1. 感性工学とは
 人間の持つ感性(イメージ)をものづくりに取り入れる方法です。
「△△のようなモノを作りたい」「○○のようなモノが欲しい」という思いを実現し、
実際の製品に活かす技術、手法のことを感性工学と呼びます。

2. 感性ワード
 人がモノを見た時に感じる感情を「感性」と呼びます。感性工学では、“明るい”とか“上品な”といった人の感性表現に最も近い言葉を通 して、間接的に感性を測定します。これを“感性ワード”といいます。感性ワードは「大きな」「穏やかな」など形容詞で表すことが多いため、“イメージ形容詞”と呼ばれることもあります。
 
 

3. 感性アンケート
 人の感性はもともとあいまいで漠然としたものであり、直接それを測ることはできません。したがって、別 の表現方法により間接的に測定する方法をとります。その1つとして、SD法による感性アンケートがあります。

4. SD法・SDプロフィール
 感性アンケートは、SD法を用いて行います。SDのSはセマンティック(semantic)つまり「意味」、Dはディファレンシャル(differential)つまり「微分」であり、SD法は意味微分法とも呼ばれています。SD法では、感性ワードの言葉で感性を測定するので、「明るい−暗い」とか「上品な−下品な」など、相対する意味の言葉を用意し、その間を何段階かに分けて測定します。感性工学では一般 的に5段階に分けて、得点形式で評価します。SD法により得られた結果 の平均得点を折れ線グラフにしたものをSDプロフィールといい、このグラフを見ると、その川から受けるイメージの相違が一目でわかります。

5. 主成分得点散布図
 感性アンケートは、41組の感性ワードを用いて実施していますが、この感性ワードを同じような感性群でまとめることを主成分分析といいます。これにより41組の感性ワードを数個に代表させることができます。この結果 により、人々が河川護岸景観に対して抱いている感性の把握ができます。
今回の感性アンケートの結果では、一般住民が河川景観に対して抱く感性は、“美的調和性”“機能性”及び“デザイン性”の3つで構成されていることがわかりました。主成分得点は各河川景観を3つ主成分の座標で調べると求められます。主成分を2つ選び、主成分得点を縦軸と横軸に分け 散布図でグラフ化することにより、各河川景観がどのような評価をされているのかが一目で分かる図、「主成分得点散布図」が出来上がります。

なお、一般住民と河川管理者では、
感性ワードに 違いがあるため、
主成分の内容も異なっています。
ですから、図を見る時には注意が必要です。


6.数量化理論 I 類
 数量化理論 I 類とは、質的な要因に関する情報(河川護岸のデザイン要素 ex <木材使用・コンクリート護岸>)に基づいて、量的に測定された値(感性アンケートの結果 )の関係を求める方法です。 今回の調査での河川の景観評価は、護岸(材料・高さ・植生の有無など)により、変化すると思われます。しかし、材料・高さ・植生の有無といったアイテムは、評価に直接的に関係するものではありません。そこで河川の景観を評価するために、感性アンケート結果 を数量化理論 I 類により分析しました。

7. アイテム/カテゴリー
 今回の調査でのアイテムとは“河川の形”や“護岸の種類”などデザイン要素のことを表します。カテゴリーとは“護岸の種類”の中のコンクリートブロック護岸や植生護岸といった各デザイン 要素の中の分類を表しています。 アイテム/カテゴリーは河川技術者の意見を聞き、16アイテム・46カテゴリーに分類されました。 このアイテム/カテゴリーが、数量化理論 I 類で分析を行う際の説明変数 (河川護岸のデザイン 要素)となります。

8. 順向性・逆向性感性工学
 感性データベースには2つの考え方が有ります。

・前向性感性工学…感性やイメージ(「きれい」「上品」など)から
                      具体的な設計の要素を導き出す流れ。
・後向性感性工学…デザイン要素(具体的な設計方法や材料など)から
                      感性やイメージを 導き出す流れ。

後向性(逆向性) 
感性工学

前向性(順向性) 
感性工学