秩父帯北帯に分布するジュラ系下部〜中部統中津山層上部層に属していると考えられ、構造地質学的には仁淀川層の上位に乗る不連続な根無し岩塊(クリッペ)とされています。この基盤岩を覆う表土層は、旧期の地すべりブロックと予測される南半部で15m程の厚さを持つのに対して、北半部では露岩地が多く1〜5m程度の厚さで分布しています。
○活動の誘因としては、降雨に対し鋭敏に反応することから降雨による間隙水圧の上昇と考えられます。
○当該地区の地すべりについては、前述の表土層の移動によって生じた崩積土地すべりと推察されます。
○こうした特徴を持つ当該地区の地すべり対策は、昭和47年度より事業に着手し、特に昭和50年8月の台風5号後、集落を含めた斜面下方域で地すべり活動が活発になったことから、昭和52年度までの期間、主に横ボーリング工や水路工といった抑制工を主体とする対策を実施した結果、地すべり現象も落ち着いたこともあり事業を休止していました。しかし、平成16年夏の集中豪雨を受けて、集落背後の上部斜面で地すべり兆候と見られる変状や崩壊現象が生じて、「再活動」の様相を呈すようになってきたことから、平成18年度より事業を再開し、主にアンカー工等の抑止工による対策を実施しました。こうした事業の進捗に伴って、近年の観測結果では年間移動量が10mm程度と沈静化してきたことから、平成26年度を以て事業を概成しました。
○近年は南海トラフを震源とする巨大地震や地球温暖化に伴い巨大災害が発生する可能性が年々増しています。こうした増大するリスクから県民の生命を守るため、今後はハード対策の推進はもとより、管内自治体と連携を取りながら、リスク回避のため土砂災害防止法をはじめとする「正当にこわがる」ソフト対策にもしっかりと取り組んで参りたいと考えています。
今週のニュース
1.「直轄高知海岸整備事業における暴力団等反社会的勢力からの不当要求行為等対策連絡会 設立総会」を開催 (高知海岸 高知河川国道事務所)
○平成27年9月15 日(火)、高知市立自由民権記念館 民権ホールにおきまして、「直轄高知海岸整備事業における暴力団等反社会的勢力からの不当要求行為等対策連絡会 設立総会」を開催しました。
○直轄高知海岸整備事業における工事において、暴力団等の反社会的勢力からの不当要求行為等を防止するため、工事発注者(国)・下請を含む受注者(43社)及び高知県警等の緊密な連携と組織的な対処を目的とした対策連絡会の設立総会を開催し、関係者約100人が出席のもと、不当要求行為対策連絡会として発足しました。
○連絡会の立ち上げにあたり設立主旨や会則(案)の承認及び会長選出を行い、「須工ときわ(株)」の國藤浩史社長を会長として選出。
会長から「県警や行政機関と受注者が緊密な連携を取っていかねばならない」との呼び掛けの後、会員一同による決意表明が行われ、「関係する行政機関及び工事関係者等との緊密な連携」の重要性と、今後しっかりとした対応を行うことを確認しました。
○連絡会では、平成27年10月14日に、顧問の方々(高知県警本部、高知南警察署、暴追高知県民センター及び民暴委員会弁護士、高知南地区暴力追放運動推進協議会)に参加頂き、長浜工区の分科会を開催し、不当要求行為等に対する注意喚起や緊急時の連絡など具体的な対応について協議するなど取り組みを行っています。
2.「石手川ダム水質検討委員会」を開催 (重信川水系 松山河川国道事務所)
○石手川ダムでは、ダム湖水においてアオコ及びカビ臭原因物質を発生させている藍藻類の発生原因及びダム湖水質保全対策について検討を行うことを目的に「石手川ダム水質検討委員会」を設置致しました。
○第1回の開催を平成27年10月13日に実施し、委員には専門家として、愛媛大学・土木研究所・水源地環境センターから、また行政関係者として、松山市公営企業局・松山河川国道事務所長に就任頂きました。
○第1回委員会においては、これまでの状況報告及びメカニズムの仮説を提示し、今後の調査方針について審議頂きました。
○第2回の開催は、平成27年度末に実施する予定です。
○今後とも引き続き、石手川ダム湖及び下流浄水の健全を保つべく、検討を進めて行きたいと考えております。
「四国河川ニュース」に関するご意見、ご要望や四国の河川についての資料の要求、また河川に関するニュースなどがありましたら、以下までご連絡をお願いいたします。
■連絡先■ 四国地方整備局 河川部 河川管理課 洪水予測専門官 岡林 福好
〒760-8554 高松市サンポート3番33号
TEL 087-851-8061(代)マイクロ88-3522(岡林)mailto:skr-rivers-news@mlit.go.jp
FAX 087-811-8417(河川計画課)
|
四国地方整備局 ホームページURL(河川)
http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/index.html
四国地方整備局 ホームページURL(四国河川ニュース)
http://www.skr.mlit.go.jp/kasen/topics/news/news.html