3.歴史国道・・・全国的な取り組み

<事業の定義>
 歴史上重要な幹線道路として利用され、国として特に重要な歴史的・文化的価値を有する道路を「歴史国道」と称して、その道路を対象に保存、復元及び活用を図るとともに、地域からの情報を発信し、歴史文化を軸とした地域づくりと活性化、地域の歴史文化とふれあうことのできる空間づくりを目的とした事業。
  
<選定の考え方>
(1) 地域において歴史・文化を活かした地域づくりの構想などがあり、歴史的な道の整備にあわせて、地元による各種の関連施策が確実に行われ、地域の活性化に資するもの。

(2)

文献などにより歴史的な評価が定まっており、原則として江戸時代以前において広域的な道路ネットワークを形成していた地域間の交流に重要な役割を果たしていたことが明らかなもの。

(3)

歴史的な面影を一定の延長以上にわたって残していること。

<整備基本方針>
(1) 歴史的な道路および周辺地域の持つ歴史的・文化的要素を保存する。

(2)

歴史的・文化的要素を復元し、次代へ継承していく。

(3)

道路や地域の歴史・文化を取り入れた、新たな道路環境を創出する。

(4)

歴史的な道の再整備を活かし、地域からの歴史・文化を発信する。

<方策>
・生活空間の創造
・人々に歴史・文化を知ってもらうための案内
・地場産品、自然素材を活かした個性ある整備
・町並み景観づくり
・地区交通計画の策定
・安全で快適な歩行動線
・地域のイベント開催などに配慮した道路施設づくり
・沿道の持つ機能との調和・・・等

<四国の選定済み道>
撫養街道(むやかいどう)
箇所・・・徳島県美馬郡脇町
路線名・・・(町)439号 L=0.5km


梼原街道(ゆすはらかいどう)
箇所・・・高知県高岡郡梼原町
路線名・・・(町)梼原野越線 L=5.5km


 
撫養街道
■個所名 徳島県美馬郡脇町 ■路線名/延長 (町)439号線/0.5km 総延長/0.5km
生活の場として住民の連帯で「うだつの町並み」を継承。
町並みに調和した南橋(平成2年〜3年マイロード事業)
■道路と地域の概要・歴史
撫養街道は吉野川流域を東西に結ぶ四国東部の重要な道であり、海運の玄関口だった撫養(現在の徳島県鳴門市)から吉野川北岸を進み、阿波池田を経由して、愛媛県の川之江に達しています。
脇町は江戸・明治時代には阿波藍と繭の集散地として栄えました。大正時代には吉野川南岸に鉄道が開通し、これに伴い商業の中心地が新しい道路沿いに移り、戦後の高度成長期の開発の影響を受けなかった吉野川北岸にある脇町には、町並みや道路・敷地、船着き場跡の石垣・石段などの歴史的風致が残されています。
■歴史的・文化的遺産
南町地区には豪勢なうだつを上げた町屋が数十棟立ち並んでいます。古いものは宝永4年(1707年)、宝永8年(1711年)の軒札を持ち、寛政年間から昭和に至る町屋の変遷をたどれる貴重な遺構となっています。脇城跡もあり、毎年8年には「うだつの城下町まつり」が行われています。
大谷川沿いには風情のある柳並木が残っており、明治時代に設置されたデレーケ(オランダ人技術者)堰提があります。
また、旧法務局跡を改造し、脇町の歴史にふれる郷土資料館が開放されているほか、農業倉庫跡を改造した町立図書館、町屋を借用して往時の藍染め実演や休憩施設として活用する「ふれあい館」などの施設により、町づくり・道づくりの情報を提供しています。
農業倉庫を再生・活用し、建設された町立図書館
 
■基本コンセプト
『「うだつの町並み」が残す歴史と文化を継承する町づくり』
■整備の基本方針
●住民の連帯で生活の場として歴史景観をつくります
歴史的文化遺産・自然景観を継承し、地域住民の生活の場として、住民の連帯のもと現代生活に対応できる景観をつくります。さらに生活の中で養われてきた伝統文化・風致を保全するとともに、魅力ある産業環境と生活環境の育成と充実を図ります。

●憩いと潤いのある道づくり・町づくりを
舗装、側溝の高品質化と沿道周辺の産業育成により、歴史的町並みと調和した憩いと潤いのある道づくりをめざします。

●生活活動としての情報発信を行います
「脇町の文化をすすめる会」では、地域の文化意識の高揚、文化の継承と創造を目的に調査事業やシンポジウム、研修会などを開催しています。
また、「南町町並み保存会」では建築物の保存、修復、修景と町屋の公開をはじめ、町並みや大谷川の清掃や季節の花栽培を行う美化緑化運動を進めています。
■整備計画
●道路施設の整備内容
電線類の地中化
沿道家屋と調和する舗装、側溝の高品質化
休憩所、案内板、標識類、街路樹の整備

●周辺施設の整備内容
町の中心を流れる大谷川両岸の柳並木の保存、砂防環境、親水護岸、公園施設の整備
重要伝統的建造物群の保存
吉野側船着き場跡の復元と周辺整備
共同井戸の復元
県道鳴門池田線(旧撫養街道)のバイパス整備
駐車場の整備

●情報発信
沿道にある郷土資料館を核にした情報発信
修復後の町屋の公開
「うだつの城下まつり」の開催
●自動車利用:徳島自動車道脇ICより国道193号などを経由し、約10分。[無料駐車場30台あり]

●鉄道利用:JR徳島本線穴吹駅下車、バスで約10分脇町駅下車、徒歩約3分。
町並みの現況   町並みの整備イメージ