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吉野川流域一斉水質調査2001の結果について


 
 吉野川流域一斉水質調査2001は、吉野川流域管内国土交通省3事務所(徳島工事事務所、吉野川ダム統合管理事務所、四国山地砂防事務所)の呼びかけに応募いただいた一般の方々の参加により、7月20日(海の日)に実施しました。
 この度、流域内河川での調査結果をレポートとしてとりまとめましたのでお知らせします。尚、今回調査に参加された方には、本レポートを郵送しています。
 今回の調査は、昨年(7月及び10月)の調査に引き続き、3回目となりました。今回の調査地点は4県にまたがりのべ約810地点、参加者総数約330名でした。
 調査された方々からは、調査結果と同時に、川や水に対する率直な感想や意見が沢山寄せられました。この調査を通じて、川に触れ、身近な川の状態を知り、いろいろな事を感じ、川や水に対する関心を大いにもって頂ければ幸いです。
 来年以降も引き続き調査を実施していきたいと考えております。できるだけ多くの方々の参加をお待ちしています。
 
平成13年8月24日
 
国土交通省 徳島工事事務所






(参 考)
 
調査結果概要
 
<申込み及び参加の状況>
  7月20日の調査当日は晴天に恵まれ、四国四県の約330名もの参加者の協力を得て、調査を行うことができました。特に、今回は前回参加の少なかった銅山川流域での多数の参加を頂くことができました。
  ●応募状況
   ・参加申込み者数:   643名
 
  ●当日の参加状況
   ・当日参加者数:     329名
     内訳 徳島県在住者  302名
        香川県在住者    1名
        愛媛県在住者   13名
        高知県在住者   13名
        四国以外の在住者  0名
    
<河川の状況>
 今年の夏は、例年に比べて雨が少なく、気温も高い日が続いたため、四国の水瓶である早明浦ダムの貯水率も低く、6月17日より第1次取水制限が実施されていることから、吉野川の流量も例年より若干少ない状況でした。
 そのような中、7月19日に梅雨明け宣言が発表され、調査当日の7月20日は晴天で、最高気温は徳島で31.3℃、池田で31.9℃と平年値を約1.2 〜2.6℃上回り、暑い1日となりました。また、池田地点での水温も平年より2℃ほど高い状況でした。
 
<主な河川での採水分析結果(COD)>
 国土交通省では、参加者の皆さんが一斉に調査する7月20日に合わせて、流域内の河川の代表的な地点で、採水分析調査を行いました。結果は、別図及び別表に示しています。
<今回の調査結果から見た吉野川の現状>
 ●水温が高い。
 水温が平年と比較して高い状況だったようです。国土交通省による調査では、平年の7月に比べ、各地点で2〜5℃程度高い水温でした。
 川の水温は概ね気温と比例して上昇及び下降します。また、夏では雨が降り、流量が増えると水温は急激に下がります。今年は、雨が少なく、流量も少ない状況の中、気温が平年より高いことも相まって、水温が高い状態になったと思われます。
 
 ●汽水域で水が濁っていた。
 吉野川本川や旧吉野川などの汽水域で水が濁っているとの報告が多くありました。また、午前と午後で濁りの程度が変わっている傾向も報告されました。これは昨年の調査でも見られた傾向ですが、淡水と海水が混じりあう区域では、その複雑な流れにより、水中の細かい粒子が沈降しにくい、川底の底質が巻き上げられ易いこと等が原因と考えられます。また、海の潮位変動に伴う海水の川への入退潮に連動して、濁りが川の中を移動する現象が見られたものと思われます。
 
 ●下流域の支川の汚濁が著しい
 吉野川の下流域の支川(田宮川、飯尾川、神宮入江川、新池川など)では、前回の調査同様、CODが8以上の地点がかなり報告され、引き続き汚れた状態でした。また、水の色が緑っぽい〜黄茶褐色〜灰色と水色の変化があったようです。このような河川は、水量が少ない、水が滞留する、生活排水や農業排水の流入による有機物や栄養分が多く流入している等の特徴を持っています。水質向上への取り組みとしては、まず、河川に流入する汚濁を少しでも減らしていく一人一人の努力が必要不可欠です。
 
 ●ゴミが多く見られた。
 下流域のほぼ全ての川でゴミが確認されました。ゴミの多くは生活からでるものが大半を占めていると思われます。川を汚したゴミは、やがて海に流れ、海を汚します。ゴミは見た目に汚いばかりでなく、漁師さんの網に掛かり漁に支障をきたしたり、ゴミの種類によっては毒性の物質や環境ホルモンなどが溶けだし、環境汚染に繋がるおそれもあります。一人一人が日常の生活の中で、川や水に対して少しの優しさを持って行動すれば随分解決することです。
 ●生き物もたくさん観察された。
 川の中に棲む生き物も多く観察されました。生き物は全て、その川の環境に適した種類のものが生息します。水温や水質の違い、汽水と淡水の違い等が主な環境の違いです。今度、川に行く時に、生き物の図鑑などを手に生物の種類を調べてみる、そして、そこに棲む生き物から川の環境を調べてみるのもおもしろいと思います。
 
 
<最後に>
  国土交通省では、このような調査を通じて広い吉野川流域を四国四県の皆さんがそれぞれ調査し、結果を共有する、みんなで明日の吉野川を考え、一人一人が 行動していくことが、命の水を守り、豊かな自然環境を育んでいく第1歩だと考 えています。
  来年以降も引き続き同様の調査を実施して参りたいと考えておりますので、今後とも多くの方々にご参加頂けますようお願い申し上げます。
 
                           以  上
 
 
 また、緑色をしているとの報告もほとんどなく、季節の変化とともに、水温が低下したこと、日射量が少なくなった(太陽の光が弱くなった)こと等から、植物プランクトンの発生も少なかったと思います。