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吉野川流域一斉水質調査の結果について
 

 国土交通省及び水資源開発公団の呼びかけで、四国四県にお住いの参加者のご協力により、河川愛護月間中の7月20日(海の日)に「吉野川流域一斉水質調査」を行いました。

 この度、調査結果をレポートとしてとりまとめましたのでお知らせします。

 「吉野川流域一斉水質調査」は、平成12年度より開催し、今回で4回目を数え、昨年を上回る約500名の参加者のご協力により延べ約1050地点の水質調査を行いました。

 調査された皆様からは、調査結果と同時に、川や水に対する率直なご感想やご意見が沢山寄せられました。この調査を通じて、川に触れ、身近な川の状態を知り、いろいろな事を感じ、川や水に対する関心を大いにもって頂ければ幸いです。

 来年度以降も引き続き調査を実施していきたいと考えております。


 今回調査にご参加いただいた皆様には、調査結果をとりまとめ、流域水質マップを添付したレポートを郵送します。

平成14年 8月23日

        国 土 交 通 省   徳島工事事務所
                    四国山地砂防工事事務所
                    吉野川ダム統合管理事務所
        水資源開発公団  池田総合管理所
                    旧吉野川河口堰管理所

 
 

 
 
<参考>
調査結果概要
 
<申込み及び参加の状況>
 7月20日の調査当日は梅雨明けが発表され、晴天で暑い中での調査となりましたが、前日までの降雨の影響で水量が多く、調査が困難な河川や 地点もあったと思われます。
 そのような中、四国四県の約500名もの参加者の協力を得て、延べ約 1050地点の調査を行うことができました。
 
 
 
●当日の参加状況
 
 
●調査地点数の推移
 
    ※ 1回目:平成12年7月30日   2回目:平成12年10月29日
      3回目:平成13年7月20日   今 回:平成14年7月20日
 
 
<河川の状況>
 今年は、6月の降水量が例年に比べて少なかったことで、四国の水瓶である早明浦ダムの貯水量も少なく、6月21日より第1次取水制限が実施されるなど、夏に向けて渇水が心配されていました。
 そのような中、7月に入り相継ぐ台風接近の影響で例年に比べて降雨に恵まれたこともあり、調査当日の7月20日は、ほとんどの河川で流量が多く、水の濁りが確認された河川も多くありました。
 調査当日の7月20日は晴天で、最高気温は徳島市で32.8℃、池田町で33.0℃、上流域の高知県本山町で30.9℃と流域全体で平年値を約1.4 〜3.7℃上回り暑い1日となりました。また、前日までの降雨の影響で、第十堰上流の吉野川本川や一部の支川では、例年に比べ低 い水温でした。
 
 
 
<主な河川での採水分析結果(COD)>
 国土交通省及び水資源開発公団では、参加者の皆さんが一斉に調査する7月20日に合わせて、吉野川流域内の河川の代表的な地点で、採水分析調査を行いました。結果は、別図及び別表に示しています。
 
 
 
<今回の調査結果から見た吉野川の現状>
 
●降雨の影響で水の濁りが見られた
 今年の7月は、相継ぐ台風の接近などの影響で、吉野川流域の多くの地点で平年より多くの降雨があり、調査当日も前日までの降雨の影響で全体的に水量が多く、水の濁りが確認された河川が多くありました。また、支川などで通常水量が少ないことで水質が悪い地点の水質が良好に観測された地点もありました。
 
 
●降雨の影響で水温に変化が見られた
 降雨後ということで、例年より水温の低い河川が多く見られました。吉野川本川では全域で昨年調査時より2〜5℃程度低い水温となり、各河川の上流域で20℃以下の水温を記録した地点が多くありました。(最低水温:藤川谷川[徳島県山城町]の13℃)その他、吉野川本川の第十堰から下流の汽水域では、水温の高い海水の影響で概ね平年程度の水温が観測され、汽水区間の特徴を表した結果となっています。
 
 
●下流域の支川の汚濁が著しい
 吉野川の下流域の支川(田宮川、飯尾川、神宮入江川、新池川、正法寺川など)では、今までの調査結果と同様にCODが8以上の地点が多く報告され、引き続き汚濁の進んだ状態と思われます。また、正法寺川などでは植物プランクトンの増殖に起因すると思われる水色異常(水の色が黄緑褐色)の報告もありました。このように汚濁の進んだ河川では、「水量が少ない」、「水が滞留する」、「生活排水や産業排水の流入による有機物や栄養分が多く流入している」などの特徴があります。水質向上への取り組みとしては、まず、河川に流入する汚濁を少しでも減らしていく一人ひとりの努力が必要不可欠です。
 
 
●相変わらず多くのゴミが確認されました。
 毎回、多く報告をいただくことですが、今年も多くの河川でゴミが確認されました。下流域の河川ではほぼ全ての川で、上流域の河川でも多くの川でゴミが確認されました。また、確認されたゴミの多くはペットボトルやビニールなど、生活からでるものが大半を占めています。捨てられたゴミは川を汚し、やがて海に流れ海を汚します。ゴミは見た目に 汚いばかりでなく、漁師さんの網に掛かり漁に支障をきたしたり、ゴミの種類によっては毒性の物質や環境ホルモンなどが溶けだし、環境汚染  に繋がるおそれもあります。一人ひとりが日常の生活の中で、川や水に対して少しの優しさを持って行動すれば、随分解決することだと思います。
 尚、調査中に「清掃活動をされている方がいた。」との報告を数件いただき、少し救われた気持ちになりました。
 
 
 
<最後に>
 国土交通省及び水資源開発公団では、このような調査を通じて広い吉野川流域を四国四県の皆さんがそれぞれ調査し、結果を共有し、そして川の環境について関心を持ち、みんなで明日の吉野川を考え、一人ひとりが行動していくことが、命の水を守り、豊かな自然環境を育んでいく第1歩だと考えています。
 来年以降も引き続き同様の調査を実施して参りたいと考えておりますので、今後とも多くの方々にご参加いただけますことを願っています。
 
                           以  上